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ある雨上がりの朝が一枚の絵になった話

 1年ほど前から密かに憧れていた方に、アイコンを描いて頂けることになった。

 Twitterにてフォロー&RTをした方のうち抽選で10名様にアイコンを描きます、という企画があり、喜び勇んで参加したら、なんと当選したのだ。
 まさか当選するとは露と思っておらず(私がRTしたときには既に100RTを超えていた)、夢かと思い一度Twitterの画面を閉じた。
 1日経っても、1週間経っても、当選者リストには私の名前があった。夢ではなかった。


 悩んだ結果、依頼したのは振袖姿の女性。振袖はこんな感じで…と写真を提示した。
 髪型は黒髪アップ、前髪はなし。正面を向いて、手は前で重ねて。
 実際に描いて頂いたアイコンはこちら
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 すばらしい!!!!!!!!天才!!!!!!!
 画像を頂いた際、興奮のあまり言葉を失い、失ったままお礼のメッセージを送ってしまった。読み返すと知能レベルの低さがすごい。
 まず「黒髪アップ、前髪なし」でこれほどすてきなヘアスタイルが仕上がるとは夢にも思っていなかった。理想を遥かに超えてきた。
 そして、帯を可能な限り表現して頂けたことが本当に嬉しかった。提示した写真には写っていなかったし、ポーズも正面をお願いしていたので、帯のことは殆ど諦めていた。それをこれほどすてきに描いて頂けるとは!
 写真以上のものを頂いてしまった。とても嬉しい。

 アイコンを描いてくださった春子さんは、もちろん他にもすてきなイラストを描かれている。幾つか紹介したい。

 個人的に一番刺さったイラスト
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 まず、シンプルに女の子がかわいい。
 色彩が美しいし、彼女の視線の先には何があるのかな、と想像を掻き立てられるイラストで、何度見ても見飽きない。すてき。

 ねこちゃんシリーズもとても好き。癒し。
 イチオシは「水たまり」
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 続きの「水たまり2」も可愛いので是非…

 春子さんは別のアカウントでファンアートも描かれており、そちらも毎回素晴らしい。もはや語彙は何処かへ消え去るレベル。

 本当に好き……

 私は元々春子さんとの交流はなく、遠くから眺めて有り難がっていた一人なので、このような貴重な機会を頂けて、感謝してもしきれない。
 本当にありがとうございました!!!!!


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 以降、蛇足。


 実際に春子さんから連絡がきたときは、好きなアイドルの握手会並みに緊張した。
 言うまでもないが握手会ではないので、ぼーっと見惚れているだけ、というわけにはいかない。「どんなアイコンを描いてほしいか」という要件に対し、明確に回答する必要がある。
 しかし、言葉に詰まった。時間があったにも関わらず、まったくのノープランだったのだ。

 一日、返答に時間を頂いた。
 最有力候補は、スーツにハットにステッキを持って、片手をあげた老紳士の後ろ姿。
 美しい女性が自分のアイコンになるのは違和感があったので、これでいこうと一度は心に決めた。

 依頼のメッセージを送ろうとして、ふと「二度とないかもしれない機会、これで本当にいいのかな」と自問した。
 「何となく」で決めたものを描いてもらうのではなくて、思い入れのあるイラストを描いてもらったほうがいいのではないか。


 成人式の前撮り(もしくは後撮り)がしたかった。
 中卒で働きに出た母がこつこつ貯めて、二十歳になる頃に自分のお金で買って成人式に着ていった振袖。37年経って、娘の私が着た。
 殆ど話したこともないくらい遠い親戚が朝早くから着付けてくれて、お化粧は叔母が施してくれた。
 髪は、久しぶりに母が結ってくれた。幼稚園生の頃ぶりだったのではなかろうか。
 懐かしい友人たちと何枚かスマホで写真は撮ったけれど、何かのタイミングで消えてしまった。手元に残っているのは、着付けてもらった直後、祖母と母と叔母と一緒に撮った一枚だけだ。
 もっとたくさん写真を撮っておけばよかったな、と思ったし、前撮りでも後撮りでも、きれいな形で残して置きたかったな、と思っていた。


 成人式の後撮りがイラストという形なら叶うかもしれない。振袖姿の女性を描いてもらおう、と決意した。母の振袖を着た女性を。
 一枚だけ残っている写真の首から下を撮って、「こんな感じの振袖で!」とお願いした。
 背景は淡い水色。
 成人式の日、雨上がりの優しい青空が広がっていた。せっかくならあの色がいいな、と思った。


 メッセージを送った翌日(!?!?)、「描かせていただきました!」と一枚の画像が送られてきた。

 イラストの少女はもちろん私ではないけれど、写真よりもずっと鮮明に、成人式の日の私だった。
 一瞬にして、あの日の母のやわらかな手を思い出した。湿気を含んだ風や、避けて歩いた水たまりや、薄雲越しの太陽などを。

 すごい。
 貧弱な語彙で申し訳ないが、そう言わずにはいられない。
 うまい人というのは、在るものを在るがまま表現する能力が高いのみならず、描きたいものの向こう側にあるものに心を寄せて表現することができるのだな、と思った。
 私自身には美的センスも知識もないけれど、心だけは一応持っているつもりである。このちっぽけな心いっぱいに届く一枚だった。

 アイコンに使うSNSはLINEにしようと思っていたが、自分がたくさん見たいから、という理由でTwitterのアイコンにした。毎日ハッピーハッピーである。

 母には、こっそり頂いたイラストを見せた。私と同じくらい(もしかしたらそれ以上に)、喜んでいた。


 最後にもう一度言わせてください……
 なにものTwitterのアイコンを描いてくださったのは春子さんです!!!!!!


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