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高齢期リハビリのココロエ14 機能訓練は万能ではありません

 高齢者リハビリに携わって17年になりますが、純粋な機能訓練のみで「飛躍的に良くなった!」というケースは非常に少ないと暴露します。『お金いただいてリハビリしてるんやろう!詐欺師!』という声が聞こえてきそうです💦
 と、いいますのは機能訓練だけを希望して、その時間だけ機能訓練をする方はやっぱり効果が出ません(あくまで私は、です)介護保険下の個別リハビリ時間は一週間に長くても2時間程度です。1週間168時間ある中のたったの2時間ですよ。短い方は40分です。
 週1トータル2時間はともかく、週1の40分機能訓練のみで効果を出せるセラピストが地域にいれば大評判になると思います。ご利用者さん、ケアマネさんも順番待ちすると思います。わたしが知らないだけでいらっしゃるかもしれませんが😓
 では高齢者リハビリで何が必要か、は無論『生活の仕方を整えること』です。老化や病気後、突発的に身体機能が低下した際はご本人もご家族も生活上『何をしていいのか』『ご本人が何ができるか』『工夫したらできること』もわかりません『リスク管理もしないといけません』そして残る選択肢はご本人の生活活動をなくすことです。『分からない』+『リスク管理』は身動きがとれなくなるのです。
 想像してみてください。自宅で一日テレビを見て過ごすこと、あるいは施設でテレビや壁を見続ける一日を…。ゾッとしませんか?  人は作業・活動があってはじめて生きてる実感や満足感を得ることができ、伴って手足頭を使うので健康を保てるのです。
 そこで登場するのが『作業療法士』です。作業療法士は作業・活動のプロ。すなわち生活のプロです。ご利用者、ご家族の『わからない』と『リスク管理』に対してどちらもアプローチできます。
 具体的には安全に何ができるのか、を試しながら生活を組み立てていくわけです。これが作業療法士の役割のひとつだと思います。機能訓練はその一部に過ぎません。運動という生活のパーツをどう組み込んでいくかという視点です。
 しかし、生活再構築には周囲の理解が必要です。要介護者はやはりリスク管理をどれだけ行っても健常者より転倒や身体不調になる可能性は高いのです。そのリスクを享受できるかどうかです。それは自宅でも施設でも同じです。
 活動すれば頭手足を使いますので、当然、ご利用者にとって満足度の高いのものであればどんどん元気になられます。そんなご利用者を何人も見てきました。動くメリットとデメリットですね。
 高齢者リハビリは機能訓練によって直接どうにかするわけではなく、生活を整えていくと自然にご利用者は良くなられます。急激な身体機能低下による『わからない』『リスク増加』状態から、自然に良くなる生活をご利用者とつくるのが重要なんですね。

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