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「エヴァンゲリオン」で学ぶキリスト教知識(用語編)

■はじめに

こんばんは。もうすぐ四旬節だというのにまったく実感がなく、節制なんてどこ吹く風のリベラです。

四旬節についてはこれまで何度も話題にしていますが、要するに「イースター(復活祭)前の準備と自粛期間」と覚えていただければ十分です。今年は2月17日の「灰の水曜日」から4月3日の「聖土曜日」までの46日間を指します。プロテスタントでは「受難節」や「レント」といいます。

「灰の水曜日」では、前年の「受難の主日」(イースターの一週間前の日曜日)のミサで使用した枝を燃やして作った灰を、司祭がミサの参列者の額に塗るという典礼があります。こういう儀式、日本人は大好きだと思うんですよね。ちなみに昔、教会でこの灰を作る作業を手伝ったことがあります。燃やした枝に対して灰はほんのわずかしか取れないため、根気のいる作業だったという記憶があります。

■「エヴァンゲリオン」とは

今回はかの有名な「エヴァンゲリオン」シリーズでキリスト教知識を学びます。最近金曜ロードショーでエヴァンゲリオン新劇場版を3週連続で観て、久しぶりに「エヴァ熱」が戻ってきたのでこのテーマにしてみました。今回の「用語編」と「キャラクター編」、二回に分けてお送りします。

エヴァンゲリオンは元々1995年にTVで放送され、その後劇場版やメディアミックスを通して大ヒットし、国民的な人気を誇ります。ストーリーや設定は難解で、謎が多く、様々な考察がなされています。僕は10数年前にTV版を観て以来、旧劇場版、新劇場版と観てきているのですが、未だによくわかっていません(笑)でも、それこそがこの作品の魅力なのです。なんだかよくわからないけど面白い、それがエヴァです。ちなみに牧師をしている兄はリアルタイムで観ていた世代であり、エヴァは大好きです。

ストーリーは詳しく書くと長くなるのですが、簡潔に言えば「使徒」と呼ばれる人類の脅威となる生命体を、主人公・碇シンジらの少年少女たちが人造人間「エヴァンゲリオン」のパイロットとなって戦う、というのが主軸です。もうこれだけで十分です(笑)その裏には様々な人類の思惑があるのですが、そこは本当に気にしなくていいんです。なんとなく雰囲気で楽しみましょう。

■エヴァ用語はキリスト教由来だらけ!

エヴァに出てくる用語は、7~8割キリスト教由来です。そもそも「エヴァンゲリオン」という言葉自体がキリスト教用語ですし。ギリシャ語で「福音」を意味する「エウアンゲリオン」からきています。福音は「良い知らせ」、つまり聖書に書かれたキリストの救いを意味します。

そのエヴァンゲリオンが戦う相手が「使徒」です。

使徒とはキリストに従った弟子の中でも特に重要な12人のこと(十二使徒)です。劇中では使徒は「angel」と英訳されていますが、angelは「天使」、つまり「神の使い」であり、そもそも違うものです。TV版では使徒それぞれに名前がついていますが、その名前は聖書儀典(旧約聖書の聖典や外典に含まれない文書)に登場する天使から引用されています。ただし第一の使徒「アダム」は、創世記でおなじみの人類の祖、アダムからとられています。

使徒はエヴァンゲリオンでないと倒すことができません。倒されると爆発して噴煙が上がりますが、この噴煙は十字架の形をしています。

創世記に出てくる「生命の樹」、すなわち禁断の果実のなった樹。これが体系化された「セフィロトの樹」は、TV版オープニングの冒頭に登場します。

エヴァンゲリオンを開発・保持し、使徒と戦う組織「ネルフ」。主人公・碇シンジの父、碇ゲンドウはここで総司令官を務めています。その本拠地の存在するのが「セントラルドグマ」「ターミナルドグマ」と呼ばれる重要な場所。

「ドグマ」とは宗教の「教義」を指し、キリスト教で言えば、「二ケア・コンスタンティノープル信条」のような、公会議などによって定められた法的・公的な教えを体系化したものを指します。

セントラルドグマで、使徒を倒す方法を提示するのが、スーパーコンピューターの「マギ・システム」

3つのコンピューターが合議したうえで最善の答えを導くシステムで、登場人物の一人、赤城リツコの母、ナオコが開発しました。「マギ」とは、クリスマスで有名な「東方三博士」のことで、伝承によって3人には「メルキオール」「バルタザール」「カスパール」という名前がついています。マギ・システムの3つのコンピューターにも同じ名前(カスパールのみ「カスパー」に変更されている)がつけられています。

劇中で武器として登場する「ロンギヌスの槍」も聖書にちなむもの。

十字架につけられて死んだイエスの脇腹を槍で突いて、死んでいるかを確認した兵士の名前が伝承では「ロンギヌス」です。この際脇腹から出た血が目に入り、ロンギヌスは白内障が治ったという伝承もあります。

その他にもたくさんキリスト教用語が出てきます。エヴァンゲリオンは内容がキリスト教的というよりも、キリスト教用語の持つ響きの神秘的な感じや、かっこよさで用語が使われているように感じます。作品の内容自体にはあまりキリスト教要素はないように感じます。

■おわりに

今回はエヴァンゲリオンの用語をピックアップして解説してみました。エヴァンゲリオンの考察とか解説サイトは腐るほどあるので、そっちに興味がある方にとっては退屈だったかもしれません。ですが用語それぞれにはもともとちゃんとした意味があるんだよ、ということを知っていただけたらと思います。

それでは次回、「キャラクター編」もお楽しみに!

この次も、サービスサービスぅ!

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