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クロネンワースは不良債権であるのか?

今年も残り僅かになりました。
来年に向けての補強を中盤に差し掛かり来年の姿勢について大まかなイメージがどの球団でも見えてきたのではないでしょうか。
そんな中で我らがSanDiegoPadresは給与削減、贅沢税回避をモットーに掲げており、具体的な動きとしてソト、バーロー、カーペンターのトレード放出を行いました。また、これらの選手の他にもトレードの噂が絶えていなかった?選手がいます。
その選手の名前が "Jake Cronenworth" という選手です。
そんな彼について少しばかり考察させていただこうと思います。


1.クロネンワースという選手

Jake Cronenworthをここではクロネンワースと日本語表記にさせていただきます。
彼は 29歳 UT 24~30年にかけての7y$80MのSalaryをもつ下記の画像の成績を持つSDPの現ファーストです。

FanGraphs参照シーズン成績

彼のイメージは内野のUTかつ高いレベルの打撃力を有したオールスター二塁手です。また、TBとのトミーファム獲得トレードでSDPに来たのですが、MLBでプレーするのはSDPが初めてであったため生え抜きではないもののSDが開花させた近年では数が少ない成功例の一人です。現在はチーム事情によって一塁手となってしまい、近々2年間の不振と一塁手に移ったことによる打撃の物足りなさ、一塁手にしては過度な守備、$80Mの契約などによって放出論が絶えていないというのが現状で一部ではいわゆる不良債権ではないかと思われているような選手です。

2.2021年2022年問題

ダラダラと実績に触れても仕方ないのでここからは彼の打撃について焦点を当てていきたいと思います。
彼の打撃に暗雲が立ち込めたのは"2022”シーズンです。
そこで彼がまだ良かった前シーズンである"2021"と何かが変わってしまった”2022”シーズンに焦点をあて考察を続けます。


2021年度Savant
2022年度Savant

細かく分析していく前にパッと見て分かることを挙げようと思います

  • Chase%及びBB%以外のBattingは軒並み下降している

  • Value面では上昇している。

  • シングルヒットの分布がセンター方面から引っ張り傾向に変化している。

これだけでもある程度の要因は絞れそうですが細かく他の項目でも比較していこうと思います。


各項目年度比較

こちらを見てもらえると分かりやすいと思うのですが、K%やWhiff%などから前年比から空振りが増えていること、FirstPitchSwing%、Inzone%の上昇からもストライクゾーン内に入ってくる球に関しては積極的に振っている。積極性は増しているにもかかわらず面白いことにBB%が増加しOut of Zone Swing %が減少している。
これらの他にも大きい変化があります。それはLaunch Angleが大幅に上昇したことです。これらの変化を纏めると
”21年より22年の方がゾーン管理を徹底し、ストライクを積極的にボール球には消極的に行くというアプローチに変え、それらの他にも打球角度にもこだわり打球を上げようとしそれらの目論見には成功したが、その結果あらゆる指標は悪化した年”といえるだろう。


BattingBallProfile参照画像

この様な年度別のデータからでも変化が読み取れます。
上記で示した通り打球を上げるという事を焦点に充てていた為かFB%が10%以上上昇していることが分かり、GBやLDの打球は減ってしまったと。
そして、質の方を見るとなんとなんとなんと
Under%が10%以上上昇しているじゃないですか
この値を簡単に言うと兎にも角にもならないただの高く上がったフライの比率です。
他の項目に焦点を当てると全体的に低下していると。
まぁ要するに
”FB%を上げたもののただの凡フライになってるだけ、なんなら強い打球減ってるしただの改悪やんけ”ってことです


Run Values by Pitch Type 参考

このデータから4シームが打てなくなったというのが露骨にわかります
BA、wOBAにして約.100、SLGにして約.150減少しており、K%も増加しています。逆にシンカーであったり、チェンジアップなどは良化傾向にあります。
ここについては明確な確証はないので憶測の範疇を超えないのですが、個人的にはFBを増やす為にスイング自体をアッパー気味にしたのではないかと思います。所謂シンカーなどは掬い上げるタイプへの変化により打球に角度と勢いが増したんじゃないかという考察です。逆に4シームに関してはアッパーにした弊害でうまくミートができなくなってしまいボールの下の部分を叩く?形になってしまい上記で説明していたようなUnderの打球になってしまったんだろうなと思います。


21年チャート一部


22年チャート一部

彼はローボールヒッターです
これらのチャートを見れば良くわかるのですが、基本的に高めのBAやOBP系は低いです。逆にゾーンが下に行けば行くほど数字は良くなって行きます。
22年は顕著ですが高めをFBにしていますがBAなどは悲惨な結果となっている事が分かります。前のデータから僕が立てた憶測通りアッパー気味にしたという仮説に当てはめた時、スイング軌道が変わり21年より高めのLD性の打球が減り兎にも角にもならんFBが増え、多少打てていた高めが絶望気味になってしまったと感じました。

これらの要因達から21年と22年の間に彼は
”ソーン管理をしつつ積極的にFBを上げるアプローチに変化させた結果、本来の持ち味であった特徴(ローボールに強い)などを完全無視し逆に自らの特徴に反したアプローチとなってしまった本末転倒モンスター”って感じだと思います。

3.2023年の変化

上記で示したように彼には良くない変化があったと思います。そしてこれらの変化を知ったうえで2023年のデータを軽く見ていこうと思います


2023年Savant参考

一塁初年度や打撃の比較対象が一塁手に変わったことによってValue面での多少の変化などや守備面での変化はあるにせよ基本的な形としては2022年度と然程変わっていないという印象です。


各年度比較2

こちらはある程度の変化が感じる事ができます。
Out of Zone Swing %が4.8%、Swing %が5.8%上昇しており、Launch Angleも前年比3.0減少しています。このことから、2022年よりFBというよりもLDを意識しつつゾーン管理も徹底するよりもスイング自体を積極的にという意図が感じられました。


BattingBallProfile参照画像2

こちらのデータでもFB%を約5%減らし、その分をLD%に持っていっている事から、2022よりもFBよりLDを意識している裏付けになると感じます。
しかし、質の方に目をやると2022年の問題であったUnder%は減少傾向にあるのですが、結局のところその割合が弱い打球と強い打球の大体半々ぐらいに分かれてしまっています。
2021年度の%に似てきているのは良化の前兆にはなりうるのではなかと感じます。


Run Values by Pitch Type 参考

このデータからわかるのは2022年から2021年のフォームに戻しつつあるのではなかと感じる事ができると思います。
正直2023年シーズンは中途半端な形だったんじゃないかなと思います。
2021年以前に戻したいのは分りますが、2023年は形にすることが出来ずに収まってしまったような気配がしますね。


2023チャート

真ん中付近の球をFBにしてしまっていたのをLD系にしつつあるように感じます。しかし、まだFBの悪癖は抜けきておらず低めの得意なゾーンをフライにしてしまっているような気がしますね。
おかしな話ではあるんですが高めのGB%が増えている事から試行錯誤が見えるので個人的には良い兆候だと思います。
一言いうなれば、
”彼は2023年シーズンは確実に良化傾向にある”という事です

4.彼は不良債権であるのか?

彼は不良債権ではありません。
もっと言うと2022年に歯車が狂ってしまっただけで来年にはバウンスバックする可能性は非常に高いと感じます。
確かにBarrelの打球は年々減ってきています。しかし、Barrel手前のSolidの打球は年々%としては上昇しています。これに関しては2022年の影響か単純なパワーの衰えかは正直あまりわかりませんが、彼の打者タイプ的にSolidの打球を打てていれば大丈夫だと思います。
彼がバウンスバックするのに必要なことは、打球の角度、所謂Launch Angleを下げる事とほんの少しだけ慎重になることです。そして、狂う以前の2020年2021年の時の自分を2023年シーズン以上に取り戻すことです。

最後に一言
フライボールを捨てろ
お前はグラウンドボールヒッターや


参照
Jake Cronenworth Stats: Statcast, Visuals & Advanced Metrics | baseballsavant.com (mlb.com)

Jake Cronenworth - Stats - Batting | FanGraphs Baseball

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