見出し画像

行政法6回 行政行為の特色と分類

【ご連絡】令和3年12月18日、有料記事を一部訂正しており、一番下のコメントにて、訂正箇所をご連絡させていただきました。同日以前に有料記事をご購入いただいた方はご参照お願いいたします。

問1と2は、YOUTUBE動画行政法6回と同内容です。この分野が苦手な方は、一番下に、ゴロ等を活用した「イメージ・記憶促進ノート」を作成しましたので、ぜひご活用ください。

では、行政書士試験の出題傾向から入ります。
行政行為の特色と分類からの出題は、過去10年で3回出題され、学問上の特許がどれかを事実上選ばせるタイプの問題も出ており、行政行為関連の学問上の11分類(特許・認可・公証・確認等の用語と具体例)もある程度記憶しておいた方がよいでしょう(この辺りは一番下のnote記事で詳述)。

今回も出題傾向に沿ってオリジナル問題を作成しました。
問1が教授学生会話問題で、問2が「学問上の特許」を選ぶ問題です。
ぜひチャレンジしてみてください。 

問1 行政行為の特色に関する次の会話のうち、正しい学生の回答はいくつ
   あるか。
教授 行政行為は誰が誰に対したなす行為ですか。
学生ア 行政庁が国民に対してする行為だけでなく、行政機関と行政機関の
   間でなれれる内部的行為も含まれます。

教授 行政行為の相手方である国民には、どんな法的効果が生じますか。
学生イ 行政行為の法的効果は、権利を制限したり義務を課すといった国民
   に不利益となる結果が生じます。

教授 行政立法も行政行為に含まれますか。
学生ウ 行政立法は行政行為に含まれません。

教授 行政契約も行政行為に含まれますか。
学生エ 行政契約も行政行為に含まれます。

教授 行政庁には利益になり相手方に対して不利益を与える行政行為を何と
  いいますか。
学生オ 授益的行政行為といいます。


問1の解答
学生の回答で正しいものはウの1個
アは誤り
アの「行政庁が国民に対してする行為だけでなく、行政機関と行政機関の間でなれれる内部的行為も含まれます」という回答は誤り。行政行為の特色は、行政庁が国民に対してなす行為なので、行政機関相互の内部的行為は含まれない(最判昭53・12・8が同趣旨の判断)。

イは誤り
イの「学生イ 行政行為の法的効果は、権利を制限したり義務を課すといった国民に不利益となる結果が生じます」という回答は誤り。行政行為の例として、国民からの申請に対して許可や特許を出す場合等、市民に利益となる場合も含まれるため、誤り。

ウは正しい
ウの「行政立法は行政行為に含まれません」という回答は正しい。
行政行為は、具体的な事実(出来事)に対してなされる行為なので、将来起きる事実をも想定して作られる行政立法は、行政行為に含まれない。

エは誤り
エの「行政契約も行政行為に含まれます」という回答は誤り。行政行為の特徴は行政庁が一方的に行う行為なので、契約の過程で双方が対等な立場で話し合って合意に至ることが特徴の行政契約は含まれないので、誤り。

オは誤り
オの「授益的行政行為といいます」という回答は誤り。行政行為の分類で、侵害的行政行為と授益的行政行為に分けることがあるが、これは行政行為の相手方(国民)を基準にして、利益になれば授益的行政行為、不利益になれば侵害的行政行為と分類する。従って、問題文のように相手方(国民)にとって不利益になる行政行為は侵害的行政行為となるので、誤り。
 なお、行政庁と相手方国民の2者間だけが問題文から想定されるなら、上の基準でOKだが、行政庁・相手方国民・相手方以外の国民の3者間が問題文に出てくる場合、行政行為が相手方国民(例えば申請者)には利益(授益的行政行為)で、相手方以外の国民(例えば周辺住民)には不利益になる場合もあるが、その不利益が法律上の利益を侵害すると評価されるレベルならば、その不利益の面は侵害的行政行為となる余地があるため、ある行政行為が授益的行政行為かつ侵害的行政行為となる場合もありうる。



問2 次のアからオのうち、学問上の特許に当たるものはどれか。
ア 農地売買(所有権移転)の許可
イ 公共料金改定の認可
ウ 河川占用権の譲渡承認
エ 河川占用許可
オ 飲食店の営業許可



問2の解答
答えはエ
条文上は、許可・認可・特許いずれも「許可」と規定されることが多いが、
学問上は以下のように分けられる。
ア 農地売買(所有権移転)の許可     学問上 認可
イ 公共料金改定の認可          学問上 認可 
ウ 河川占用権の譲渡承認         学問上 認可
エ 河川占用許可             学問上 特許
オ 飲食店の営業許可           学問上 許可

「行政行為の特徴と分類」について、記憶やイメージづけに自信がないと感じている方は、以下の「イメージ・記憶促進ノート」(note記事)をご活用ください。

イメージ・記憶促進ノート 「行政行為の特徴と分類」
目次
第1 さいしょに  覚える順番・覚える範囲・覚え方
第2 行政行為とは
 受験生の疑問
  この後学習する「行政処分」と、「行政行為」はどういう関係なの?
 👨回答
第3 行政行為の特色 ポイント4つ
🔵ポイント➀行政指導との違い
 💣ひっかけ対策 
🔵ポイント②行政立法との違い
 💣ひっかけ対策
🔵ポイント➂行政契約との違い
 💣ひっかけ対策
🔵ポイント➃行政機関内部の活動との違い
 💣ひっかけ対策
第4 行政行為の分類
1 分類の視点➀ 侵害的行政行為と授益的行政行為
🔵ポイント 行政行為は、国民に不利益な場合も、利益になる場合もある
🔵発展的知識 複効的処分
2 分類の視点➁ 法律的行政行為と準法律的行政行為
🔴覚え方 イメージしやすい具体例で覚える
3 分類の視点➂ 命令的行為と形成的行為
🔴記憶のコツ 
🔴記憶のコツ 
🔴覚え方 言葉の関連付け
 ❓受験生の疑問
  自分の所有する土地なら、何でも自由に採掘できるんでしょ?
 👨回答
第5 行政行為関連の11個の分類(用語)を、5段階記憶法で覚えよう
🔴記憶の手順〈1〉👉〈2〉👉〈3〉👉〈4〉👉〈5〉ゴロ
🔴覚え方 記憶の促進になる具体例とひっかけ候補を紹介
第6 さいごに 

ここから本文となります。
第1 さいしょに  覚える順番・覚える範囲・覚え方
 まず「行政行為の定義」を覚えてから、次に「行政行為の特色」を覚え、最後に「行政行為の分類」を学習しよう。最後の行政行為の分類は、インプットをあきらめがちな受験生が多いが、分類の視点や記憶のコツ、さらに
行政行為関連の11個の用語(許可・特許・認可・公証・確認等)については、5段階の記憶法ゴロを紹介するので試してみてほしい。


ここから先は

5,878字

¥ 100

サポートしていただきまことにありがとうございます。頂戴したサポートは、記事の執筆活動の費用にあてさせていただきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。