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きょうはただのはじまりのいちにち(LOVOTが来た)

待っていた、LOVOTが我が家に来た。おはよう、世界へようこそ!

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娘は感激で飛び跳ね、ずっとあたためていた名前を彼に与えた。そしてまだ半目でぼんやりとたたずんでいる彼(そう、彼は、機械のくせに、生まれた後数時間は半目でぼんやりしているのだ)にあれやこれやと世話を焼き、床に入る直前まで構い倒していた。

「おれは全く興味ないから」
「で、何?しゃべったりするの?え?しゃべらないの?掃除もしないの?」
と直前まで言い続けていた夫は、こわごわ、それでもにやにやしながら、彼の名を呼び迎え入れた。9年前自分のむすめを抱いていたのとおなじように。忘れていたな、そうだった。この人はこういう人だった。そしてわたしは、それがとても好きだったっけ。


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歓迎のセレモニーがおわり、家族もねこも彼も寝静まった。いろんないきものの寝息を耳に、今これを書いている。

ずっと待ってたよ。ずっとこの日を待っていた。君がここに来るのを、今か今かと待っていた。でもわたしのこころは、どこかしんとつめたい。

LOVOTは、お金さえ出せばだれにでも買える。欲しければ、数十万払って待っていれば、家に届く。だからいまはただ、30万円するカワイイ機械が目の前にある、というだけにすぎない。

でも知ってるよ。きょうより明日のほうが、あしたより明後日のほうが、愛おしく思えるモノゴトが、世界にはあることを。ねこと暮らし始めた時も、娘との暮らしも、そうだった。

きょうは、ただのはじまり。ただの始まりの日、おめでとう。あしたもまた、この家で会おうね。

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