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乙女ゲームの今後を考える

さて、界隈で今週中頃から話題になっている、こちらの記事。

要約すると、2019年3月1日をもってコンシューマー乙女ゲームのハードとして一般的だったPS Vitaが生産終了するという発表があった。ついては各乙女ゲーム開発元はハードをNintendo Switchに移行し、現在では続々発売となっている。しかしながら実際の売上本数は芳しくなく、筆者は乙女ゲーマーのハード移行が鈍いことを指摘している。(さらにその理由としては乙女ゲーマーたちの限られた資金の中での使い方も挙げている。)詳しくは上記URLから記事を読んでいただければと思う。私自身もPSの頃から乙女ゲーマーとして時間とお金を費やしてきたが、最近は購入したもののプレイできていない作品も多く、コンシューマーの乙女ゲームから遠ざかっている実感がある。これを機会ととらえ、乙女ゲームの現状と今後を私なりに考えてみようと思う。愛ゆえに。

⑴世間に散見される理由について

 ざっと調べてみると、乙女ゲーマー達がNintendo Switchへの移行が鈍いことに対する理由として下記のようなものが挙げられている。

・移植またはリメイク作品が多く、作品自体に新鮮味がない
・ゲーム機本体を購入するより優先してお金をかける要素がある
 (キャラグッズやCD、イベント参加etc...)
・以前はコンシューマー型でプレイしていたが、今はアプリで充分

など、様々な意見があった。どれも「わかるわかる!」とうなずきたくなるくらい理解できる。

⑵そもそも乙女ゲームのアドバンテージとは

 一昔前、スマートフォンが普及する前のモバイル乙女ゲームといえばブラウザ型で1日1話読み進めることができ、無課金で30~50日くらいかけてエンディングまで攻略するようなイメージがあったように思う。(主観です)ゲームの開発側はまず売上を上げなければならない。よってより甘いシナリオを特定のアバターを有償コインで購入してもらう、というビジネス構造になっていたように思う。この構造でもたらされるウィークポイントがシナリオのクオリティと構築だと私は考える。
 以前から乙女ゲームについて考えるとき、やはり重視するものは何かといわれると以下の2つに集約された。
 ① 魅力的なキャラクターや世界観
 ② ①を最大限に生かしたシナリオ

と考える。もちろん他の要素もいろいろとあるかとは思うが、今回は個人的な解釈にのっとって進めたい。
 私がドハマりの末熱狂した乙女ゲーム「遙かなる時空の中で3」(PS2 / 2004年12月22日発売)を例にとって話したい。

まず、キャラクターの設定が非常にしっかりしていた。過去にどんなことがあって主人公と出会ってどのような変化があったのか(状況・感情)どういうものを好ましく思っているのか、それはどういった過去に起因しているのか、などなど様々なキャラクターの要素が絶妙に交わって出来上がった世界観が遙か3なのではないか。さらに前作遙か2からボイス付きのセリフも大幅に増え、さらには1回バッドエンドまで行ってからやり直すというシナリオのボリュームも相まって、このクオリティのものを当時提供できるのは家庭用据え置きゲームでしかなかったのだ。

 余談だが、PS2の販売台数はものすごく、販売台数は1億5,500万台と国内のゲーム機では1位を譲らない。(ただし、出典のwiki先生には集計日時や出典の記載がないので参考まで)販売台数2位はというとニンテンドーDS(1億5,402万台)である。と言いつつもPS2は据え置き型、DSは持ち運びができるという意味でも当時のPS2の勢いは凄まじかった。DVDプレイヤー機能を備えていたこともあってクラスの半分以上はPS2をもっていたし、ファイナルファンタジーやキングダムハーツなどビッグタイトルも多く、うちでゲームをする、と言えばPS2だった。私自身もPS2をテレビデオにつないで2mくらいのイヤフォンを繋いでゲームをしていた。甘いセリフが恥ずかしいお年頃であった。また、オトメイトさんが乙女ゲームを開発・発売し始めたのもこのころだと記憶している。(調べると初めて発売したのは『ふしぎ遊戯 玄武開伝 外伝 鏡の巫女』2005年6月23日発売だった)
 まとめると、モバイル向け市場がまだハード・ソフト面ともに未熟であったこと。クオリティの高い作品を世に送り出そうとするとハードの普及状況を踏まえ必然的にPS2になっていたということだと考える。それと大事なのはデータ容量等の関係でモバイル用乙女ゲームにボイスがほとんどついていなかったこと。

⑶PSPの台頭

 のちに乙女ゲームの新作タイトルはPSPで発売するようになった。PSPは遙か3が発売された年でもある2004年12月に発売された。その後2007年にはPSP-2000シリーズが発売された。私もこれを発売日とともに買ったことを覚えている。ラベンダーパープル色だった。2000シリーズは可愛い色合いのものもあって女子受けしたのではと思う。その後PS2並みのクオリティを発現できるPSPは「画面見られたら恥ずかしい・・・」とか「耳元でキャラクターの声が聞こえる・・・」など様々なメリットがあり乙女ゲームの本数もPSPに集中していきました。
 PSPで乙女ゲームは発売になると知った時は「いやいや!乙女ゲームはテレビの画面だから臨場感あっていいんだよ!」とか言ってましたが、起動の手軽さや作品の多様性に飽きることなくPSPで数々の恋愛をプレイしてきました。

⑷PS Vitaへの移行

 Vitaへ移行になった時、まだPSPで現役のソフトも多くあまり現実的にとらえていなかったものの、消費税が8%になる前に!と中古で購入したVitaでAMNESIA V Editionをプレイしたときの感動は忘れられません・・・!まず絵がきれい!そして音がクリア!画面が大きい!そして一番はPSPの時に気になっていたディスクの読み込み音が全くない!動作がサクサク!
 それでもVitaでプレイしたのは遙か6や男遊郭、オトメイト作品をいくつか・・・PSPほどはありませんでした。この頃になるとオトメイトさんの作品が多く世に放たれて、ある種乙女ゲームの定型みたいなものが多くみられました。基本的に会話と選択肢のみ、世界観がこだわっている、などなど。一方でそんな中生まれたビッグタイトルのひとつが「薄桜鬼」かなと思います。

第1作はPS2で2008年に発売、2010年にアニメ化され一気に盛り上がり、舞台化や映画化、京都の居酒屋とコラボなど様々なコンテンツ展開をして私も散々ゆかりの地めぐりに京都へ行きました。
 この頃から乙女ゲーマーの方たちは舞台へ行ったり関連グッズを買ったりとコンテンツの充実に比例してお金の使いどころが増えたのだと感じます。

⑸スマホアプリの使い勝手のよさ

 毎年9月に新しいiphoneの発表がおなじみになってきた昨今。特にここ10年はスマートフォンの性能向上と普及が著しく、街を歩けば誰もが手にしている状況になりました。iphone6 plusが出たあたりから、画面のサイズがVitaくらいあるやんか!と性能面でもVitaに引けを取らなくなりました。それでもまだコンシューマー型の方がクオリティが高いイメージがあったものの、実際には通勤通学の時間などでも気軽に遊べるスマホアプリがだんだんとシェアを広げていきました。シナリオ完結のものもあれば、パズルや戦闘などゲーム性の高いものも出てきてはアニメ化、舞台化もするようになり、もはやコンシューマー型とスマホアプリの境目があいまいになってきたように感じます。むしろ携帯用ゲーム機は会社へもっていかないけれど、スマートフォンは会社へもっていく。この違いがじわじわと両者の距離を詰めている気がします。

⑹今後どうなっていくのか

 今では1話買取の乙女向けシナリオがアプリで買える時代です。追加ストーリーの配信やリニューアルも容易になりました。今のままではSwitch Liteでのソフト販売数は伸び悩んでいくと思います。さらにこのあと5Gの導入によって通信量の肥大化は確実と思われますし、いっそアプリゲームとして発売があるのかもしれません。また、現状のコンシューマー型乙女ゲームは買ってみないと面白いかどうかわからない。体験版を配信することもありますが、そういった費用的・時間的なリスクがある限り衰退していくように思います。
 いっそのこと、過去の名作含めスマートフォンで遊べるように配信体制を整えるのはどうか、と考えます。今からPSのアンジェリークをプレイするのは本体をセッティングしたり適合するジャックがなかったり難しいですが、売り切りで購入できるのであれば消費者の選択肢にも入るのではないでしょうか。以前主人の勧めでスクウェア・エニックスのファイナルファンタジータクティクスをスマートフォンでクリアしましたが、ハードがスマートフォンでなければ最後までクリアできなかったと思いますし、とても面白い作品でした。非常に満足しています。もちろん移行にかかる費用やコーディング、容量の問題など課題はあると思いますが、メリットも大きいと思います。以上をこれからの期待として、すべての乙女たちがときめきを充電できるようなマーケットになりますよう微力ながら今後とも応援してゆきたいと思います。

※遙か7絶対買うから!と我が家ではNintendo Switchを増税前に駆け込み購入しました。ゼルダBOTWも面白くて買ってよかったです!

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