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民法思考力養成1 権利能力

前半の胎児と権利能力は、YOUTUBE動画民法「権利能力」と同内容です。
後半の権利能力なき社団は、一番下のイメージ・記憶促進ノートで取り扱います。
では権利能力の出題傾向から入ります。
権利能力は、過去10年で2回出題。
➀胎児の3つの例外と➁権利能力なき社団の2本柱が出題されやすい。
➀はYOUTUBEで、➁は下のイメージ・記憶促進ノート(note)で扱います。
まずSTEP1で択一正誤問題の事例を読んだ後すぐに解説を読み、解答を出すための民法の思考の筋を覚えます。その直後、覚えたての民法の思考の筋を、みなさんが文章として表現できるかを試すため、STEP2で記述式問題にチャレンジしてもらいます。

胎児と権利能力
STEP1
👨択一正誤の事例問題を読んで民法の思考の筋を覚えよう!
🔵オリジナル正誤問題(H24・27問肢1出題意図を参考)
Vが徒歩で帰宅中に脇見運転をしたAの運転する自動車と衝突しVは即死した。当時Vの妻Hの胎内に胎児Cがいた。胎児Cはその後出生し生後1か月の時点で、HがCを代理してAに対し損害賠償を請求できない。〇か×か。

👇 丸暗記ではなく、応用力をつけるため、解答を導く理由を確認しよう!
👨民法の思考の筋
➀賠償請求権は死亡事故のときに発生する
事故時Cは出生前なので、権利が帰属するかが問題
➂民法:権利能力がある人に、権利が帰属する
➃民法3条1項:胎児は原則として権利能力がない
他の条文 胎児に例外的に3つの場面で権利能力肯定
 3つの例外の条文をキーワードだけまとめ
 ❶続する(886)
 ❷遺を受ける(965)遺言で財産をもらう
 ❸不法行為に基づく損害賠償請求権(721)
 
本問は❸に該当するから、Cに損害賠償請求権が帰属する。
判例は、胎児の間は、親は胎児を代理できないと判断しているため、
胎児Cが出生した後、HがCを代理して、Aに対して損害賠償を請求できる
よって、本問は誤り(✖)となる。

STEP2 民法の思考力が身についたか再確認
上の択一正誤問題の解説読みで理解した民法の思考の筋を踏まえて、
次の記述式問題にチャレンジ!
🔵オリジナル記述式問題
先ほどの自動車事故で、Vが死亡した当時、Vの妻Hの胎内に胎児Cがおり
Cが生まれる前に、妻Hが胎児Cを代理して、「C」と加害者Aとの間で、Cに5000万円を支払う和解契約を締結することができるかについて、
簡潔な理由とともに40字程度で記述しなさい。
👇
👨民法の思考の筋
➀民法:権利能力がある人に、契約上の権利義務が帰属
➁民法3条1項:胎児には原則として権利能力がない
➂他の条文で、例外的に3つの場面で権利能力を肯定
 民法の3つの例外の条文をキーワードでまとめ
 ❶相続
 ❷遺贈
 ❸不法行為に基づく損害賠償請求
➃和解契約を締結する時点で、Cはまだ生まれておらず、和解契約は、例外的に胎児に権利能力が認められる3つの場面にも該当しない。
👇
記述式解答
胎児Cには権利能力がないため、HはCを代理してCA間の和解契約を締結することはできない。(44字)

なお、胎児に権利を認める3つの例外に該当しても、
親などの法定代理人が出生前に胎児を代理できない。という知識も覚えよう
(大判昭7・10・6)


権利能力関連の項目では、権利能力なき社団も試験に出しやすいので、
苦手にしている方は、イメージ・記憶促進ノートをどうぞ。
まずは目次をご覧ください。

イメージ・記憶促進ノート  権利能力なき社団
目次
第1 はじめに
 STEP1で覚えた民法の思考の筋を、STEP2の記述式問題で文章にできるか 
 チャレンジしてみてください。

第2 権利能力なき社団

STEP1
👨択一正誤の事例問題を素材に民法の力を養う
🔵オリジナル択一正誤事例問題 〇か×か
👇 
丸暗記ではなく、応用力をつけるため、解答を導く理由を確認しよう!
👨民法の思考の筋を解説
👇
🔴ざっくり説明すると・・・
 以下まとめて図解するのでイメージを補強してほしい。
🔴イメージ・記憶促進  手書きの図解
「権利能力なき社団の財産が社団の構成員全員に総有的に帰属」し、「債務
 がその社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属」することの
   イメージを図解(手書き)

STEP2
上の択一正誤問題の解説読みで理解した民法の思考の筋を踏まえて、次の記述し問題にチャレンジ!
🔵オリジナル記述式問題
 丙土地所有権者であり丙土地の所有権登記名義人である甲株式会社は、権利能力なき社団である町内会乙に、丙土地を売却した。町内会乙には構成員がABCDEがおり、Aが代表者であった。乙の構成員全員で話し合ったところ、将来の構成員があまり変動することもない見通しであり、現在の所有権の帰属状態について対外的に誤解を与えにくい公示方法で登記をすることに決めた。この場合、丙土地所有権については、誰にどのように帰属し、どのような名義で所有権移転登記をすべきか。「丙土地所有権は、」に続けて、40字程度で記述しなさい。
👨出題意図・配点
👨記述式問題解説
 1 本問のNGワード➀ 
  📖判例
 2 本問のNGワード➁
  📖判例
  👨👆判例の言っていることを簡単にすると、・・・
 3 権利能力なき社団が土地を譲り受けた場合の権利状態と許される登記
  📖参考判例👨👆
 
第3 さいごに おまけ
 YOUTUBE動画で扱った「胎児と権利能力」の覚え方
🔴覚え方 胎児に権利を認める3つの例外を覚えるゴロ
 
ここからは本文です。



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