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気がついたら足元に

小さいカエルがいた。


カエルと言っても、生きてるカエルじゃなくて、ちっちゃいキミドリイロのぬいぐるみマスコットカエル。両手両足の先に磁石が入ってて、くっつくカエル。

それ、私も持ってた。今も持ってる。

数年前、彼と横浜に遊びに行った時にふらりと入った雑貨店で目にして気に入って買ってもらった。可愛くて大好きで。
だけどその夜、コートのボタンホールにカエルの両手の磁石をくっつけて飲みに行ったらカエルはまんまとどこかに脱走しちゃった。

翌日、同じお店でもう一度買ってもらった。今度は無くさないように包装されたまま持って帰って冷蔵庫のドアにぺたりとくっつけた。だから今のカエル、実は2代目。


名前こそつけてないけど、いつも冷蔵庫を見るとにんまりしてしまうカエル。たまに冷蔵庫のドアから床に墜落してたりしたカエル(前の部屋はキッチンの通路が狭くて冷蔵庫のドアに服とかが当たって落っこちてた)。

お昼に公園でひなたぼっこしながらビタミンウォーター飲んで、ふと気がつくと見慣れたキミドリイロのカエルが、なぜか足元にいた。ちょうどベンチが4つあって、いくつかには人が座っていたけれど、誰もカエルの事なんて気にしてなかった。あれ、まさか家からついてきちゃった?って思ったけど、うちのカエルとは違って両腕に薄い水色のテープが巻かれてた。

そっと拾い上げてあたりを見回したけど反応なし。そのまま連れて帰りたいと思ったけど、多分落っことしたばっかりだろうし、探しに来るかしらと思ってベンチの後ろにある通路の手すりにそっと乗っけた。

それから、十数分くらい誰かが通る度にそぉーっと手すりの様子を伺ったけど、誰もカエルのこと、気にしてなかった。

さて、そろそろ行こう、と思って カエルを連れてくかどうか考えたけど、写真だけ撮って置いていこうとスマホのカメラを起動して手すりの上のカエルに向けてたら、ダダッ!と駆け寄ってきた男の人がいた。

「すみません!落としちゃったんです!」

お迎えがきたよ、よかったねカエル。


ちょっとだけでも気に入って頂けたなら嬉しいです。