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繋がりを求めて

”Vinculos”, Conpania La Moneta


4年ぶりにヘレスのフェスティバルに来た。
初めと終わりを2日ずつ外してはいるが、今年もTeatro Villamartaの多くの公演と、いくつかの小規模公演、Off the Festivalという非公式だがこの時期に合わせて開催されるライブを観られそうだ。

到着してすぐに観たのはラ・モネタの作品。
「vinculo」とは絆とか結びつきといった意味で、フラメンコのルーツから現代までのつながりを示す。
フラメンコを媒介して、時空を超越しようとしていることが見てとれる。
こういうコンセプトは比較的多いが、どう超えていくのかはアーティストそれぞれ。

音楽はフラメンコの歌唱やリズムを採り入れての作品で評価の高い、スペイン現代音楽の代表的作曲家のひとりマウリシオ・ソテーロ。
冒頭から、パーカッションのカルロス・メリーノがシンギングボールを響かせ、フアン・ヒメネスのサックスが加わり、どこか異教的な空気が漂う。
ラ・モネタとの熱いダイアログが一気に観客を巻き込んでいく。

木管楽器がこんなにフラメンコにフィットするとは思わなかった。
チェン・アレヴィのクラリネットが加われば、それはもうカンテがもう一人いるかのごとくだ。

1984年グラナダ生まれのラ・モネタは、ヒターナではないらしいが
この空気の中で、少し前かがみ気味の姿勢がかえってサリーを着た女性を想起させる。
真っ黒な光沢のある、サーキュラースカートに近いほどにたっぷりとフレアをとった衣装。ブエルタ(回転)の迫力をさらに印象付ける。
柔らかい関節と力強い動きで、ときに火山の溶岩の流れのようでもあり、
熱帯雨林で蔓をのばしてゆく植物のようでもあった。

後半は、真っ赤な衣装にチェンジ。
効果的にあしらったフレコが彼女の動きとともに揺れれば、ときに熾火のようで、ときに烈火のようだった。

ギターはホセ・フェルミン・フェルナンデス、カンテはヘロモ・セグーラ。

ラ・モネタは今年のGWに東京ガルロチでのショウが決まっている。
残念ながら自分は見られないが、楽しみだ。

Festival de Jerez, 25.02.2024, Teatro Villamarta


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