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ブッシュ四重奏団のこと

先日、たまたま立ち寄った市内のブックオフでブッシュ四重奏団のベートーヴェンを見つけたので購入した。アドルフ・ブッシュがUSAに亡命してから1941年に録音した作品59の1(ラズモフスキー第1番)と作品130の絃楽四重奏曲である(ソニークラシカル:SRCR9114)。

ラズモフスキー第1番から聴き始めて、のっけからいやこれはずいぶんと明るい録音/演奏で、わたしがすでに持っているワーナーの箱(HMV/EMIの集成)で聴くしんねりむっつりした(失礼)ブッシュ四重奏団の演奏とは雰囲気が違うなあ、と。

そういえば柴田南雄がそんなこと(ヨーロッパ時代とUSA亡命後の違いについて)をどこかに書いていたな、あれは確か『レコードつれづれぐさ』だったなと本を引っ張り出してきたら当たりで、そこでは作品130の方ががとりあげられていた。

ところがこの作品130はワーナーの箱(ワーナークラシックス:0825646019311)にも同じ録音が収められていて(箱に付いてきた英文の解説書をどうにか眺めてみたけど、作品130の録音そのものについては特に説明はなかったので、何故ワーナー[HMV/EMI]とソニー[CBSコロンビア]と同じ録音を発売しているのかはよくわからないまま)、わたしもこれを時々聴いているはずなのだが、作品59の1のように(あるいは柴田南雄が言うように)一聴パッとわかるような違いがあるようには感じられていなかったのはどういうことかしら。しかもワーナーの箱では作品130は、ブッシュ四重奏団の録音でも初期(1932年)の録音である作品95とカップリングされているにもかかわらず、である。

まだまだ修行が足りないのか、はたまたベートーヴェンの中期と後期ではそれほどまでに音楽が違うのか。

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