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【資料】檻内会話『少女と怪物の物語』

『少女と怪物の物語』の『檻』内でのやり取りをまとめました。

追記・修正等ありましたらコメントまでお願いします。

プロローグ

虚空を貫く石の巨塔

その巨大な建造物は
『檻』(ケージ)と呼ばれていた

一人の少女がヒタヒタと歩いている

彼女には『檻』で成し遂げたい
ある目的があった

(クレジット)

(少女が起き上がり、走って行く)

ママ:
あらあら、ようやく起きたのね。

[…… or ……]

(変化なし)

ママ:
そう……やっぱり、声を失ってしまったの……

[あきらめる or 声を出そうと頑張る]

(変化なし)

ママ:
……大丈夫。ママがサポートするから。

ママ:
こっちよ。

ママ:
貴方が失ったのは、言葉だけじゃない。
それは、自分でも分かっているでしょう。

ママ:
今の貴方は、多くのものを失っている。
だから、それを取り戻しに行くのよ。
ずっと喋れないままじゃ、困るでしょう?

ママ:
これは始まりの階段。
貴方が囚われている『檻』への入り口よ……

(クレジット)

第1章 風砂の章

ママ:
すごい! 砂が流れているわ! これどうなってるのかしら。
目に砂が入っちゃうから、気をつけてね。
……あの砂、どこまで流れていくのかしら。

ママ:
あの黒い柱の根元に向かいましょう。

ママ:
これは『檻』に点在する謎の彫像。
誰が作ったのかは知らないけど、私は『黒いカカシ』って呼んでるわ。
ともかく、これが一つ目。ここから始めましょう。

〈QUEST 1〉

ママ:
貴方の役割は『黒い敵』によって歪められた記憶の物語を修復する事。
そして、修復された武器を集めるのが私達の目的よ。

ママ:
……さて、これからの事、大体イメージできたかしら?

[頷く or 首を横に振る]

・頷く
ママ:
良かった! じゃあこの調子で続けていきましょ。
ママもサポートするから、大船に乗ったつもりでね。

・首を横に振る
ママ:
そうね……今は難しいわよね……
物語を回収していくうちに段々分かるようになるわ。
ママのこと、遠慮なく頼ってね。

ママ:
まぁ、綺麗な場所……
でも……こんなに大きな建物、一体どうやって造ったのかしら?

ママ:
二つ目はここね、準備は良い?

〈QUEST 2〉

ママ:
物語の回収は、貴方の失ったものを取り戻す為であり
貴方の『願い』を叶える為でもある。
だから、焦らず着実に物語を集めていきましょうね。

ママ:
そうね……この場所、『檻』について話しておきましょうか。
『檻』はとても巨大な建物よ。
貴方が目覚めた場所も、今居るこの砂の領域も、全体のほんの一部に過ぎないわ。
本当に謎の多い建物で、殆どのことは誰にも分かっていないの。
誰が『檻』と呼んだのかさえ、ね。

〈QUEST 3〉

ママ:
……あの子、病気に罹っていたのね……
そんな身体で荒野を旅するなんて……

ママ:
……ともかくこれで、三つ目の記憶も修復できたわ。
次の物語を回収できれば、この杖の物語はおしまい。
行きましょう。

ママ:
とは言ったものの……
随分高い所まで来たわね。足、痛くない?
景色は綺麗だけど、上り階段ばかりだから……
疲れたらいつでも休んで良いのよ?
休むことこそ成功への近道だって、誰かも言っていたしね。

ママ:
眩しい所ね……でも、見付けたわ。
あれが四つ目の黒いカカシ。
ここから杖の物語、最後の記憶に入れる筈よ。

ママ:
武器の持ち主の殆どは、戦いに身を置く者たち。
貴方はこれから、多くの死を見届けることになるでしょう。
………覚悟は、いいかしら?

〈QUEST 4〉

ママ:
あの子は、国を追われた王子だったのね……
そしてあの機械は、壊れかけてもなお、主人の亡骸を守り抜こうとした……
……

ママ:
……この記憶で、杖に遺された彼等の物語もおしまいね。
これで、正しい物語がその杖に収められたわ。
お疲れ様。ほら、杖を見て……

ママ:
それは『意思』。貴方が失った欠片の一つ。
貴方が今、集めなくてはならないモノ。

第2章 砂礫の章

ママ:
道が分かれているみたい。
……ママは右が当たりだと思うわ!
でも、左も当たりかもしれないわね……
つまり、よくわからないわ。

ママ:
あら、この武器は……
取り敢えず、修復を始めましょうか。次はどんなお話かしら?

〈QUEST 1〉

ママ:
今度の武器はお姉さんのお話なのかしら。
でもあのお姉さん、前に何処かで見たような……

ママ:
この黒い壁は……

〈QUEST 2〉

ママ:
どうして黒いカカシの外に敵の影響が……
仕方ないわ、進みながら片付けていきましょう。

〈QUEST 3〉

ママ:
あの黒い敵の目的は一体何なのか……
ええ。ママにもわからない事が多いの。ごめんなさいね。

ママ:
見て。外に何か居る……
一体、何なのかしら?
『檻』は不思議でいっぱいね……

ママ:
あったわ、これがこの武器の記憶。
二つ目のカカシね。

〈QUEST 4〉

ママ:
……今度の武器は戦争の話、ね。
剣に残された記憶が、平穏な話であることの方が稀……
なんだか悲しいわね。

〈QUEST 5〉

〈QUEST 6〉

ママ:
この部屋、なんだか変わった雰囲気ね。
見える? 下の方。
たくさんの道が出入りしてて、まるで迷路みたい。
他の道はどこに通じているのかしら?

〈QUEST 7〉

ママ:
この武器の女の人の記憶……
彼女が手足を失ったのは、暗い過去のせいなのね……

〈QUEST 8〉

〈QUEST 9〉

ママ:
あ、あれ……

怪物:
───────
──!
(唸り声を挙げた後、こちらへ飛び降りてくる)
(腕を広げた仕草をした後前のめりになってこちらを指さし、こちらを責めているかのようだ)
………
(気が済んだのか、去っていく)

ママ:
今のは……

ママ:
……さっきの怪物、どこかに行っちゃったみたいね。
ともかく、この檻は次の記憶で最後よ。
あと一息、がんばりましょう?

〈QUEST 10〉

ママ:
人が生きていくには目標、希望が必要だわ。
彼女にとっては、復讐こそが生きる希望だったのね……

ママ:
『希望』。何かを希い、前へと進む心。
取り戻さなくてはならない物はまだある……

第3章 硬砂の章

ママ:
……道の向こうに何か見えるわね。
……鳥の置物……かしら?

ママ:
あっ! 壊れちゃった!
……誰にも見られてない……わよね、うん。

ママ:
大きな建物ねぇ……まるでお城みたい!
あのカカシの記憶を直したら、お城にお邪魔してみましょう。

ママ:
この銃は……
とにかく、物語の修復を始めましょうか。

〈QUEST 1〉

ママ:
銃を持った機械兵のお話……
あの杖の子と出会った頃の記憶みたい。

ママ:
……それじゃあ、お城に向かってみましょうか。

ママ:
……歓迎って雰囲気じゃあなさそうね。

〈QUEST 2〉

ママ:
邪魔なものは壊して前へ……
ふふ、若さの特権よね……

〈QUEST 3〉

ママ:
あの黒い壁も、体当たりで壊せたらいいのに。

ママ:
なんだか変わった部屋に来たわね。
とにかく、先に進んでみましょうか。

ママ:
砂が流れ落ちてる……
でも、その向こうに道が……
流れをせき止める方法があるのかしら?

ママ:
これは、スイッチ?

(スイッチを押す)

ママ:
流砂が止まったみたい、奥の道に進んでみましょう。

ママ:
こっちにもスイッチね、押してみて。

(スイッチを押す)

ママ:
なるほど、これで最初の道が進めるのね。

ママ:
奥への道が開けているわ。

ママ:
さぁ見つけたわね、黒いカカシよ。
記憶の修復を始めましょうか。

〈QUEST 4〉

ママ:
カカシの処理も手慣れてきたわね?
良いわ、この調子で進みましょう。

〈QUEST 5〉

〈QUEST 6〉

ママ:
随分と危ない階段……
これも、侵入者を遠ざける効果はありそうだけど……
……やっぱり、『檻』はつくづく謎だらけだわ。

ママ:
……あら、あれって──
前に襲ってきた怪物!

(怪物、何もせずに去る)

ママ:
追いかけるの?

(こちらが怪物に追いつくと、怪物はまたも去っていった)

ママ:
あの怪物……まるで私達を呼んでいるような……?

ママ:
……怪物はいないようね。
今はあのカカシを片付けましょうか。

〈QUEST 7〉

ママ:
戦争の記憶……
あの子が国を追われたのは、そういう訳だったのね。

ママ:
父王は支配を望み、王子は調和を願った。
国の未来を考えているのは同じなのに、どうしてこうなってしまうのかしら……

ママ:
こんな場所に……人が?

老人:
あ……おねえちゃん……!
あの、おねえちゃん……僕、あれからずっとこの辺りに居るんだけど、
どんなに待っても……母さんが来なくて……!

老人:
僕、母さんに会いたいんだ……! だから、カイブツさんみたいに、
僕をあの黒いカカシの中に入れて貰えないかなって……

ママ:
悪いけど……どうにもできないわ。

ママ:
行きましょう。

〈QUEST 8〉

ママ:
さっきの老人は、物語から弾き飛ばされてしまった存在。
気の毒だけど……私達に助ける事はできないわ。
彼のように迷子にならないよう、気を付けましょうね……

〈QUEST 9〉

ママ:
……でもあの老人、貴方と怪物の事を知っていたみたいね。
口調も子供みたいだったし……
彼に、何があったのかしら。

ママ:
……これが、あの機械兵の最後の物語ね。
彼等の記憶を、見届けに行きましょう。

〈QUEST 10〉

ママ:
少年は平和のため、機械兵は少年の為に、二人は戦った。
こうやって、二人の記憶は繋がっていたのね……

ママ:
これが三つ目の欠片よ……

ママ:
『祈り』……多くの感情の中でも、特に人間的なものかもしれないわよね。
曖昧な未来に、理想を思い描く心。

ママ:
どう? 何か変化は感じたりする?

[頷く or 首を横に振る]

・頷く
ママ:
あら! 良いわね、この調子で欠片を取り戻して行きましょう。
貴方の『願い』を叶える為に、ね。

・首を横に振る
ママ:
そう……そうね、失ったものはまだ多いわ。
少しずつ、一つずつ、取り戻して行きましょう。

第4章 流水の章

ママ:
ずっと砂埃が酷かったから、なんだかすごく空気がおいしいわ~
ほら、空気が澄んでいるものだから、お魚さんも宙を泳いで……
……いや、それは流石におかしいんじゃないかしら。

ママ:
…………

ママ:
これがこの『檻』の記録みたい。
この武器は……うん、日本刀みたいね。
お侍さんのお話かしら? さっそく見てみましょうか。

〈QUEST 1〉

ママ:
今回は……いわゆる、『殺し屋』のお姉さんのお話みたい。
彼女の強さには何か理由があるのかしら?

〈QUEST 2〉

ママ:
黒い敵の考える事は分からないわ。
行く手を阻むのが目的なのか、それとも別の意図があるのか……

〈QUEST 3〉

ママ:
大きな門……

ママ:
流石にこの門は、持ち上げたり壊したりはできないわよね……

ママ:
このレバーを動かすの? 任せて。

(レバーを動かす)

ママ:
うんうん、これで門が開いたわね。

ママ:
今度は橋が崩れ落ちてる……

ママ:
向こうにカカシがあるのに、これじゃあ渡れないわ。
なんとか向こう側に渡る方法はないかしら?
辺りを見てみるから、ちょっと待っててね。

ママ:
はぁ……めんどくさいわね。誰よ、水位下げたの……

ママ:
レバーを下げなくちゃ。アレ、結構重いのよね……

(レバーを3つ下げる)

ママ:
ここまでの回収は……順調ね。
あの子たちが、幸せになれるといいんだけど……

(レバーを1つ下げる)

ママ:
よし、橋が浮き上がったわ!
どうかしら、これで渡れるんじゃない?

ママ:
随分手間を取られちゃったわね……
気を取り直して、修復に取り掛かりましょうか。

〈QUEST 4〉

ママ:
生まれる前から生き方を決められていた……
それがあの女性の力の理由だなんて……悲しい話ね。

ママ:
生まれる場所、貴方にも思う所が……
………

〈QUEST 5〉

〈QUEST 6〉

ママ:
あら?
何か音が聞こえるわね……?

怪物:
………

(怪物が階段を行ったり来たりしている)

ママ:
あれって……

怪物:
──!

(怪物がこちらに気づいた様子で、階段の上へと逃げていく)

ママ:
また逃げた……

ママ:
って、この音は?

ママ:
なるほど、階段を踏むと音色が響くのね。
さっき、あの怪物は……これで遊んでいたのかしら?

[頷く or 首を横に振る]

・頷く
ママ:
ふふ、なんだか可愛らしいわね。

・首を横に振る
ママ:
まぁ、ちょっと見た目にはそぐわないわよね……

〈QUEST 7〉

ママ:
この『檻』の記憶も、次で最後の筈よ。

ママ:
黒い敵もそうだけど、あの怪物も何をしようとしてるのかしら……

〈QUEST 8〉

〈QUEST 9〉

ママ:
この建物の中に、最後のカカシがありそうね。

ママ:
あら、こんな時にまたなの?

ママ:
任せて、ちゃっちゃと開けちゃうから。

(レバーを下げる)

ママ:
はい、これで通れる?

ママ:
次でこの武器の修復が終わるのね……

ママ:
カカシは目の前……さぁ、行きましょう。

〈QUEST 10〉

ママ:
本当の意味での自由なんて、始めから無いのかもしれない。
過去や因縁。多くの鎖に捉われて、殆どの道は閉ざされてしまう。
残された僅かな選択肢だって、自分の意思で選べるとは限らないわ。

ママ:
『怒り』……失われていた四つ目の欠片。
貴方の抱く『怒り』は、何への怒り?
とある誰か? 世界や運命?
それとも……自分自身?

ママ:
……貴方にも、選択の時が近付いているわ。

第5章 冠雪の章

ママ:
一気に冷え込んだわね……
空から降ってくるこれは……雪?
『檻』にも、天気があるのね。

ママ:
舞い散る雪、煌めく氷柱、あの布だって凍り付いていて……
まさかこんなきれいな景色が拝めるなんて……
ママ、感激だわ!

ママ:
ここに、五つ目の武器がある筈よ。
それと、五つ目の欠片もね。
さぁ、黒いカカシの元へ向かいましょうか。

〈QUEST 1〉

ママ:
今度は、冒険家の記憶……?
なんだか強そうなオジサマだったわね。

ママ:
ママ、登山はした事が無くて……
ほら、ママは……地に足ついてないって言うか……

〈QUEST 2〉

〈QUEST 3〉

ママ:
黒い敵は……寒さを感じないのかしら?
貴方は寒いでしょ?
薄着だし……

[頷く or 首を横に振る]

・頷く
ママ:
じゃあママの胸に飛び込んでらっしゃい! 暖めてあげる!

[…… or ……]

(変化なし、*へ)

・首を横に振る
ママ:
本当に本当に寒くない?

[頷く or 首を横に振る]

(変化なし、*へ)

*ママ:
……分かりました。
ママ、静かにするわね……

〈QUEST 4〉

ママ:
……

ママ:
………

ママ:
…………プハァッ!
無理! ママ『静かにしてる』って約束したけど、無理でした!

〈QUEST 5〉

ママ:
雪で足を滑らせないよう、気を付けてね。

〈QUEST 6〉

ママ:
段々、吹雪いてきたわね……
早く先に進みましょ。

???:
──────

(少女が苦しそうに頭を抱える)

ママ:
………何かを言いたいのかしら?

(今さっき渡った橋が崩れ落ちる)

ママ:
危なかったわね……足元に気を付けて、ゆっくり行きましょう。

ママ:
向こうにカカシがあるわ。
あれで三つ目、張り切って行きましょう。

〈QUEST 7〉

ママ:
妊娠中の妻を置いて登山だなんて……酷い男ね……

ママ:
ここ……凍った布が橋になってるのね……
滑ったり、足場を崩さないよう気を付けてね。
落ち着いて、小さな歩幅で歩くと良いって聞いたわ。
あとは、前のめりに足裏全体で……

ママ:
ママの話、聞いてる?

〈QUEST 8〉

ママ:
吹雪も、だいぶ収まってきた?

〈QUEST 9〉

ママ:
次の記憶を修復したら、雪の『檻』も見納めかしら。
雪で視界は悪いし、足元は滑って怖いし………
綺麗ではあるんだけど、外に長居はしたくないわね……

ママ:
坂道……大丈夫かしら……?

(坂道を滑る)

ママ:
ひゃあああ!

ママ:
あはは、お尻が冷たーい。
でも、中々楽しかったわ。
そのうちまた来ようかしら。

ママ:
それじゃあ槍の記憶、最後のカカシに入りましょう。
冒険家の彼は、無事に家に帰れたかしら?

〈QUEST 10〉

ママ:
家族の姿は幻だったのね………
強く在ろうとしても、人は一人では生きていけない。
悲しい男の物語だったわね……

ママ:
誰の生涯にも、宿命のように悲哀は待ち受けているわ。
それでも、前に進まなきゃいけない時がある。
貴方もそう。
その為に、ここまで来たのでしょう。

第6章 刻石の章

ママ:
ここが貴方の旅の終着点。
最後の記憶、その修復をする時が来たわ。
失った全ての物を取り戻し……
貴方の願いを、果たすために。

ママ:
このカカシに刻まれているのは、貴方達の記憶……
始めましょう。

〈QUEST 1〉

ママ:
苦しいでしょうけれど……先へ進むわよ。

ママ:
この記憶は貴方に深く絡みついている。その修復は一筋縄ではいかないわ。

ママ:
本能に刻まれた欲望に随って、人の夢を奪い、喰らい、人間の姿を望む者。
それがあの『怪物』。
貴方の方が詳しいわね。

〈QUEST 2〉

〈QUEST 3〉

ママ:
さぁ、次の記憶へ、次のカカシを探しましょう。

ママ:
その端末、使い方は覚えているかしら。

(端末に触れる)

ママ:
『彼女』と一緒に、ここを通ったのでしょう?

ママ:
二つ目の記憶ね、準備は良い?

〈QUEST 4〉

ママ:
……大丈夫? 歩ける?
さっきも言ったけれど、修復が進む程にその苦しみは深くなるわ。

〈QUEST 5〉

ママ:
黒い敵の攻撃が激しくなってきたわね……

〈QUEST 6〉

ママ:
……道が断たれたわね。
道があっても、引き返す事なんて出来ないけど。

ママ:
すべての記憶の修復が終わったら、もう一度、貴方の答えを聞かせて貰うわ。
だから、自分の心をよく整理しておきなさい。

〈QUEST 7〉

ママ:
まだ、歩ける?

ママ:
……そう。

〈QUEST 8〉

〈QUEST 9〉

ママ:
貴方がどちらの選択をするとしても、次の記憶が最後の記憶よ。
……行きましょうか。

ママ:
貴方がやってきた物語の修復、それは貴方自身が犯した過ちへの贖罪。
でも、もう少しでそれも終わり。
願いを成し遂げるのか、あるいは……

ママ:
これが最後、正真正銘最後の記憶よ。
この修復を終えた時、貴方は失った全ての物を取り戻す。
……そこで、貴方の罪が待っているわ。

〈QUEST 10〉

ママ:
それこそが最後の一つ、『言葉』。
これで、貴方は失った全ての物を取り戻した。
……選択の時が来たわ。
人間になるのか、それとも……

ママ:
貴方の本当の願い、教えて?

レヴァニア:
あの子を……人間に戻すんだ!

中間プロローグ

(6章クエスト10の回想)

4カ月前……

???:
おい、運送屋。

運送屋:
ハイハイ、お呼びでしょうか!

???:
今日はどこに行くんだ。

運送屋:
どうぞこの道をまっすぐお進みください、レヴァニア様。

少女:
ひっく……あなた……だれ? カイブツさん?

運送屋:
怪物とは失礼な。
この方は、さる場所からこの世界に降臨された……

少女:
うえーん、また怖いユメだ……えーん。

モノローグ(レヴァニア):
これが、白い服を着た少女との出会いだった。

単なる偶然だったのか、
それとも仕組まれた必然だったのかは、
最早知りようもないし興味もない。

ニンゲンの『夢』を探し出して喰い、ニンゲンになる。
それが、俺を突き動かす本能だ。

毎晩悪夢を見ると言って泣いていた少女は、
自分の夢を食べてほしいと俺に言った。

好都合だ、せいぜい利用してやる。

この時の俺はそれしか考えていなかった。

運送屋:
この子の夢を喰らい尽くすんですね。
そして、貴方様は人間になるんですね……!
承りました!

少女:
あ……そろそろ朝みたい。

少女:
わたし、フィオっていうの!
じゃあ、また明日ね、カイブツさん。

(フィオの姿が消える)

運送屋:
『夢』の提供者が、都合よく見つかりましたねぇ!

レヴァニア:
ああ。

運送屋:
さぁ、これから忙しくなりますよ!

第7章 紅枯の章

運送屋:
『アッチの世界』が夜になったようですね。
眠りについたお嬢さんがそろそろ『コッチの世界』に…

運送屋:
それでは……よいしょっと!
いらっしゃいませ。お嬢さんの夢とつながる、『檻』の世界へ!

フィオ:
ここは『けーじ』っていう場所なの?

運送屋:
でございます。

フィオ:
わぁ……カイブツさん、ほんとにまた会えた。
昨日の約束の通り、わたしのユメを食べてください。

レヴァニア:
………フン。

運送屋:
では、お二人には、この『檻』を進んでいただきます。

運送屋:
いやー、こうも利害が一致するクライアントがすぐに見つかるとは!
これぞウィンウィンッ!!!!
詳しいことはおいおい私めが説明しますからね。
さぁ、張り切って行きましょう!

フィオ:
わたしが閉じ込められていた場所よりも、ずっと素敵な場所……

運送屋:
ほら、ここエレベーターですよ! 実に近代的ッ!

レヴァニア:
オマエ、うるさいから少し黙れ。

フィオ:
あれは……なあに?

運送屋:
『黒いカカシ』……誰がそう呼び始めたのかは存じませんが。

フィオ:
この『黒いカカシ』が怖いユメってこと?

運送屋:
まあ厳密には少し違いますが、同じようなものです。

フィオ:
カイブツさん、わたしのユメを、どうぞおねがいします。

レヴァニア:
言われるまでもない。

〈QUEST 1〉

運送屋:
お嬢さんの夢を食べるには、まず夢の原型である『記憶』を修復する必要があります。
これから黒いカカシを見つけたらどんどん修復していきましょう!

フィオ:
わたしのユメ、どんなだった?

運送屋:
花の化け物が人を殺す物語……でしたよ
大丈夫! お嬢さんが目覚めた時には、夢のことは何も覚えちゃいないですよ!

運送屋:
ムム。これは何でしょうか?

〈QUEST 2〉

運送屋:
黒い敵が『檻』にまで侵食してきているとは!
夢に影響があるといけないので、片付けていきましょう。

〈QUEST 3〉

フィオ:
わたしね、いつも怖いユメばかり見てるの。
ぜんぜん知らない人たちのユメなんだけど、みんな死んじゃってたり、痛い目にあってたり……

運送屋:
フムフム。お嬢さんは、この世界との適応率が非常に高い人間のようです。
時代も場所も超越した誰かの記憶が、毎晩夢として再生されているのかもしれませんねぇ。

フィオ:
んー……ムズかしくてわかんない。

フィオ:
カイブツさん、いってらっしゃい。

〈QUEST 4〉

運送屋:
いやー! このカカシが保存している記憶は、自由がない世界の話ですか。
息がつまりますねぇ。

フィオ:
自由がない世界……?
それって、わたしみたいな首輪をつけてる世界?

運送屋:
いや、首輪はつけていませんが……

〈QUEST 5〉

運送屋:
そういえば、なぜお嬢さんは首輪をつけてらっしゃるんです?

フィオ:
………

〈QUEST 6〉

フィオ:
……この首輪ね、ホーリツによってつけられたの。

運送屋:
……事情があるんですねぇ。

フィオ:
毎日楽しいユメを見れたらいいのになぁ。
かわいいお洋服とか、きらきらのブローチとか。
食べ放題のケーキとか、ママの作ったシチューとか……

レヴァニア:
俺は夢を喰えれば、中身なんてどうでもいい。

運送屋:
ホラホラ! ここ、行き止まりに見えるでしょう?

レヴァニア:
なんだ、その得意げな顔は。

(端末に触れる)

運送屋:
これが『ワープ』ってやつですよ! 感激しますでしょ!?

フィオ:
びっくりしたよ……!

運送屋:
いやはや、便利な世の中ですねぇ。

(端末に触れる)

運送屋:
やっと3つ目のカカシですな!

〈QUEST 7〉

運送屋:
お疲れ様でした! いやはや、あの囚人はどうなったんでしょうね?

フィオ:
また誰かひどい目にあってるの……?

運送屋:
お嬢さん、あまりお気にされますな。

〈QUEST 8〉

運送屋:
記憶の修復は順調でございますね!

レヴァニア:
疲れた。広くて面倒だ。

〈QUEST 9〉

運送屋:
お次で今宵の記憶の修復は最後ですよ! はりきって参りましょう!

フィオ:
はーい。

運送屋:
正直、武器の持つ『記憶』をそのまま夢として見る人間には、初めてお会いしました。

フィオ:
わたし、変なのかな?

運送屋:
いえ、とても貴重なサンプ……ゴホッ、クライアント様ということです!

フィオ:
ユメを食べるって、どんな感じなのかな。
おいしいのかな……?
もしおいしくなかったら、ごめんね。

レヴァニア:
味は関係ない。

運送屋:
最後のひと踏ん張り、行ってまいりましょう!

フィオ:
カイブツさん、がんばってください。

〈QUEST 10〉

運送屋:
子供だけでなく妻まで失うとは……
男の悲しみは、到底言葉では言い表せないものでしょうな……

運送屋:
ともあれ、今宵の記憶の修復はこれにて完了でございます。
さぁお待ちかね、夢のお時間でございます!
お嬢さんが目覚める前に、悪夢を食べてしまいましょう。

運送屋:
貴方様が人間になるためには、もっとたくさんの夢を食べなければなりません。

(鐘が鳴る)

運送屋:
おっと。そろそろお嬢さんはお目覚めの時間ですね。

フィオ:
楽しかったよ。カイブツさん、また明日ね。

運送屋:
では私達も参りましょう。

レヴァニア:
……? 行き止まりじゃないか。

運送屋:
いえいえ、あちらを見ていて下さい。

(前方に円柱型のエレベーターが現れる)

第8章 積葉の章

運送屋:
それでは……よいしょっと!

フィオ:
こんばんは、カイブツさん。
あのね、昨日はなーんにもユメを見なかったんだよ!

運送屋:
いやー、さすが夢喰いであらせられる! ナイス喰いっぷりでしたもんね!

フィオ:
今日もよろしくおねがいします。

レヴァニア:
フン。

レヴァニア:
おい、運送屋。

運送屋:
ハイッ、なんでしょう!

レヴァニア:
オマエ、ここへは何度も来てるのか?

運送屋:
左様でございます。ここは私の職場と言ってもよいくらいです!
こう見えても私、昨年度の年間社内営業MVPとして表彰されましてね~。

レヴァニア:
そこまで聞いてない。

運送屋:
くうう……つれないお返事!

運送屋:
それでは、今夜もどんどん記憶を修復していきましょう!

レヴァニア:
俺がニンゲンになるために、な。

モノローグ(レヴァニア):
示された『檻』の道を、ひたすら下っていった。

ニンゲンの物語は、執着、嫉妬、憎悪、怨念、
あるいは偽善に満ちている。
ありきたりでつまらないが、ニンゲンとは
他者との関わりの中でしか自己を見いだせない存在なのだろう。

そして、これらは少女が見る「悪夢」でもあった。

いちいち、同様、同情、憂惧、哀悼する少女に対し、俺は、
無邪気な生き物だ、と感じた。

俺という存在と真逆にある生き物。
嫌悪というより、怖れだったのかもしれない。

この無垢なる少女に、興味を抱いてしまうことへの────

フィオ:
どうか、あんまり怖くない夢でありますように。

〈QUEST 1〉

フィオ:
おかえりなさい。どうだった?

運送屋:
今日は、昨日の夢の続きのようでしたよ。

フィオ:
夢の続き……奥さんと子供を殺されちゃった人の話?

運送屋:
そうです。でも実は、その奥さんが生きていたようでして。

フィオ:
よかったあ!

〈QUEST 2〉

〈QUEST 3〉

フィオ:
あのね、聞きたかったんだけどね、カイブツさんって兄弟いる?

[キョウダイ? or さぁな。]

(変化なし、次へ)

フィオ:
わたし一人っ子なんだ。本当はお兄ちゃんか妹がほしかったなぁ。

フィオ:
じゃあ、好きな食べ物とかある?

[喰えればいい。 or 何もない。]

(変化なし、次へ)

フィオ:
わたしはママの作ったシチューが好きなの。
カイブツさんは、シチュー好き?

[そんなもの知らない。 or ………]

(変化なし、次へ)

レヴァニア:
ニンゲンの話は俺には分からない。基本は黙っていろ。

フィオ:
えーーーー

フィオ:
カイブツさん、ウンちゃん、次のカカシだね!

運送屋:
ウンちゃん……?

レヴァニア:
オマエのことらしいぞ。

フィオ:
カイブツさん、ふぁいとー!

〈QUEST 4〉

運送屋:
やはり、お話はハッピーなままでは終わらなさそうですね。

フィオ:
そっかぁ……

〈QUEST 5〉

〈QUEST 6〉

フィオ:
ねぇ、ウンちゃんの好きな食べ物は?

運送屋:
そうですねぇ………カラスミでしょうか。

フィオ:
カラスミ?

運送屋:
大人の食べ物ですよ。お嬢さんにはまだ早いかもしれないですね。

フィオ:
カイブツさんは食べたことある?

レヴァニア:
ない。

フィオ:
なら、カイブツさんもこどもだね!

レヴァニア:
………

〈QUEST 7〉

運送屋:
人間のコピー品……ですか。

フィオ:
こぴーひん?

運送屋:
お嬢さんには難しい話です。

〈QUEST 8〉

〈QUEST 9〉

レヴァニア:
なんだ、あのデカいのは?

フィオ:
でっかい……シカさん?

運送屋:
あいつは『タタリガミ』……このあたりの『檻』に現れては悪さするんですよ!

[『タタリガミ』に戦いを挑みますか?]

[いいえ or はい]

・いいえ
レヴァニア:
今は神など相手にしている暇はない。

運送屋:
ハイ、本来の目的を見失ってはいけません!

(*へ)

・はい

〈QUEST EX〉
運送屋:
わわわっ! これが貴方様の「使役」の力ですか!
わっ、私は離れて応援しておりますね!

フィオ:
カイブツさん、ケガしないでね?

[LOSE or WIN]
・WIN
運送屋:
『タタリガミ』を倒してしまわれるとは! さすがでございます!

フィオ:
カイブツさん、すごいね!!

レヴァニア:
俺は神など知らないからな。

(*へ)

・LOSE
レヴァニア:
仮にも神と呼ばれている存在……易々とは倒せぬか。

運送屋:
ムムム。触らぬ神に祟りなし……ですね。

フィオ:
タタリってなぁに?

(*へ)

*運送屋:
あの『タタリガミ』を信仰している者もいるという話です。いやはや、おぞましい。

フィオ:
シカさん、悪いシカさんなの?

運送屋:
はい、そうなんですよ。顔は怖いし、突然現れては、ぬぼーっと立ち尽くしていたり……

フィオ:
それって悪いことかなあ?

運送屋:
しかし、『タタリガミ』を見て臆せぬとは、さすがでございますねぇ。

フィオ:
ウンちゃん、シカさんが怖かったの?

運送屋:
…………ハイ。

〈QUEST 10〉

運送屋:
相手を思うがゆえの死……
悲しみと幸せは、紙一重なのかもしれませんね。

レヴァニア:
俺にはわからない感情だな。

運送屋:
何はともあれ……お待ちかね、夢のお時間ですよッ!

運送屋:
そろそろ『アッチの世界』が朝になるようですね。

フィオ:
今日もありがとう。もうちょっと一緒に冒険したかったなぁ。

運送屋:
夜になればまた会えますよ。さぁ、こちらに。

運送屋:
我々も参りましょうか。

第9章 炎砂の章

運送屋:
それでは……よいしょっと!

運送屋:
あのー、お二人さん、すみませんけど、実は私、突然お上から呼び出されまして……
今日は代理で、別の者が担当させてもらってもよろしいでしょうか?

運送屋:
あ、こちらが代理の者です。

運送屋代理:
よろしくおねがいするっス。

運送屋:
では、私はこれで! また後ほど!

運送屋代理:
自分が代理を務めるっス。

フィオ:
『だいり』だからダイちゃんだね!

運送屋代理:
ここはあのレバーを引くっス。

フィオ:
レバーを引くんだね!

(レバーを引く)

フィオ:
すごいすごーい! 砂が流れてる!

フィオ:
あのね、わたし、昨日のユメのこともすっかり忘れてるみたい!
やっぱりカイブツさんってすごい。

レヴァニア:
オマエのために喰ってるわけじゃないぞ。

運送屋代理:
こちらが本日最初のカカシっス。

レヴァニア:
言われなくても、もうわかってる。

フィオ:
いってらっしゃーい!

〈QUEST 1〉

フィオ:
また嫌な夢見たの……?

〈QUEST 2〉

〈QUEST 3〉

フィオ:
わぁ、この階段、音がなってるよ?
たのしいね、カイブツさん!

レヴァニア:
……別に。

フィオ:
ねぇ、だんだん目がまわってこない?

レヴァニア:
平気だ。

〈QUEST 4〉

運送屋代理:
復讐の心に燃える物語っスか。

フィオ:
フクシュウってなあに?

レヴァニア:
やられたらやり返す、ということだ。

フィオ:
そんなのダメだよ!

レヴァニア:
何故だ? 不公平だろう。

フィオ:
せんせいがダメって言ってたもん!

〈QUEST 5〉

〈QUEST 6〉

フィオ:
ウンちゃん、どこにいったんだろうね?

レヴァニア:
知らん。

運送屋代理:
………

フィオ:
わっ! びっくりしたあ!

〈QUEST 7〉

運送屋代理:
一人で敵地に行くなんて、無謀そのものっス。

(レバーを引く)

〈QUEST 8〉

〈QUEST 9〉

フィオ:
カイブツさんはさ、どうして人間になりたいの?

レヴァニア:
………

レヴァニア:
………わからない。俺たちの種族の本能だ。

フィオ:
そっかぁ。ホンノウかぁ。

フィオ:
わたしは、大人になったらバレリーナになりたい!
バレリーナの絵本を読んでから、ずっとあこがれているの。
……わたし、なれるかなぁ?

レヴァニア:
さぁな。

運送屋代理:
あれが本日最後のカカシっス。

フィオ:
がんばってね。

〈QUEST 10〉

運送屋代理:
さて、今夜の夢のお時間が来たっス。

運送屋:
ただいま戻りました!
お二人さん、ご迷惑おかけしました!

運送屋:
いや~参りますよねぇ。
急な呼び出しとか心臓止まるんで本当カンベンしてほしいってカンジです。

運送屋代理:
では皆さん、自分はこれで失礼するっス。

フィオ:
ダイちゃん、また遊ぼうね!

運送屋代理:
はいっス。

フィオ:
わたし、ずっとここにいることってできないかなぁ……

運送屋:
お嬢さん、それは無理な話というものです。
貴方は『コッチの世界』の者ではないのですからね。

レヴァニア:
また次の夜だな。

運送屋:
それでは………しょっと!

フィオ:
カイブツさん、またすぐ来るから待っててね。ウンちゃんも。

レヴァニア:
ああ……

第10章 煌粒の章

レヴァニア:
待ってたぞ。

フィオ:
えへへ。ありがとう。

運送屋:
さあ、今夜もさくさく進みましょうね! さくさくっと!

フィオ:
今日はこっちの世界も夜なんだね。

運送屋:
夜……?
ああ、そのように見えることもありますよ。

フィオ:
わ、壊れちゃった!
大丈夫かな、誰かに怒られないかな?

運送屋:
さて、本日はあちらのカカシからですね。

〈QUEST 1〉

運送屋:
代理から聞いておりますが、今回は昨日の夢と関連する戦争のお話のようですね。

フィオ:
せんそうのお話かあ。

〈QUEST 2〉

〈QUEST 3〉

モノローグ(レヴァニア):
少女は、いつも楽しそうだった。
それまでは、悪夢に飲まれ、泣きながら朝を迎えていたという
少女は、この『檻』の世界では気が晴れているように見えた。

ニンゲンは感情に振り回されながらも、
その度に魂の輝きが増すようで、俺にはそれが到底理解できなかった。
だが俺は、そんなニンゲンになって、
この少女と同じ目線で世界を見てみたい、と初めて思った。

フィオ:
カイブツさんが早くニンゲンになれるといいなあ。

レヴァニア:
オマエの夢を見てると、ニンゲンは思い悩んでばかりだ。
ニンゲンは楽しいのか?

フィオ:
楽しいよ!
お友達と遊んだり、おやつを食べたり、絵本を読んだり……
パパやママといっしょに……
……

レヴァニア:
どうした?

フィオ:
ううん。なんでもない。

男の子:
母さん……うっ……うっ……

レヴァニア:
なんだ、このガキは。

運送屋:
はて……存じ上げませぬ。

フィオ:
どうしたの?

男の子:
村にヘイタイさんがいっぱいきて……母さんとにげようとしたら……
迷子になっちゃったんだ……ううっ……

運送屋:
もしかしてこの子は……
カカシの中から、追い出されてしまったのかもしれませんね。

レヴァニア:
そんなことがあるのか?

運送屋:
稀にあるみたいなんですよねぇ。

男の子:
ううっ……母さんに会いたいよ……
う……うっ……

フィオ:
ねえカイブツさん、この子のママをカカシの中で探してくれないかな?
ね?

運送屋:
どのみち黒いカカシには入るんですから、ついでに探してみてはどうです?

レヴァニア:
………はぁ。
死ぬほど面倒だな。

〈QUEST 4〉

フィオ:
この子のママ、見つかった?

レヴァニア:
……

フィオ:
うーん………
そうだ!
わたしたちといっしょに来て、君のママを探さない?

男の子:
うん……いっしょに行く! ありがとう、おねえちゃん!

フィオ:
じゃあ決まり!
カイブツさん、この子もつれていこう!

レヴァニア:
…………

〈QUEST 5〉

〈QUEST 6〉

運送屋:
さっきのカカシの中にいた、息子を探しながら死んだ女……
あれ、絶対あの子の母親ですよね?
なぜ本当のことを伝えないのですか?

レヴァニア:
…………

(カカシの前に黒い女が出現)

レヴァニア:
……!!

運送屋:
黒いカカシからいきなり敵が出現した!?

怨恨妖女:
坊やはどこ……
坊や……坊や……

フィオ:
もしかして、今の……!?

男の子:
母さん……ううん、違う!

フィオ:
カイブツさん、またカカシの中で探してきてもらえる?

レヴァニア:
……ああ。

〈QUEST 7〉

フィオ:
カイブツさん、あの子のママはいた?

レヴァニア:
……いや。

男の子:
ぼく……ここで母さんのこと、待ってみる。

フィオ:
どうして? また今の黒いおばけが来るかもしれないよ。
危ないよ!

男の子:
あんまり遠くにいっちゃうと、母さんが探せなくなるから……

フィオ:
そっか……

男の子:
おねえちゃんありがとう! カイブツさんも、元気でね。

レヴァニア:
…………

運送屋:
結局、母親が死んでる事は伝えませんでしたね。

レヴァニア:
………ガキの泣く顔なんて……御免だ。

〈QUEST 8〉

フィオ:
はぁ、はぁ……

レヴァニア:
オイ。どうした。

フィオ:
なんでもないよ……次で、今夜のユメも最後だね。

〈QUEST 9〉

レヴァニア:
オマエ、疲れているようだな………俺が夢を食べているせいか?

運送屋:
いえ、違いますね。夢を食べられること自体、人体には無害です。

フィオ:
大丈夫…………心配しないでね!

フィオ:
はぁ……はぁ……

レヴァニア:
……

運送屋:
さぁ、今夜最後の黒いカカシになりますよ!
青年と少年の運命やいかにッ!

〈QUEST 10〉

運送屋:
なんとまあ、珍しくハッピーエンドな物語だったじゃないですか!
青年の「誰も死なせたくない」という祈りが通じたのでしょうか……

運送屋:
それでは恒例の……ドリームタイム!

フィオ:
もう戻る時間だね。

レヴァニア:
オマエ、少し様子が変だぞ。

フィオ:
ううん、大丈夫。
また……明日ね……

運送屋:
それでは…………そいやっ!

運送屋:
あのお嬢さんが弱っているのは、『アッチの世界』で起きている何かが原因でしょう。

レヴァニア:
何か、とは何だ。

運送屋:
……まあ、いいじゃないですか。
貴方様にはそんなこと関係ないですから。
明日もシッカリあの子の夢を食べて、さっさと人間になりましょう!

第11章 水煙の章

運送屋:
それでは……ほいさっと!

レヴァニア:
おい、大丈夫か。

フィオ:
う……ん。心配かけてごめんね。

運送屋:
さぁ本日も、張り切って黒いカカシ参りと行きましょう!

フィオ:
ここ、水がいっぱいで、すごくキレイ……
水遊び、したいなあ……

運送屋:
遊んでる暇はございませんよ!

運送屋:
もうだいぶお嬢さんの夢を喰らいましたね!
貴方様がニンゲンになれる日も近いですよ!

レヴァニア:
…………ああ。

フィオ:
いってらっしゃい……

〈QUEST 1〉

運送屋:
兵器として造られた少女の物語……ですか。

〈QUEST 2〉

〈QUEST 3〉

レヴァニア:
なっ……

運送屋:
ややっ! 黒いカカシが逃げた!?

レヴァニア:
どうなってるんだ。

運送屋:
私も、逃げる黒いカカシは初めてですよ。
あいつら、動くこともあるんですねえ。

レヴァニア:
煩わしい……!

レヴァニア:
……次逃げたら殺す。

運送屋:
あれは謎の物質なので、殺すことはできないかと……!

運送屋:
やっと黒いカカシに追いつきました……

レヴァニア:
……叩き壊してやろうか。

〈QUEST 4〉

運送屋:
記憶を回収する生体兵器の少女は……

フィオ:
…………はぁ、はぁ……

レヴァニア:
オマエ、少し休んだほうがいいんじゃないか?

フィオ:
……大丈夫。

レヴァニア:
あ~なんだ。
オマエが死んだら、俺は夢が喰えなくなる。
少なくとも夢を喰い終わるまでは死ぬな。わかったか。

フィオ:
うん……わかった!

〈QUEST 5〉

レヴァニア:
……ここで少し休むか。

フィオ:
え、いいの?

レヴァニア:
オマエ、水遊びしたいんだろ。

フィオ:
わーい、うれしい!

運送屋:
いいんですか? 道草して。

レヴァニア:
元気がないのが気になってる。

運送屋:
はああ……左様でございますか。

レヴァニア:
今、何かおかしくなかったか?

運送屋:
はて?

フィオ:
ねえ、カイブツさんが人間になったらね……
また、わたしとお友達になってくれるかな?

運送屋:
ハイ、もう遊びはおしまいです。先へ急ぎましょう!

〈QUEST 6〉

レヴァニア:
少しは元気が出たか。

フィオ:
うん、とっても!
ありがとう、カイブツさん。

運送屋:
さっ、カカシが見えてきましたよ!

レヴァニア:
……ちゃんと待っていろよ。

フィオ:
はあい。

〈QUEST 7〉

レヴァニア:
やはり何かおかしい。

運送屋:
貴方様の食べた夢が規定量に近づいているのでしょう。
問題ないはずです。このまま進みましょう。

〈QUEST 8〉

〈QUEST 9〉

フィオ:
もう少しだね……
カイブツさんの願いがかなったら、わたしもうれしいな。

レヴァニア:
自分でない相手の願いがかなうことが嬉しいのか。

フィオ:
そうだよ。その方が、嬉しさが倍になって、相手も自分も嬉しくなるんだって。
……せんせいに教えてもらったんだ。

〈QUEST 10〉

運送屋:
不思議な世界の物語でしたね。

運送屋:
おっと、そろそろお時間のようですよ。

フィオ:
そうだね……行かなきゃ……

レヴァニア:
オマエ……『アッチの世界』に戻らないほうがいいんじゃないか。
ここに来るたび、様子が変になってる。

フィオ:
でも……ママが待っているかもしれないから……

第12章 白秋の章

運送屋:
では、今宵も夢を喰らいに参りましょうか。

レヴァニア:
待て。アイツがまだ来ていない。

運送屋:
心配ご無用、すぐに会えますから…

運送屋:
お嬢さんは、何やら『アッチの世界』がお忙しいようでして。

レヴァニア:
アイツがいなければ、夢は喰えない。
早く『コッチの世界』にアイツを連れて来い。

運送屋:
まあまあ、慌てないでください。
そこはちゃーんと私が考えておりますから!

運送屋:
さて、今夜貴方様に修復いただくのは……
『アッチの世界』におられます、お嬢さんの物語でございます!

レヴァニア:
なんだと?

運送屋:
これが人間になるための最終工程、でございます。
さぁ、行ってらっしゃいませ!

〈QUEST 1〉

運送屋:
……さて、いかがでしたか?
お嬢さんの『現実』は。

レヴァニア:
………

レヴァニア:
俺がニンゲンになったら、アイツを苦しめる奴を一人ずつ殺す。

運送屋:
この物語を修復して喰えば、貴方様は晴れて人間になれましょう。

レヴァニア:
さっき見たのは『現実』だ。
『現実』は喰えない。

運送屋:
まぁ難しく考えずに、まずは先を急ごうじゃありませんか。

モノローグ (レヴァニア):
少女が『檻』にやってこなかった。
その時にようやく俺は、自分が『檻』での少女との夢集めを楽しんでいたことに気づいた。

あの子が、自分の世界で苦しい思いをしているなら。
あの子が、自分の世界で助けを求めているなら。
俺は、俺のやるべきことを悟った。
なのに、俺は──

運送屋:
お次はこちらですね。お嬢さんは元気でしょうかねぇ。

〈QUEST 2〉

運送屋:
いや〜、どの世界でも現実は世知辛いですねえ〜。
貴方様は、人間なんかになってどうするんですか?

レヴァニア:
………

運送屋:
私なんかもね、ここ数年給料は上がらないし、休みは取れないし……
妻は小言ばかりだし、親の介護もあるしで、もう大変なんですよ〜。

レヴァニア:
オマエの話はどうでもいい。アイツは大丈夫なのか。

運送屋:
…………
次の黒いカカシはこの道の先です。そこでわかるでしょう。
さあ、両親を失ったお嬢さんの運命やいかに!

レヴァニア:
オマエ、殺すぞ。

〈QUEST 3〉

レヴァニア:
俺は……
俺はニンゲンになって、アイツの友達になりたい。

運送屋:
ふわぁ〜あ……ああ、いい考えかもしれないですねえ〜。

レヴァニア:
おい。俺がニンゲンになったら、『アッチの世界』にすぐ行けるのか?
早くしないと、アイツが死んでしまう。

運送屋:
あー、えっと、上に確認してみますね。

レヴァニア:
急がなければ……

運送屋:
そうですね! チャチャッと人間になっちゃいましょう!

運送屋:
いやはや、長いようで短い旅路でしたよねえ……
もうすぐ貴方様とも契約満了だと思うと、いよいよ淋しくなってまいりました!

運送屋:
ここがお嬢さんの現実、最後の黒いカカシ……

レヴァニア:
すぐにカタをつけてくる。

〈QUEST 4〉

運送屋:
おや、お嬢さんは倒れてしまったみたいですねえ……
でもご安心を! まだ死んではいません!
間に合いましたよ!!

レヴァニア:
おい…………目を覚ませ………!
フィオ!!

運送屋:
さあ、ではお約束通りにこちらを……

(二人の姿が入れ替わる)

レヴァニア:
俺は……ニンゲンになったのか。

レヴァニア:
なぜこの子が俺の姿に……?

レヴァニア:
おい運送屋!
話が違うぞ! どうなってる!

運送屋:
私は嘘などひとつもついていませんし、約束はお守りしましたよ?
というか、そもそもは……

運送屋:
てめぇがニンゲンになりたいって言ったんだろうが!

〈戦闘開始〉

レヴァニア:
あの子を返せ!!

運送屋:
ナメたこと言ってんじゃねぇぞコラ?
こちとら、手伝ってやっただけだからな?

レヴァニア:
攻撃が……効いていない……だと?

運送屋:
ヒャハハっ!
これが 「上」 からもらった 『拒絶』の力か……!!

運送屋:
あんた、バカだねぇ。
人間になって満足してりゃいいものを。
ま、そういう不完全なところを付け入られていたってことだね。

レヴァニア:
なんの話をしている……!

運送屋:
あ。あんたは知らなくていーのいーの。

レヴァニア:
オマエの目的は……なんなんだ?

運送屋:
それを俺が言うとでも?

運送屋:
そろそろ降参するか?

レヴァニア:
なぜ俺を殺さない?

運送屋:
殺したら『経路』が塞がれちまうんだよ。
ま、あんたには関係ないがな。

運送屋:
まあ、ちょっと教えてやってもいい。
俺はこの世界にある命令を受けて干渉している。
その相手は絶対的存在で……

運送屋:
きょ……『拒絶』が………解けてる!?
まさか、「お上」 が俺を……

運送屋:
クソ、しゃべりすぎた!!

〈戦闘終了〉

運送屋:
私を殺しても……何も解決など……

レヴァニア:
俺……俺はどうしたら……

ママ:
元カイブツさん、お困りのようね。

レヴァニア:
貴様……運送屋の仲間か!

ママ:
待って。私は敵じゃないわ。
逆に、貴方にとって救世主かもしれないわよ。
あの子を元の姿に戻すことは……不可能じゃないわ?

レヴァニア:
なら今すぐやってくれ。

ママ:
でも、それには膨大な力が必要なの……貴方が食べてきた夢と同じだけの。

レヴァニア:
何をすればいい!? もっと分かりやすく説明しろ!

ママ:
あなたはもう一度夢を集め直す必要があります。
その為には、この『檻』を逆戻りすればいい。
ただ、貴方は代償として、声や、感覚を失ってしまうわ……

レヴァニア:
やれ!

ママ:
本当にいいのね?

レヴァニア:
もちろんだ。

4ヶ月後……

(回想:「あの子を人間に戻すんだ!」)

レヴァニア:
……『夢』はすべて集め直した。
どうすれば、あの子は元に戻る!?

ママ:
道の先へ進みなさい。
そこから先は、貴方の思うように……

ママ:
貴方は、立派に贖罪を為したわ。だからきっと、望みは叶えられる。
………それが、この『檻』のルールなのよ。

ママ:
いたわ! あそこよ!

レヴァニア:
フィオ………俺が集め直した『夢』を……

フィオ:
────!!!!
(嫌だ! 人間になんか戻りたくない!)

ママ:
これは……拒絶。

レヴァニア:
どうして……!?

ママ:
この子が人間だったときの記憶が……邪魔をしているのね。

〈戦闘開始〉

レヴァニア:
俺がフィオと友達になる!
俺がフィオを助ける!
俺がフィオと遊ぶ!
お願いだから!
信じてほしい……

〈戦闘終了〉

フィオ:
────!!!

(二人の体が元に戻る)

フィオ:
カイブツさん、人間にはなれなかったの?

レヴァニア:
……いいんだ。

フィオ:
じゃあ、いっしょにまた遊べるね!

レヴァニア:
……ああ。

ママ:
これで、貴方達の願いは叶った?

(フィオとレヴァニアの姿が消えていく)

ママ:
ようやく……あの二人の記憶が修復されたのね……