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仙台初売り

先回は企画のつわもの、管野さんのデザインしたラパンちゃんの妖怪アマビエの福袋のお話でした。

福袋といえばおなじみ仙台初売りですね。

初売りといっても仙台の初売りは他の地域の初売りとはその賑わい、人出がけた違いに凄いのです。少し長くなりますが今回は仙台初売りについてのお話をさせていただきます。

30年ほど間に仙台に進出した西友のザ・モール仙台長町、当社のリブルマルシェも出店させていただきました。その西友ザ・モール仙台長町店の初代店長さんが、このような驚きの言葉を発したのを覚えています。

「今まで何店舗かの開店を経験してきたが、その後どこの店でも開店初日の売り上げを超えることはどうしても出来なかった。ところが仙台初売りの初日の売り上げはアッという間にザ・モール仙台長町の開店初日の売り上げを大きく上回った、仙台の初売りのパワーには驚きました。」

そうなんです、仙台圏以外にお住まいの方には想像出来ないほどの初売りパワーなんです。

私が子供のころはもっぱら豪華な景品付き販売と福袋が主流でした。その後割り増し商品券や中身の見える福袋など登場してくるのですが、あの公正取引委員会でも旧仙台藩の地域では仙台初売りについては景表法の特例を認めているくらいなんです。

仙台初売りは伊達政宗の時代、藩政時代から伝わる仙台の伝統行事です。

伊達家が米沢市に居城を構えていたころから正月の2日に買い初めをしたことから正月2日が仙台初売りの初日として催されてきました。(一時期、正月3日に初売りをした時期もありました)、当然元旦は休業です。従業員もお休みをしていました。

今から20年程前に当時仙台地区にも何店か出店していたジャスコ(現イオン)の岡田元也社長が翌年からの元旦初売りを開催することを仙台商工会議所に申し入れたことから事態は急変、商工会議所を中心に「仙台初売りを考える会」が発足、仙台市内の各商店街と大型店各社がお互いに意見を主張して学識経験者の方も交えてその調整を試みました。

大型店は各社とも元旦初売りには賛成、一方地元商店街は2日初売りを堅持すべきと主張・・・「仙台初売りを考える会」には岡田元也社長が直々に2度も出席をされたと記憶しています。

大型店の意見は概ね・・・元旦にしか買い物できない方もいる・・・元旦からの初売りは多くのお客さんに支持されていて沢山の方にご来店いただいている(仙台市以外の例だと思います)

一方地元商店街の意見は・・・仙台の藩政以来の伝統的な行事を踏みにじるもの・・・元旦ぐらいは従業員を休ませてあげたい・・・といったものでした。

当時サンモール一番町商店街(以前お話ししたことがあります)の理事長と東一番町商店街の連合会長を務めていた私はその後発足した「初売りをよりよくする検討会」の座長を任されました。(写真は当時のサンモール一番町商店街の副理事長の佐藤さんとの初売りでの2ショット)

初売り3

私は岡田元也社長と直に会ってお話をさせてもいただきました。

その時岡田元也社長がこのように発言されました。

ジャスコ(現イオン)は「社会的インフラの責任として元旦からの営業をしたいと思っています。」

私はその言葉にハッとしました。私たち小売業はお客様のためのお店であるべき、すべての判断はお客様にとってどうか?・・・ということで決めるべきだと・・私たちの都合で判断するのは間違いだと。

確かに正月は元旦にしか買い物ができない方もいるはずですし、急な発熱などの場合は薬を売っているところがあれば助かります。食品なども例外ではありません。

ある地元商店街の方が会合で発言したことがあります。「うちの商店街でも元旦から営業している変わり者がいる、そんな奴は村八分だ」私はその発言に対して同じ商店街関係者ながら異論を訴えました。「もしその方がお金儲けだけで元旦営業をしているならそのように思われても仕方がないかもしれないが、もし食料品やお薬などの必需品を元旦にしか買えない人のために店を開けているのなら、それは商人としてとても尊いことではないでしょうか」

誰でも元旦ぐらいは休みたいものです。

一方、それであるならば元旦に初売りを実施することは逆にお客様からお正月を奪ってしますことになってしまいます。もちろん多様性の時代、お正月の過ごし方は人によって異なります。遊興施設に行く方、娯楽を楽しむ方、買い物を楽しむ方、温泉など旅行に行く方、しかし本来お正月は一家団欒で穏やかに過ごすのが日本の伝統だったはずです。

そのようにお正月を過ごしたいと思っている方のお正月を奪ってしまうのが元旦初売りではないか・・・何故ならそれだけ仙台初売りは魅力があるからそのような方までにも来店を促すことになってしまいます。

ある大型店の方が発言しました。「元旦から営業すると福袋や先着景品目当てでたくさんのお客様が来店してくれます。だから元旦に営業するべきです」私はこれにも反論しました。「だからこそ元旦初売りはお客様からお正月の一家団欒を・・・お正月を奪ってしまう結果になるのです。」

私はその時、地元商店街派や大型店派ではなく、あくまでもお客様にとってどちらが良いのかが判断基準だと強く思いました。

そこで私は元旦は”通常営業”・・・元旦にも必要なものが買える

初売りは2日からの開催・・・お客様のお正月を守る

という事でまとめました。

本来は元旦も休みにしたかったのですが・・・考え方は立場の違いでいろいろあることに気づかされました。

その時、一般消費者の方から募集した標語の中から選んだのが「初夢の続きは仙台初売りで」あくまでも2日の初売りを強調したかったのですが20年経った今でも使われ続けています。、(トップの写真です)

先日ある会合で岡田元也社長さんにお会いする機会がありました。その時、岡田元也社長さんは「仙台市が今でも2日の初売りを堅持していることは素晴らしい事です。」とお話をされていました。私もそう思っています。何とか仙台の伝統初売りを守っていきたいと・・・それでも元旦から初売りをするお店も沢山あります。(残念です!)

私のお店、リブルマルシェでも単独店(路面店)は元旦は休業していますがイオンさんなどの施設に入居しているお店は元旦からの営業です。

元旦ぐらい休みたいよね・・・(本音!!!)




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