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高齢期リハビリのココロエ7 家族とはなるべく仲良くしておくべし

『姥捨て山』、昔話でありましたね。国のおふれで60歳以上は親であっても山へ捨てなければならない。仲の良い親子がおり、息子はおふれ通り母親を山へ捨てるが、結局連れ帰った。そして床下に部屋をつくり母親をかくまった。
 そんなとき、戦中だった隣国に無理難題をいわれた殿様、その難題をこの息子が解いて戦を回避するんですが実は知恵を出していたのは60歳を越えた母親だった。それから殿様は60歳以上の老人を山に捨てるおふれをなくしたとのことです。
 姥捨ては平安時代の『大和物語』にはじめて登場するそうです。江戸時代以前の平均寿命は30歳半ばくらいといわれています。すると平安時代で60歳は今でいう90〜100歳くらいでしょうか。
 しかし、仲の良い親子ですね、おふれを破れば死罪にされかねない中、命をかけて母親をかくまう息子さん、よほどの関係なんでしょうね。
 このお話と比べるのは時代背景や環境も違うので乱暴かもしれませんが、では現代ではどうでしょうか。
 介護保険もあり身体にハンデがあっても自宅生活を送れるようにはなりました。とは、いうもののやはり要介護の高齢者と一緒に生活することはご家族にとって負担です。高齢者リハビリ施設のリハビリ職からみて『この方、一人暮らしで家事もできる』『日中は一人で過ごせる、トイレも一人で行ける』という在宅復帰できそうな方は施設にもたくさんおられます。しかし、帰れない。それには様々な理由があります。財政、老老介護、認知症、重介護、それはもう事情はさまざまです。この理由のひとつに『家族の覚悟』があります。覚悟と書くと大げさですね、『家族の決心』があげられます。
 前述のようにプロから見るとこのご利用者は自宅へ帰って十分生活できるのに、なぜ帰れないのか?と思うことが多々あります。その答えの一つが『家族の決心』です。こればっかりは私達専門職が立ち入れない領域でもあります。決心を後押しするために制度や生活の仕方などできるだけ快適に暮らせるよう職種ごとにアドバイスはできます。しかし、なんだかんだと理由をつけて在宅復帰を先延ばしにするご家族、ハナから在宅復帰を考えていないご家族もおられます。こうならないためにも、姥捨山の親子のように単純に仲良くすることがたいせつであると感じます。
 家族の決心を後押しするのは家族関係の歴史です。ぜひ若いうちから家族仲良く…のお話でした。

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