ハナコトバ

ゆゆゆの歌詞あり曲の中で1番好きと言っても過言ではない!
絶望まみれの2期後半、勇者の章のOPテーマです。
放映内容を暗示するかの様に暗く、しかし力強さも兼ね備えたこの曲。
まずは全体像から見ていきます。

全体像

調性について

調性はへ短調(F minor)。
音楽の調性には「長調」と「短調」があります。
前者は往々にして明るく、後者は逆。
ゆえにこの曲は、明暗の尺度で言うと「暗い曲」に分類できるでしょう。
実際、多くの方は暗い曲だと感じるのではないでしょうか?

へ短調の特徴はざっくり言うと、以下の様な感じです。

  • 何かに押し潰されそうな暗さ

  • 硬い響き

まず暗さに関しては、焦燥感という感覚が近いと思います。
何か自分を脅かす相手がいる、という表現でも良いかもしれません。
同じ「暗さ」でも、悲哀に満ちた「暗さ」とはまた違うんですね。
ちなみに、わすゆの銀ちゃんの葬式シーンの曲には悲哀成分がたっぷり含まれています。含みすぎてヤバイ。鎮魂歌(レクイエム)みたいなもんです。だからあのシーンは悲しい……んですが、その話はまたの機会に。

話を戻しますが、この暗さは勇者の章における友奈ちゃんの思考そのものなのではないか?と思います。
自分だけが見た、東郷さんの奉火祭、悩み。
それに気づけなかった自分への苛立ち。
呪いの事を話せないもどかしさ。
そして、日に日に迫る神婚のタイムリミット。
自分1人で抱え込んでしまう友奈ちゃんの性格と、自分を脅かす「何か」(=天照大神?)を示す曲調。
勇者の章のストーリーを地で行っていると言って差し支えないでしょう。さすがOP!

また、この調には硬い響きがあるという特性もあります。
言い換えれば、やや冷たい響きといったところでしょうか。
勇者の章では、呪いによって友奈ちゃんと他の勇者部員との間に溝ができ、それが徐々に深くなっていってしまいます。
人間関係の冷え込みを暗示している、この冷たさ。
そんな具合に自分は解釈してます。

曲の構成

初めにイントロが流れ、1番のAメロ、Bメロ、サビ。
間奏を挟み、2番もAメロ、Bメロ、サビ。
そして弦楽セクション(主にViolin?)のソロが来て、Cメロ(Bメロとも解釈可)、盛り上がる大サビ、そして最後にアウトロ。
1期OPのホシトハナ、3期OPのアシタノハナタチと同じ構図です。
余談ですが、わすゆOPのエガオノキミヘはほんの少し構成が違います。
勇者部の物語ではない事の表現なんですかね?

なおイントロは本来歌詞が入らないので、最初をどう解釈するかは迷いました。
ただ、最初と最後に同じフレーズが出てくるのはイントロとアウトロの対比として通例である事、ホシトハナ・アシタノハナタチといった曲も同様の形を採用している事から、ハナコトバに関しても「イントロである」と結論づけています。
(でも正直、この曲だけイントロがちゃんとした文の歌詞になってるんですよね。言葉にならない君の声を聞いた気がした……。サカラバサアとアシタノハナタチは、文として独立できる日本語かどうか怪しいので……)

総評としては、ポピュラー音楽によくある展開の曲と言えるでしょう。
では一旦全体の話はこのくらいにして、ここからは部分ごとに掘り下げていきます。
イントロ、Aメロ、Bメロ、サビあたりを掘っていきましょう。
なおCメロは実質Bメロ、アウトロはイントロとほぼ一緒なのですっ飛ばします。
悪しからず。

初めから順番に

イントロ

【言葉にならない君の声を聞いた気がした】
この「声」は東郷さんの、そして友奈ちゃんの「助けて」の一言の暗示かなと思います。
どちらかと言うと友奈ちゃん要素強めな気がしますが。

Fmから入って2小節は順次進行。
順次進行とはざっくり言うと、1音ずつ順に下がっていくコード進行の事です(厳密には少し違いますが)。
(ベースの動きはファ→ミ♭→レ♭→ド)
ここまではへ短調の範疇です。
しかしその後いきなり、へ短調に無いコードが来ます。
それがG♭m(ソ♭)。
要は何が言いたいかというと、「下がっていった後急に上がるけど、上がる先がへ短調(曲の調性)から外れとるやんけ!」って事です。
この音は音楽用語で「倚音(いおん)」と呼ばれるそうで、すんごいパワーのある音・コードです。
この力強いコードの上に載ってる歌詞が「君の声を」なのも、助けを求める声が強調されている様で洒落てるなーと思います。

少し話が逸れますが、この音に移る時、鐘(チャイム)のG♭(ソ♭)の音が鳴るんですよね。
この鐘の音が、自分には天の神を表現している様に聞こえてなりません。
理由は2つあって、①鐘の音は重厚感を伴う事、②その次のコードが「安定しているのに不安感を抱かせる」ものである事、です。
助けを求める声を潰しにかかる天の神。
うーん、この構図どっかで見ましたね……?()
ただ、この「なぜ不安感が出るのか」という所まで話していくともう永遠に記事が終わらないので、今回は割愛させて頂きます。スミマセン!

Aメロ

【どんな秘密、胸に抱えているの】
とりあえずコードだけ先に追います。
D♭m→Cm→B♭m→C→Fm7→D♭m(onD)→D♭m→Cm→Fm→B♭m→C
……と書いても「分からんわ。おーん」って方が多そうなのでざっくり言います。

基本的にはイントロ同様、順次進行で下がっていく形を採用しています。
ただ所々に「終止形」と呼ばれる、これまたパワーを持ったコード進行が出て来ます。

もっと簡単に言うと、「基本的にはsageだけど所々に力がこもってるよ!」って感じです。

Bメロ

【あぁ、今走り出せば】
ここも基本は一緒です。
順次進行で下がるだけ。
歌詞に言葉遊びが入るので、その邪魔をしない様に伴奏の動きは控えめになっていると考えられます。
ただし、サビ前の盛り上がる箇所にまた倚音(パワーがすんごいやつ)!こいつがいるんですよね!
アニメ映像だと若バードや安芸先生、銅鏡なんかが映る部分でございます。
あそこは目まぐるしく変わる映像の効果もあり、視聴者の焦燥感・不安感を煽る要素が強いのではないでしょうか?

サビ

【花降る寂寞の中】
実はAメロのコード進行が転用されてます。
最初にFm(へ短調の基本コード)が鳴る訳なんですが、その後はほぼ全部一緒です。
一応コピペして書いておくと、D♭m→Cm→B♭m→C→Fm7→D♭m(onD)→D♭m→Cm→Fm
までは一緒です。
その後、G♭m→C(onG)と動いて終わりへ向かう、と言う形。

このサビのコード進行は、進むにつれて段々パワーが大きくなるようになってます。
1番の歌詞で言うと、特に【まだその前に】以降が非常に強い。
カラオケでここを歌う時はいつも、マイクを持ってない方の手を握りしめてます。

まとめ

今回は2期後半、勇者の章OPであるハナコトバについて書きました。
まとめると「不安感を煽る曲だけど、それでも頑張ろうとするパワーも同時に
感じられる曲だよ!」ってな感じです。
あー、勇者部の活動理念そのままですね。
勇者部5箇条1つ、なるべく諦めない!

ここまでお読み頂いた方、ありがとうございました。
またお会い致しましょう!ではでは。

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