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時間栄養学

同じ食事でも、食べる時刻や速度、順番によって栄養学的効果が変わってきます。何をどれだけ、いつ、どのように食べるのが健康にいいのかを考えるのが「時間栄養学」です。
例えばダイエットのために朝食を抜くと、昼食後の血糖値の上昇幅が朝食を食べた時より大きくなります。その後急激に上昇した血糖値を下げるためにインシュリンが過剰分泌され、今度は急激に血糖値が下がり、場合によっては低血糖を起こします。これを「反応性低血糖」といいます。

反応性低血糖を抑えるには「セカンドミール効果」が有効だと言われています。セカンドミール効果は1982年にカナダ・トロント大学のジェンキンス博士によって発表されました。これは一言で言うなら「一日の1回目に取った食事が、2回目の食事の血糖値に影響を及ぼす」という理論です。具体的には「朝食に糖質が少なく食物繊維が豊富なメニューを選ぶと、昼食後でも血糖値の急激な上昇を抑える効果がある」という理論です。
食事をすると血糖値が高くなります。健康な人の場合はインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖がさまざまな臓器や細胞に取り込まれるため、食後約2時間以内には正常値に戻ります。しかし、インスリンの分泌が十分でな場合、血糖値が下がりにくくなります。そのため、食事をして2時間後に測った血糖値が高い場合は食後高血糖と判断されます。
さまざまな研究結果から、食事の最初に「野菜」を食べると食後の血糖値が上がりにくくなるとされています。白米より食物繊維の多い玄米のほうが栄養の吸収を阻害する分、血糖値の上昇を緩やかに抑える効果があります。
野菜(食物繊維)を最初に食べ、次にたんぱく質が豊富な魚や肉、卵類、そして最後に炭水化物を摂る「ベジファースト」なども、そうした効果を活用した健康法といえるでしょう。

そして朝食を欠食すると、肝臓のグリコーゲンが減り、筋肉を取り崩してでもグルコース代謝を行い脳の活動を維持しようとします。人の体は脳を優先するためです。そして筋肉の減少は体力と基礎代謝量の低下を招き、逆に太ることになります。逆にエネルギー量を変えずに朝食を増やし、夕食を減らすと「ヘモグロビンA1c」(HbA1c)の値が下がるという研究報告もあります。

では、セカンドミール効果のある朝食とは、一体どんなものなのでしょうか。手軽に食物繊維を多く含む「シリアル」が朝食にいいという報告があります。また、先ほどの「食物繊維を最初に食べ、次にたんぱく質が豊富な魚や肉、卵類、そして最後に炭水化物を少し摂る」食事は日本の懐石料理の順番ですね。日本の料理はとても理にかなったダイエット法と言えます。
毎日会席料理とまでは行かなくても、食物繊維の多い一品を朝食に取ってみるのもいいかもしれません。

食物繊維を多く含む食品
・穀類:玄米 胚芽 米麦めし とうもろこし
・豆類:煮豆(大豆、うずら豆、あずき) 納豆おから
・芋類:さつまいも 里いも こんにゃく
・野菜: ごぼう ふき セロリ アスパラガス 青菜類 キャベツ 白菜
・果物:柑橘類(みかん、グレープフルーツなど) バナナ うり類
・きのこ類:しいたけ しめじ きくらげ
・海藻類:わかめ 寒天 ところ天


結論

朝食に食物繊維を1品加えよう


参考文献
「新版フードコーディネーター教本」
「健康寿命を延ばす時間栄養学」
「時計遺伝子と食事のリズム」




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