良い円安悪い円安

・注目ニュース
ドルが約3年ぶり高値、リスク選好で円安も進行=NY市場
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-19-idJPKBN20D2U6
今日のテーマは円安です。市場で円安が話題になっています。ドル円は一時111.59円と2019年4月以来の円安水準となりました。さらにはこの円安をが日本株を押し上げているとニュースでは説明されています。なぜ円安が株高につながるのでしょうか。果たして足もとの円安は日本経済にとって本当に良いことなのでしょうか。

・円高円安とは
そもそも円高円安とはどういう状態でしょうか。様々な説明がされていますが、筆者は次のように定義しています。
円高:外国製品・サービスの価格が相対的に安くなる状態。また、海外から見れば、日本製品・サービスの値段が相対的に高くなる状態。
円安:外国製品・サービスの価格が相対的に高くなる状態。また、海外から見れば、日本製品・サービスの価格が相対的に安くなる状態。
例えば米国で100ドルで売られている商品Aがあります。現在1ドル=100円だとすると商品Aを買うために日本円で10,000円必要です。1ヶ月後に1ドル=110円になったとします。この時商品Aを買うために11,000円が必要になります。米国製品の価格が日本円ベースで高くなっているため円安になったと表現します。

・円安は輸出企業にとってメリット
一般的に円安は輸出企業にとってメリットがあるとされています。日本の輸出企業にとって製品が相対的に安くなるため競争力が増し、売れやすくなるためです。もしくは海外の通貨で同じ売上だったとしても、受け取る円の量(利益)が増加します。

・円安になると日本株は上昇しやすい
円安になると日本株は上昇しやすいと言われています。それは、日本企業には海外で稼ぐ輸出型の企業が多いイメージが染み付いているからです。代表的な輸出型企業には自動車のトヨタ、建設機械のコマツ、ロボットのファナックなどの機械、精密機械のセイコーエプソンなどが挙げられます。また、ユニクロを運営するファーストリテイリングの営業利益も2019年には海外比率が上回っています。

・今回の円安は日本売りの可能性
足もとの円安は手放しで喜べない円安の可能性があります。2019年10–12月期国内総生産(GDP)は消費増税引き上げの影響で前四半期比で年率マイナス6.3%となりました。まだ COVID–19の影響が出る前の状態でこの景気の弱さです。日本では
あまり大きく報道されていませんが、海外では「ショッキング」な結果だとして、アベノミクスは失敗だと評価されています。例えば米国経済紙The Wall Street Journaではアベノミクス「大失敗」、英金融紙FinancialTimesの社説で「アベノミクスに対して審判 日本経済が不況の縁で揺れる」と報道されています。
英FinancialTimesの記事
Abenomics on trial as Japan teeters on brink of recession
https://www.ft.com/content/f1320946-5208-11ea-8841-482eed0038b1

・円安=日本株高とはならない可能性
これまでは円安が日本株のサポート材料となったことは確かです。しかし今後は円安だ必ずしも日本経済・日本株にとって良い材料であるとは限りません。日本の国力低下を嫌った日本売りの結果、いわゆる悪い円安だとすれば、脊髄反射のように円安=日本株高とは考えない方が良いでしょう。

※ディスクレーマー※
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