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高齢期リハビリのココロエ16 ご利用者の理不尽な言動は性格か認知症か


 介護保険下施設サービスに勤務してますと『わがまま、不満ばかり、攻撃的、批判的、高圧的』な方がおられます。そのような方と接する際はもちろん職員は心穏やかではなく普段の10倍気を使います。仕事でなければ絶対に近寄りたくない方もたくさんおります。

 いやいや、そんな方でも『寄り添いましょう、きっと理由があるはず。職員はそれでも頑張らないといけない。』とお思いかもしれませんね。職員側に問題があるのでは?とも。そういう場合もありますし、ない場合もあると思ってます。

 わたしの場合は認知症や精神疾患の症状、あるいは『お気持ち』が理解できれば割り切って接することができるのですが、性格に起因する理不尽な言動であればやはりイライラもしますし、腹も立ちます。

 しかしそれらの言動が性格によるものか疾患によるものか、を判断することは非常に難しいのです。たとえば高圧的で攻撃的な性格がベースで脳機能低下により感情・行動が抑制できない場合は性格かな?症状かな?と判断がつきづらいのです。

 昔、某有名ハンバーガーチェーン店で店員に大声でクレームをつけて警察に連れて行かれたおじさんを目撃しました。高齢者施設も同じです。警察沙汰になったことは、さすがにありませんが、少なくともわがまま、不満ばかり言う、攻撃的、批判的、高圧的な方は一般社会と同じく高齢者施設でも嫌われます。高齢期になると脳機能低下によりそれらの性質が先鋭化する可能性も大きく目も当てられない状態になります。あまりにエスカレートすると契約通り退所処置になることがあります。

 しかしそれでも職員はそのような方へも頭をひねり、どうすれば穏やかに暮していけるか、リハビリを行えるかを多職種で知恵を出し合います。施設を利用されている限りはあきらめません、どんなに理不尽でも。

 一方、高齢になると性格はなかなか変わりません。わがまま、高圧的、批判的、100歩譲って仕方ないとしましょう。

 ひとつだけ言わせてください、不思議なものでそんな方でも『ありがとう』と一言あるだけで、がんばろうという気が少し芽生えます。まだ関係が作れるんではないか、と。ケア・看護・リハは信頼関係で成り立ちます、これは間違いないです。ある意味、生活をともにするため関係が非常に重要なんです。そのため当然関係ができないとお互い苦しくなります。『ありがとう』という言葉をお互いに言えればいいですよね。 

 もうひとついえば職員とご利用者の関係は対等とか上下関係とかそういうことではなくて、お互いに尊重できるかどうか、かなと最近思うようになりました。こちらも他のサービス業とは異なり生活をともにする職業だからそう感じるんでしょうね。

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