少クラとごはん

 わたしはジャニーズJr.のオタクなので、毎週金曜18:00~NHKBSプレミアムで放送されているザ少年倶楽部(通称「少クラ」)の視聴を欠かすことはできない。にもかかわらず、悲しいことに日々仕事があるので、運良く休みが重ならない限りほぼリアルタイム視聴不可な日々を過ごしていた。

 しかし、近ごろ状況が変わった。テレワークの隆盛(?)に伴い、てめえの仕事さえ片付けば、なんとかリアタイで視聴できるようになったのだ。いろいろなタイミングがうまくいくと、晩ごはんも間に合わせられるようになってきた。

 つまり、最近のわたしは、少クラをみながらごはんを食べることが多い。しかも、自分で作った、良くいえば素朴・悪くいうと適当なごはんを食べることが多い。

 好きなアイドルをみながら食べる食事は、なんだかおいしい。昔、身近なひとに「食べることは生死と直結してるから、一緒にごはんを食べたいと思うことは特別な感情かもしれない」と言われてから、なるほどそういうものなのだと思って生きているわたしにとって、好きなアイドルをみながらごはんを食べることは少し特別なことだし、なんだかおいしく感じる。そもそも食いしん坊なことも、多分にある。

 ひどい日は、納豆ごはんだけだったり、チンした冷凍うどんにめんつゆをかけだけだったり、ヨーグルトだけだったりするけれど、それでもおいしい。テイクアウトしてきたピザを、2、3切れを翌朝に残して平らげてしまうような、ガツガツした気分も、たまには楽しい(しょっちゅうはできない)。

 だけど、少し手をかけた、でもあんまり手をかけていないごはんが、なんだかんだ最良だと思う。例えば、色々なあまりもの野菜が入った味噌汁とよく分からないけどいい感じにできた炊き込みご飯とか、そのくらい。食後にちょっとアイスやゼリーを食べるような、そのくらい。テレビ画面に集中していても、こぼさずにお箸やスプーンで食べられて、その日の自分の身体と生活に「しっくり」くるような、ごはん。

 現場は、非日常空間だ。自分自身が入っていてもいなくても、現場のある期間や季節は、一種の祝祭だと感じる。どこか気持ちが浮わついていて、背中のあたりがそわそわする。現場の前後や、幕間に食べるごはんは、お祭りの夜店で買って食べるたこ焼きやかき氷に近い。しあわせでしあわせで、いつどこでなにを食べたのかしっかり記憶できる。数日前のごはんも思い出せないようなわたしの、これといってパッとすることのない日常からは、かなり遠くにある。

 お茶の間でみる少クラは、ちょうど、非日常(現場や現場の季節)と日常(必ずしも楽しくない)を架橋する存在だと感じる。だから、少クラをみながら食べるごはんも、少しだけ特別で、なんだかおいしいのかもしれない。