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憲法12回 31条と33条から39条   刑事手続に関する条文

オリジナル基本問題は、憲法12回のYOUTUBE配信済みの内容です。
刑事手続きに関する条文(31条と33条から39条)は勉強の仕方がわからない方も多いと思いますので、メリハリのつけ方を説明します。
有名判例と違憲判決が出ている31条だけは重要条文なので、掘り下げが必要ですが、33条から39条は出題頻度が低いので深入りせず、意表をついて出題された場合に備えて、基本知識ぐらいはおさえておきたいところです。今回は、33条から39条は基本知識を問いかけますので、理解とインプットが進んでいるか確認してください。33条から39条はテキストに載っていても、おそらく予備校ではほとんど教えないと思いますので、この場で基本知識だけでもインプットしていただければと思います。
また、記述抜き180点目標の方向けの課題として、31条に絞り違憲判決を含め重要項目だけ1歩深堀をしておくことをお勧めします。課題は以下参照。

【憲法12回】刑事手続を想定した条文
では、オリジナル基本問題として33条から39条の基本知識を問いかけます。
まずは、基礎の基礎として、条文の全体構造を把握しているか質問します。
33条から35条は誰の権利?   ⇒   被疑者 の権利
37条から39条は誰の権利?   ⇒   被告人 の権利
※被疑者は、捜査機関から犯人と疑われている人で、起訴前の呼び名。
 被疑者は、起訴後に被告人という呼び名に変わる。


日本国憲法33~39条の重要なキーワード穴埋め問題にチャレンジ
第三十三条 何人も、(         )場合を除いては、権限を有する(   )が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する(  )によらなければ、逮捕されない。

【穴埋め後の条文】
第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

33条のポイント
➀憲法33条は、身体拘束には裁判官の令状が必要(令状主義)を規定。
➁令状がいらない憲法上の明文の例外は、現行犯逮捕
  判例は、厳しい要件をみたした場合に逮捕後に令状の発付を受けること
 を条件として令状なく逮捕できる緊急逮捕も憲法33条の趣旨に反しない
 としている。 



第三十四条 何人も、(  )を直ちに告げられ、且つ、直ちに(   )に依頼する権利を与へられなければ、(  )又は(  )されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する(  )の法廷で示されなければならない。

【穴埋め後の条文】
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

34条のポイント
➀身体拘束された被疑者には、弁護人依頼権があることを規定。
➁拘禁(勾留)されている被疑者は、拘禁(勾留)の理由を公開法廷で
 裁判所から教えてもらえることを規定。



第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第(   )条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する(   )がなければ、侵されない。
② 捜索又は押収は、権限を有する(    )が発する各別の令状により、これを行ふ。

【穴埋め後の条文】
第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
② 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

35条のポイント
➀35条は捜索・押収に関する令状主義を規定(捜索差押令状)。
➁憲法上の例外:逮捕ができる場合は令状なくても捜索差押OK。
➂川崎民商事件(最判昭47・11・22)
(事案と争点)
 確定申告の過少申告を疑われた人が、旧所得税法上に基づく税務署職員の質問検査を拒否して起訴された事件で、
旧所得税法上の検査拒否で罰則を科するという規定が、
裁判所の令状なくして強制的に質問検査をすることを認めているのは憲法35条に違反するか。(憲法38条(黙秘権の保障)に違反するか)

(川﨑民商事件最高裁の判断)
「たしかに、旧所得税法七〇条一〇号の規定する検査拒否に対する罰則は、同法六 - 1 - 三条所定の収税官吏による当該帳簿等の検査の受忍をその相手方に対して強制する作用を伴なうものであるが、同法六三条所定の収税官吏の検査は、もつぱら、所得税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であつて、その性質上、刑事責任の追及を目的とする手続ではない、 また、右検査の結果過少申告の事実が明らかとなり、ひいて所得税逋脱の事実の発覚にもつながるという可能性が考えられないわけではないが、そうであるからといつて、右検査が、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく 作用を一般的に有するものと認めるべきことにはならない。」(中略)「さらに、この場合の強制の態様は、収税官吏の検査を正当な理由がなく拒む者に対し、同法七〇条所定の刑罰を加えることによつて、間接的心理的に右検査の受忍を強制しようとするものであり、かつ、右の刑罰が行政上の義務違反に対する制裁 として必ずしも軽微なものとはいえないにしても、その作用する強制の度合いは、 それが検査の相手方の自由な意思をいちじるしく拘束して、実質上、直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達しているものとは、いまだ認めがたいところである。
旧所得税法七〇 条一〇号、六三条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることを その一般的要件としないからといつて、これを憲法三五条の法意に反するものとすることはできず」
また、最高裁は、憲法38条(黙秘権の保障)にも違反しないと判断。



第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、(  )にこれを禁ずる。

【穴埋め後の条文】
第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
36条のポイント
➀死刑それ自体は36条で禁じられた「残虐な刑罰」にあたらない(判例)。
➁このまま選択肢にあがっても〇がうてるように、「絶対に」を意識して
 覚える。



第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、(  )な裁判所の(  )な(  )裁判を受ける権利を有する。
② 刑事被告人は、すべての(  )に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
③ 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する(   )を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、(  )でこれを附する。

第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速公開裁判を受ける権利を有する。
② 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
③ 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、でこれを附する。

37条のポイント
➀37条1項は、刑事被告人に、公平迅速公開裁判を受ける権利の保障
      公平・迅速・公開の三点セット と覚えよう。
☆☆☆隠れた重要判例 高田事件(最判昭47・12・20)
憲法三七条一項の保障する迅速な裁判をうける権利は、」(中略)「個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的規定がなくても、もはや当該被告人に対する手続の続行を許さず、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定であると解する。」
 起訴後15年以上も審理が中断した本件について、
憲法三七条一項の迅速な裁判の保障条項に明らかに違反した異常な事態に立ち至つていたものと断ぜざるを得ない。」(中略)「本件においては、こ
れ以上実体的審理を進めることは適当でないから、判決で免訴の言渡をするのが相当である。」

➁37条2項は、刑事被告人に、証人尋問権を保障
➂37条3項は、刑事被告人に、弁護人依頼権を保障
     刑事被告人に、国選弁護人を求める権利も保障
 では、弁護人依頼権に関する34条と37条3項は何が違うのか。
 👇
 34条は身体拘束された被疑者(起訴前)の話、
 37条は被告人段階(起訴後)の話。



第三十八条 何人も、自己に(   )な供述を強要されない。
② 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の(  )は、これを証拠とすることができない。
③ 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、(  )とされ、又は(  )を科せられない。


第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
② 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
③ 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
38条のポイント
➀1項は、黙秘権を保障
➁2項は、任意でない自白は証拠とできないことを規定(自白排除の法則)
➂3項は、証拠が自白のみだと有罪にできないと規定(補強証拠の法則)。



第三十九条 何人も、(  )の時に適法であつた行為又は既に(  )とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、(   )刑事上の責任を問はれない。

第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
39条のポイント
➀「何人も、実行の時に適法であつた行為については、刑事上の責任を問はれない。」の部分は、遡及処罰(事後法)の禁止を規定。
(参考)残りの条文は、二重の危険禁止原則を規定 VS 一事不再理の原則を規定 (争い)

【記述抜き180点目標の方向けの課題】憲法12回 日本国憲法31条 
 第1 日本国憲法31条が保障している内容は何か
    (通説ないし多数説は4つが保障されていると説明)
 第2 第三者所有物没収事件(最判昭37・11・28)➀から➃を整理
   ➀事案、➁憲法上の争点、③違憲審査の結論(合憲・違憲)、
   ➃その理由
 第3 成田新法事件(最判平4・7・1)につき、➀から➄を整理
   ➀事案、➁憲法上の争点、③違憲審査の結論(合憲・違憲)、
   ➃合憲・違憲に至った理由
   ➄告知・聴聞の機会の保障が、行政手続きにも及ぶかという論点に
   ついて、成田新法事件(最判平4・7・1)は何と言っているか

 憲法12回の上記課題については、各自で調べていただくか、以下の私の解説記事(100円)をご利用ください。  

【記述抜き180点目標の方向けの課題】憲法12回の課題(31条)の解答
刑事手続の条文の中で憲法31条だけは、違憲判決も出ているので重要です。
まずは、憲法31条を読みましょう。
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

では、まずは、みなさんに、基本的なことから質問し、やや発展的な知識にひもづけながら、知識が断片化しないように進めます。

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