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改革こそロック!~下北沢イチわかりやすい宗教改革講座(前編)〜 by結束バンド

■はじめに

2022年10月31日。
ハロウィンのこの日、ロックの町・下北沢も、ハロウィンムード一色となっていた。

あっ、え、え、え?もうこれ‥始まってるんですか・・・??

あっ、あのぅ・・・私は、じゃなくて、皆さんこんにちは、私はアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の主人公、後藤ひとりことぼっちです、じゃなくてあっあのー・・ぼっちこと後藤ひとりも申しまふ!!

(噛んだー!!!!!)

【後藤ひとり(ごとう・ひとり)】
極度の人見知りで陰キャな高校一年生。結束バンドのリードギター担当。陰キャでも輝けそうなバンド活動に憧れギターを始める。腕前は本物だが、バンドや人前でうまく発揮することができない。会話の頭に必ず「あっ」って付けちゃう。

アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』公式サイトより

??「ぼっちちゃーん!」

ひとり「あ・・・虹夏ちゃん!」

虹夏「どうしたのこんなところで?急にいなくなっちゃうから心配してみんな探してたんだよ?あ!私、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の伊地知虹夏でーす!ぼっちちゃん達と一緒に組んだバンド『結束バンド』のドラマーでリーダーです!」

【伊地知虹夏(いぢち・にじか)】
元気いっぱいの明るい高校二年生。結束バンドのドラム担当。結束バンドに加入したひとりにいろいろ世話を焼いてくれるバンドのまとめ役。ライブハウス「STARRY」の店長である星歌を姉に持ち、ライブハウスに特別な思いを持っている。

アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』公式サイトより

ひとり「こ、怖くて・・・」

虹夏「怖い?何があったの?」

ひとり「だ、だって今日10月31日はハロウィン・・・シモキタ中の陽キャ、リア充、パリピがライブハウスの前にたむろしてるから、私のような陰キャはもうどうしたらいいか・・・」

虹夏「なーんだ、そんなことか!私もあんまりハロウィンの仮装パーティ的なのは好きじゃないよ?大丈夫大丈夫。それに今日はハロウィンだけじゃない特別な日・・・宗教改革記念日だしね!」

ひとり「宗教改革って・・あのカトリックを批判してプロテスタントができたっていう?」

虹夏「そうそれそれ。ちょうどタイムリーだから私が解説しようと思うの。なんで私が解説役になったかというと、このnoteの著者の人、ぼざろ(ボッチ・ざ・ろっくの略)にハマっちゃって、まだ4話しか放送されてなくてキャラの理解も解釈も十分じゃないのにnoteに登場させることにしたらしいんだ。」

ひとり「な、なんか急にメタってないかな?」

虹夏「まず前編では、宗教改革の歴史とどのような改革が行われたのかということについて。後編は・・・っと、今は説明はやめとこうかな。」

ひとり「???」

■宗教改革(ドイツ)

虹夏「宗教改革はヨーロッパじゅうで起こった改革運動なんだけど、今回はその中でも代表的な、ドイツとスイスの改革について解説していくね。さっきぼっちちゃんが言った通り、カトリックからプロテスタントが分派したというのが一般的に知られている宗教改革の大きな出来事なんだけど、そもそもなぜ宗教改革が始まったのか知ってる?」

ひとり「え、えーと・・・確かルターという人がカトリック教会が免罪符を売ってお金儲けをしているのを批判したっていう・・・」

虹夏「正解!これは有名だよね。当時のカトリック教会のトップ、ローマ教皇レオ10世は、1515年に免罪符、またの名を贖宥状という『この状を持っていればあなたの罪は許されます』的なものを信者に売り、莫大な利益を得ていたの。」

ひとり「えと、たしかバチカンのサンピエトロ大聖堂を作るためにお金を集めていたって・・・」

虹夏「そう!世界史の教科書でもよく出てくるね。そしてこの贖宥状に対して異を唱えたのがあの有名なルターさん。」

ひとり「あっ、教科書で見たことある・・・そ、そのルターさんってそもそもどんな人なんでしょう?」

虹夏「ルターはドイツのカトリック教会の聖職者で、大学で神学を教えていた教師でもあったの。」

ひとり「お、思いっきりカトリック教会側の人だったんだ・・・やっぱり自分の教会がお金儲けに走っているのが許せなかったのかな?」

虹夏「お金儲けに対してもそうだけど、カトリック教会では『ゆるしの秘跡(告解)』で司祭に罪を告白して罪のゆるしをもらうことが普通なのに、お金の力だけでゆるしを与えていることに対しても批判したんだよ。そして1517年10月31日、ヴィッテンベルクという町のとある教会に『95か条の論題』という文書を掲示し、当時のカトリックの在り方を厳しく批判したんだ。当時は有名なグーテンベルクの活版印刷が世に広まっていた時代で、あっという間にこの論題は広まっていったんだよ。」

ひとり「で、でもそんなことしたら教会の偉い人たちが黙ってないんじゃ・・・」

虹夏「そう。実際レオ10世は撤回を要請したけど、ルターは聞き入れず、改革運動はドイツ中に広まっていったんだよ。上の人に怒られるのを覚悟で改革を行っていったその姿勢はまさにロック!改革・ざ・ろっく!だよ!」

ひとり「タイトル回収きたー」

虹夏「結果、ルターはカトリック教会から破門、追放されてしまったんだけど、フリードリヒ3世というドイツのとある公国の君主に匿ってもらったの。」

ひとり「あ、優しい人もいたんですね」

虹夏「フリードリヒ3世のお城に1年ほど匿ってもらったルターは、その間に新訳聖書をドイツ語に翻訳することに成功するんだよ。」

ひとり「っひ、引きこもってひたすらあの分厚い聖書をドイツ語に翻訳!・・・まるで中学3年間家にこもって一日6時間ギターを練習してた私みたい・・・でも、そもそも聖書ってそれぞれの国に訳されているんじゃないんですか?」

虹夏「それが違うんだよ。聖書の原典は、旧約聖書はヘブライ語、新約聖書はギリシャ語で書かれていて、それ以外の訳はなかったの。当然それらの言葉を知らない国の人たちは読むことができない。当時は今のように信者が一人ひとり聖書を持っていて気軽に読むことなんてできなくて、教会の聖職者や、語学に長けた知識層じゃなければ読むことなどできなかったんだ。」

ひとり「ルター、凄すぎません?」

虹夏「こうしてカトリックから破門されてしまったルターは、やむを得ず新しい教派、ルター派(ルーテル教会)を作ることになった、というわけ。カトリックに対してプロテスト(抗議)をする人たちという意味で、改革推進グループはプロテスタントと呼ばれることになったの。プロテスタントというのはあくまでもカトリックに抗議する人たちの総称で、特定の教派を指す言葉ではないというのは覚えておいてね。」

■宗教改革(スイス)

虹夏「さて、ドイツでの改革運動を受けて、そこからさらに改革を推し進めていったのがスイス。神学者のツヴィングリという人物の改革を説明していくよ。」

ひとり「ツヴィングリってもう名前からして大物感が凄い・・・」

虹夏「ツヴィングリはルターの提唱した『聖書のみ』という原則をさらに徹底していったんだ。あ、ルターの3大原則、『聖書のみ・信仰義認・万人祭司』のについては次回にまた詳しく見ていくね。ツヴィングリは教会において聖書に根拠がないとするものを徹底的に批判し、排除していったんだ。」

ひとり「え、例えばどんなものが排除されたんですか?」

虹夏「教皇制、聖人概念、修道院制度、聖像、聖遺物などが代表的なものだね。」

ひとり「それらって確かにザ・カトリックっていう感じがするけど・・・ルターはそれらを排除はしなかったと?」

虹夏「実はルター派はプロテスタントの数ある教派の中でも極めてカトリック色が強い教派なんだよ。聖人崇敬や修道院もあるし、聖像がある教会も珍しくない。

これは東京にある聖パウロ教会という名前の教会なんだけど、名前だけ聞くとカトリックっぽいけど実はルター派。バリバリのプロテスタントなんだ。」

日本福音ルーテル聖パウロ教会 (plala.or.jp)

ひとり「まっ、まぶしい!圧倒的なカトリック感!プロテスタントは教会が地味で、聖人なんていないシンプルなグループだと思ってたのに!ルター派はカトリックから分かれた教派の元祖なだけに、まだカトリック感が色濃く残っているってことですか。」

虹夏「ぼっちちゃんが言ったように、一般的にプロテスタント教会は質素でシンプルなイメージがあるけど、そのイメージはツヴィングリによって作られたものなんだよ。ツヴィングリはルターと会談して、一緒に改革の同盟を組もうとしたんだけど、『聖餐論』の違いにより交渉は決裂してしまったんだ。」

ひとり「せいさんろん?」

虹夏「このnoteでも何度も話題になっている、教会における聖餐、つまりパンと葡萄酒をどう扱うかということで議論になったんだよ。カトリックや正教会ではパンと葡萄酒は、司祭が聖別を行うことで『聖変化』してキリストの身体と血、そのものになるという立場。それに対してルターは、パンと葡萄酒はそれぞれの実態を保ったまま、キリストの身体と血もそこに存在している、という『共存説』を唱えた。」

ひとり「つ、つまりパンとキリストの身体が半々、ぶどう酒とキリストの血が半々になりましたという・・・なんか、あいまいというか中途半端と言えなくもないような・・・」

虹夏「ルターは元々カトリック司祭だったわけだし、パンと葡萄酒は神聖なものであるという考えを捨てることはできなかったんだと思う。それに対してツヴィングリは、今日の大半のプロテスタントにおいてメジャーな『象徴説』、つまり聖餐式でのパンと葡萄酒はあくまでパンと葡萄酒そのものであり、聖変化を否定して、象徴的なものにすぎないという説を唱え、意見は対立して交渉は決裂。ルター派とは別の『改革派』としての道を歩むことになるんだよ。」

ひとり「同盟は組めなくなって、またルターはぼっちに・・・」

虹夏「そして改革派をさらに発展させたのがカルヴァンという人物。カルヴァンは礼拝の式文やカテキズム(教理の解説書)、信仰告白などを整備。初代教会にあった信徒職である長老制を復活させるなどの改革を行った。現代のプロテスタントの主流とされる礼拝や信仰の在り方がカルヴァンによって完成したんだ。」

ひとり「改革派が長老派と呼ばれるのもカルヴァンの功績ということか・・・」

■おわりに

虹夏「以上が宗教改革の主な歴史の流れと改革の内容についてだよ!宗教改革はヨーロッパ各地で行われていったけど代表的なのはドイツのルター派とスイスの改革派だということがわかったね。ぼっちちゃんどうたった?」

ひとり「よ、ようするに・・・

カトリックを変えようとして~♪
ルターさんが破門されちゃった~♪
ルター派では生ぬるいとツヴィングリさんがさらに改革派を作って~♪
一緒になろうとしたけどできなかった~♪
ああ、ぼっち、ぼっち、ルターはぼっち~♪
カルヴァンは長老を復活させた~♪

ってことかな・・・」

虹夏「う、うん・・・(いいんだか悪いんだか・・・)まあとにかく、一口に宗教改革と言っても色々あるってこと!」

リョウ「あとはどれだけ改革が攻勢に与えた影響が大きいかということを学べば完璧(ムシャムシャ)」

ひとり「リョ、リョウさん!?(しかも草食ってる!!!!)

虹夏「お、リョウ来たね!」

郁代「おまたせしました!」

虹夏「喜多ちゃんも!待ってたよ!」

ひとり「ど、どういうことなの・・・・?」

虹夏「えへへ。私の解説はこれで終わり、次回はリョウと喜多ちゃんに、宗教改革がもたらした影響について解説してもらうよ!」

郁代「リョウ先輩と一緒にできるなんて、この上ない幸せです~~~!!」

リョウ「よろしくね。あ、私たちのプロフィールについては次回載せますので。」

虹夏「じゃあぼっちちゃん、私たちはこれにて解散!」

ひとり「え・あ、あのーまだハロウィン続いてるから外は、外へは~~~~~!!」

おわり




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