上手に会社員を続けられる人は凄いと思う、という話。

週5日フルタイム正社員で働きながら、プライベートの時間は時間で充実させている。
しかも一人暮らしをしながら。

そういう若い同僚をたくさん見てきた。
そんな人たちのことを、本当にすごいと思う。

仕事のやり方は人それぞれだし、充実しているプライベートの内容もそれぞれなんだけど、とにかく週の過半数を"仕事"しながら、プライベートは気持ちを切り替えて楽しく過ごす。
これを親の補助なしでやる。
どんなに凄いことか、彼らは気がついているのだろうか。

それとも、私の目に見えていないだけで、彼らにも相応の苦しみがあるのだろうか。
何か、ものすごい努力が裏にあるとか。
楽しそうな活動も、やってはいるけど実は楽しめていないだとか。


私は、平日に願望を押し殺している。
仕事中に、無性に絵や創作のアイデアが浮かぶ。
アイデアといっても、クリエイター業界を揺るがす画期的なものではない。
ただ描きたいもの、書きたいもの、つくりたいものが浮かぶ。
特に日中は体力があるから、つくりたくて仕方なくなって気持ちが溢れそうになって息苦しくなってトイレに行くのだけど、「うう…忘れろ、忘れろ…」と歯を食いしばる。
生活費のためには事務の仕事なければ。と。
心の中で墨を擦りながら、ある種の瞑想状態に自分を持っていく。
あと、天気のいい昼下がりなんか、つんざくような衝動と共に旅行に行きたくなるんだけど、というかいくべき場所を閃くのだけど、だからって水曜日の昼下がりに「今から三日間有給とります」とは言えないから、同じく気持ちを殺して書類に向かう。

そんなことをしているうちに定時になって、ホワイトだからすぐ帰れるんだけど、「やった!家に帰ったら自由になんでもなれるぞ!」と思ったのは束の間。

もう、情熱はどこかに行ってしまっているのだ。
何がしたかったのか体が覚えていないのだ。
筆が進まない。
何もつくれない。
さっきまであんなに旅行に行きたかったのに、週末の予約を取ろうとは思えない。
もう行きたくなくなっているのか。

最初は、仕事のストレスから来る現実逃避かとも思った。
だけど、よく考えたら、私はもともとモノづくりが好きで、絶対にそれで稼ぐしかない、会社員なんか無理だし。とまで思い込んでいたので、別に突然の病気ではない気がした。

そんなある日、知り合いのクリエイティブ系のフリーランスの方と町で偶然に会った時、「やりたいことやんないと。やりたいことが何かわかんなくなっちゃうから。」って言ってた。

本当に、それになってしまうのだ。
いや、すでになってしまっていたのだ。

帰宅してから絵を描くという同期もいた。
だから私の気持ちがその程度なのかと人生を諦めていたのだけど、長期休養を余儀なくされて、丸一日十時間になって仕事のことを忘れてみると、やっぱり天気のいい日には唐突に何かつくりたくなるし、突発的に旅行に行きたくもなる。
そして、思うがままに手を動かす。
行ってみたい場所に行く。

これが、命だ。
これが、生きているということなんだ。

実感する。

だから、上手く会社員をしながら生きている彼らは、どうやって自分を押し殺しているんだろう、押し殺しつつ、上手く帰宅後や土日のタイミングで自分を解放しているんだろう。

不思議で仕方ないし、羨ましい。

ただ、人には性分がある、という結論でいいなら、私は生き方を少し考え直したほうがいいかもしれない。

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