メルカリと訴訟寸前という話。

 正確には株式会社メルペイとの訴訟ではあるが、メルペイは株式会社メルカリの完全子会社であるため、明瞭性を考慮して、メルペイを内包してメルカリと呼称する。
 事の発端は、メルペイ後払い(メルペイスマート払い)で9万円使ってしまったこと。
しかし、自分にはメルカリを通して得た売上金たるメルペイ残高が9万円以上あった。メルカリの規約には、「メルペイスマート払いが滞納された場合、メルペイ残高から充当される場合があります」との注意書があったため、勝手に充当されるものだと思っていた安心しきっていた。
 メルペイ後払いはシステム上、支払期限が過ぎるとメルペイ残高から支払えなくなり、こちらからはコンビニ払いしか出来なくなる。ただ、上記注意書の存在により、コンビニ払いしなくてもメルカリ運営が勝手にメルペイ残高から差し引いてくれると思っていた。
 ただ、支払期限が過ぎても一向にメルペイ残高から差し引かれる気配がない。そこで、メルカリに何度も問い合わせたが「相殺は致しておりません」等の定型文しか返って来ない。知っている方も多いと思うが、メルカリには直接の電話問い合わせが出来ない。メールで問い合わせすることしか出来ない。しかしその問い合わせも定型文のため全く日本語が通じず、非常に面倒臭いことになった。勿論、支払期限までに支払わなかった自分が悪いのではあるが。メルペイ残高を銀行口座に振り込んで後払いを支払えば一件落着ではあるが、支払期限が過ぎたためメルペイが凍結され、口座に振り込むことすら出来なくなった。
 メルペイ後払いは2月利用分である。それから何度も督促の電話が来た。しかしこの電話も自動音声であり、話し合いが全く出来ない。そのうちに、メルペイ後払いの債権回収業務が弁護士法人に委託された。支払期限を超過した3,4ヵ月後のことだ。自分はこれを心待ちにしていた。やっと自動音声ではなく、話の通じる弁護士に事情を話せるからだ。そして、メルペイ後払いとメルペイ残高の相殺をお願いした。しかし、弁護士はメルカリの顧問弁護士ではなく、あくまで債権回収業務を委託されたに過ぎず、相殺の件についてはメルカリと直接交渉するしかないと言われた。繰り返しになるが、メルカリは自動音声しかなく、問い合わせも定型文しか返って来ず、交渉が不可能である。弁護士は一応メルカリに相殺出来ないか訪ねてくれたが、やはりメルカリの都合で不可能とのことだった。仕方ないから訴訟するなら勝手にしろと言っておいた。訴訟するかどうかは、メルカリの判断によるとは言っていた。
 ただ、メルペイ後払いがこちらにとって債務であるように、メルペイ残高はこちらにとって債権である。同一の相手に対して債権と債務が両立している場合には、双方の同意無しで一方の意思表示のみで債権債務の相殺が出来る(民法505条以下)。ここで争点となるのが、メルカリというフリーマーケットアプリでユーザーが得た売上金たるメルペイがメルカリ当社にとっての債務となるか否かだ。このような例は未だ判例としても存在しない。しかしこれについては、一定程度の自信がある。まず、メルペイはユーザーの銀行口座に振り込み出来る他、メルカリアプリ内やコンビニ、スーパー等の提携店で利用できる以上、ユーザーにとっての債権としての性格が強いと言える。さらに、メルカリの第7期有価証券報告書によると、メルペイ後払いを会計上、「未収金」として処理している。一方、メルペイ売上金を会計上、ユーザーからの「預り金」として処理している。これらは会計上、債権と債務の関係にあたる。
 しかしここでまた問題点がある。「会計上」債権債務にあたるかということと、「法律上」債権債務にあたるかということは、実は別なのである。会計学と法学には価値観のズレがあるのである。これは裁判所の判断に委ねるしかない。しかし、メルカリの同有価証券報告書の79~80ページを引用すると、

 当社は従来「未払金」として処理していたユーザーからの債務の一部を「預り金」として処理しています。これは「メルペイ」サービスの開始によりユーザーが当社に対する債権の使用用途が多様化したことに伴い…(後略 

 つまりだ、少なくともメルカリ当社はユーザーからのメルペイ売上金を「債務」として認識している決定的証拠になる。つまり、民法505条以下を適用して相殺出来る蓋然性は高いと言える。
 これからいずれ訴訟になるかもしれない。だがしかし、この訴訟による判決は大きな意味を有するものとなると予測される。フリーマーケットアプリの売上金の性格が「債務」にあたるかということが裁判所によって証明されるからだ。この訴訟に勝訴しようが敗訴しようが、過去に前列のない現代的な判例となると思われる。
 既にメルカリに対して内容証明郵便にて相殺の意思表示をしている。メルペイが債務として認識された場合には民法の原則によれば、当然に相殺出来るはずである。因みに自分は自己破産者であり生活保護受給者でもある。だから仮に敗訴して差し押さえ命令が出たとしても、払えないものは払えないのだ。正直、もうこのまま裁判になってほしいとすら思っている(面白そうだし話題性もあるから)。訴訟になる前に分割払い等の和解交渉(裁判外交渉)がになると思うが、自分は絶対に訴訟に持ち込もうと思う。

また展開があり次第追記しようと思う。

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