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猫被り系パワハラ上司を打ち倒せ2

課長に心を許し始めた頃、妙に課長からの頼みごとが増えた。それも面倒な書類作成ばかりだ。最初は「会社全体が忙しくなってきたのかな?」と思う程度であったが、日に日に増えていく仕事に不信感を抱くようになった。
「最近、お前だけ仕事量がやたらと多いが大丈夫か?」そう声をかけてきたのは、同僚の中田だった。こいつはうちの部署の中でずば抜けて優秀で、どんな仕事でも卒なくこなす。入社数ヶ月にしてもう昇進の話まできているとの噂だ。
「中田さん、僕は大丈夫です。」「そうか。」相変わらずぶっきらぼうなやつ。中田はクールで、背中で語る職人気質の人間だ。
課長をはじめ、上司から受けた仕事も迅速かつ丁寧にこなす。仕事に関しては非の打ち所がない。
しかし、職人気質な性格のせいか、周りと打ち解けてる様子もあまりない。そういえば、こいつも課長に何度か飲みに誘われてたな。行ってなかったみたいだけど…。ふとそんなことが頭によぎったが、今はそんなことを考えている場合じゃない、仕事を終わらせないと。
俺がようやく課長から頼まれた仕事を終えた頃、オフィスには誰もいなかった。気づけば定時をゆうに過ぎていた。思わずため息が出た。「最近、いくらなんでもおかしい、なんで課長は俺にだけ…」そう思いながら周りを見渡すと、オフィスの端っこに中田がいた。仕事をしているのか?あいつが?なんで?
不思議に思ったが、仕事の疲れからかそれ以上考えれなかった。
それからも毎日、課長から押し付けられた仕事による残業が続いた。そして俺が残業するときは決まって中田も残っていた。ただ、自分の作業で手がいっぱいで、中田の事を気にしている余裕はなかった。
俺には同棲している彼女がいた。会社に入社する以前は何一つ不満なく、円満な暮らしをしていた。しかし、最近彼女の嫌な点が目立ってみえる。なぜだ?彼女に冷めてきたのか?やはり俺はそれ以上考えることをしなかった。いや仕事疲れでそれを放棄していた。
あれから1ヶ月経った。相変わらず俺の残業が減ることはない。むしろ増えていく。そして心なしか、彼女との雰囲気も悪くなっていっている。我慢の限界だ。
せめて少しでも仕事を減らしてもらえるよう課長に言ってみよう。あの課長なら話せばわかってくれる、そう思っていた。
しかし、課長の口から飛び出したのは、課長に対するイメージを覆す驚きの言葉だった。


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