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※隣り合わせの駄文とあとがき※

 よくもまあここまで書くことあったよな、と思います。

 しょせんは本家ありきの同人Wiz。語るべきことなんてなんもねえよ? とずっと思ってたんですが、シナリオデータを見ながら文章を起こしていると「ずいぶんいろんなことを想像しながら作ってたんだな」と自分でも驚いてしまいました。
 もちろん、その基盤には本家WIZARDRYのシニカルさやジョークセンスがあって、国内におけるFC版の展開時にベニー松山さんほかスタジオベントスタッフの方々が作り上げた本格ファンタジーの世界観があって……その上で想像の翼を広げてみました、という代物です。これは自分の表現物だと胸を張れるような要素はひとつもありません。

 ただ、ウィザードリィが好きだ、という愛だけは山盛りです。
 ンもう、あらゆるところで、過剰なくらいに。

 そもそも〔五つの試練〕のシナリオエディタがすごく優秀なんですよ。いじれる部分といじれない部分の匙加減がとても絶妙。どうしても納得できないことや好きになれない部分は省略できるようになっていて、そのせいで余計にシナリオ制作者の「ここが好きだ! 愛してる!」という要素が強調されるようになってる。
 考えようによっては怖い話です。〔五つの試練〕って実は、WIZARDRYというシリーズに対する踏み絵だったんじゃないかとすら思いました。いや、考えすぎだと思いますけど。

 〔平和への妄執〕に話を戻します。

 最初は、本家#1~#3の完全再現を目論んでいました。
 ネットを探せばモンスターやアイテムのデータリストなんかも見つかりましたし、BGMにはずっと売らずに持ってるハネケンさんのCD音源をWAVにしてループしそうな感じで加工してブッ込んで、狂王の試練場でしこたまレベル上げてから装備を引き継いでニルダ寺院の迷宮に挑戦、ついでにリルガミン郊外の梯子山も攻略しちゃえる、そんなシナリオを作ろうかと。
 その予定がおかしな方向に行きだしたのは、疑似二刀流システムを作り始めた頃だったのかな。本家の二刀流は(特に#6とか)あんまりにも強すぎたので、そもそもこのくらいで抑止しておくべきだったんちゃうかなと。実装して動かしてみたらけっこう良い感じに表現できて、これなら他にも「やってみたいこと」が形にできる予感がしてきちゃった。

 ワードナをやっつけたあと狂王トレボーもブッ潰したい! ニルダの迷宮はもっと深いほうが良かったしむしろデーモンロードよかダバルプスと決戦したかったよなー! リルガミンの遺産にもボス欲しかったんだよねむしろエル'ケブレスを救うために冒険するとかそんなのが良かったなああああ!

 で、いつの間にやら〔平和への妄執〕になってたのです。

 ワードナ役が魔人エイドゥと魔女イスルト。トレボーは大公オーガスⅠ世。ちなみにエイドゥとオーガスは僕の本名をアルファベット読みしたアナグラムです。ちゃんと本家の伝統通り。
 んで、最終的にはこの世界≒エル’ケブレスのために戦うことになり、ダバルプスならぬ混沌の使者をやっつけると。はい、もうそのまんまです。中学生だった頃の僕の妄想を具現化したにほぼ等しいわけです。
 本家#4、#5、#6の要素もちょいちょい入ってますが、こちらはゲーム要素ではなくストーリー方面に色濃く出た感じですね。アレもコレもと欲張ってたらそういう塩梅になっちゃったのだ。

 でも、本音を言うと。

 僕はこういうシナリオを「作りたかった」わけじゃない。こいつはあくまで、僕自身が「遊びたかった」ものなのです。
 究極、自分さえ楽しければいいわけですから、こんなプレイガイドみたいなテキストを書く気はさらさらなかったし(めんどくさいもんな!)むしろ〔平和への妄執〕を遊ぶ上で邪魔だろうとすら思ってました。最低限の情報はシナリオ中に盛り込んだんだから、あとは自由に想像してもらえたらと。
 なもんで、本項がなんだか評判よさげで反響があることに驚いています。
 考えてみれば、オード軍のブラック具合とか、大公家とエイドゥやイスルトの関係とか、断片から読み解くにはちょっと面倒だったかもなあと今なら思います。もっと早くにやっときゃよかったな……。

 とにかく、吐き出せる情報は全部吐き出しました。
 このテキスト類をざっと確認してからゲームを始めれば、〔平和への妄執〕がより面白くなる……かどうかはわかりませんが、少なくとも本作をとっても気に入って何度も遊んでる僕とだいたい同じ目線で楽しめるのではないでしょうか。いや知らんけど。多分ね。多分。

 皆様の旅路にも、どうか祝福(カルキ)のあらんことを。



2020/08/24
オード領の片隅で猫神様にスルメをお供えしつつ



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