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DOD新宿エンドの真実


2003年6月12日。


新宿に突如現れた白い巨人と、紅き竜。


それが、全ての悲劇の始まりだった──



赤目の皆さん、こんにちは!
NieR考察ガチ勢のれいらです。

今回はDOD・NieR史の再重大事件、DRAG-ON DRAGOON(DOD1)の新宿エンドかつNieR: Replicantの始まりである、「6.12事件」について紹介しようと思います。

※考察の内容に、現実で起きた事件に関する記述や画像を含みます。苦手な方は注意してご覧ください。

「6.12事件」にはモデルがある

DODファンからは俗に「新宿エンド」と言われる「6.12事件」ですが、実際に起きたある大事件が元になっていることはご存知でしょうか?

この事件は、飛行物体である竜が、

巨大な敵「白い巨人」と奮闘した後に、

撃墜されて日本の象徴たる高層建築「東京タワー」に突き刺さり、命果てた事件でした。



そして現実世界では、飛行機が、

コックピットクルーの奮闘も虚しく、

墜落してアメリカの象徴であった高層建築に突き刺り、大破する事件が起きました。

ちょうど22年前の今日、2001年9月11日に─

そう、「6.12事件」はあの「9.11」、アメリカ同時多発テロをモデルにした事件なのです…

現に、DOD1の発売日は2003年9月11日、アメリカ同時多発テロのちょうど2年後です。

さらに6.12事件が起きた2003年6月12日は、アメリカ同時多発テロが起きた2001年9月11日のちょうど「911」日後

よって、6.12事件のモデルは間違いなくアメリカ同時多発テロだといえるでしょう。

「6.12事件」の真犯人

DOD・NieRシリーズには歴史モノの側面があり、史実に基づいたできごとが数多く存在するのが特徴です。

だとしたら、9.11同時多発テロが元となった「6.12事件」の真犯人も、9.11と何かしらの関係性が──

いや、9.11の実行犯こそが「6.12事件」の犯人ではないかと思うのです。

時代錯誤なテロリズムを望む組織

同時多発テロの首謀者ウサマ・ビン・ラディンと計画者ハリド・シェイク・モハメドは、共にテロ組織「アルカイダ」の一員でした。

左: ウサマ・ビン・ラディン
右: ハリド・シェイク・モハメド

「アルカイダ」はイスラム主義過激派のテロ組織であり、

イスラム世界は欧米・ユダヤの「十字軍勢力」によって「侵略・抑圧」されているとの認識の下、イスラム世界を守るため、場所の如何を問わず「十字軍勢力」の権益を打倒しなければならない

アルカーイダ-Wikipedia

という思想を喧伝しています。

しかし、十字軍が最後に行われたのは13世紀というはるか昔のできごと。

ロマン主義絵画「最後の十字軍」-Wikipedia

13世紀当時と現代とでは世界の勢力構造がまるっきり違うため、そもそも2001年の世界に「十字軍勢力」は存在しないのです…

真犯人が6.12を起こすまで

同時多発テロは自爆テロ事件で、成功した暁には実行犯本人も死亡するというものでした。

NieR世界の2001年9月11日、4機の飛行機に搭乗した同時多発テロの実行犯は、死に際にこう望んだことでしょう。

「911日後に、"十字軍勢力"の権益を打倒したい」

そしてNieR世界には、死者しか訪れない望みの叶う場所があります──

そう、『檻』です。

キャラが登場する棺

しかし先ほど言ったように、実行犯の願いはそもそも時代錯誤。

よって『檻』を管理するアコールは「アルカイダ」の望みを、過去から「十字軍勢力の権益」を持ってきて、911日後の2003年6月12日に破壊することで叶えようとしたのでしょう。

ここで、ワープしたアンヘルとカイムが元々生きていた時代を思い出してください。

1099年─現実世界でちょうど、第1回十字軍が終わった年です。

この年だったら「十字軍勢力の権益」が存在しそうですよね?

第1回十字軍 アンティオキア攻囲戦
(1097~1098)

つまり「6.12事件」で突如現れて破壊された白い巨人は、9.11の実行犯の『檻』での願いによって引き寄せられた「十字軍勢力の権益」だった、ということです。

アンヘルは2003年にワープする前に現れた白い巨人を「母体」と呼んでいたのですが、DOD1本編中には「母体」の他にも、歯の生えた巨大な「赤ちゃん」が登場しています。

この「赤ちゃん」は空中から降ってきたのですが、DOD1の作中に登場する言葉のうち、宙に浮くことができる人間を表し得るのは─

「天使」─DOD1中の「赤ちゃん」は蘇生・複製された死者「天使」である、ということです。

そして「母体」は「天使」の母であり、帝国軍側の兵士となる「天使」を産むことができるために「十字軍勢力の権益」として召喚されたのだと思います。

真犯人は「天使」だった!?

では、そもそもなぜ「"十字軍勢力"の権益の破壊」という時代錯誤な願いを抱く団体が現れたのでしょうか?

これは、NieR世界だと

「アルカイダ」が「天使」の集団だったため

と解釈されているように考えられます。

「天使の教会」会員の帝国軍騎士(DOD1)

「天使」の正体【前編】で話したように、「天使」は蘇生・複製された死者のことを表します。

十字軍が存在した時代の死者が蘇生・複製されて現代世界に顕現したのが「アルカイダ」だとしたら、時代錯誤な望みを抱えている理由も説明がつきます。

また、「アルカイダ」を「天使」の正体【後半】で紹介した「『社会的な死』にある者」の集団と解釈した場合、

「アルカイダ」は、イスラムの名を騙って時代錯誤な破壊的理念を正当化し、現地の「社会的な死」に追いこまれた者の支持の元に破壊行為をすることで成立する「社会」だった

という説明ができます。

よって、NieR世界の「アルカイダ」は「天使」の集団であると考えられます。

「新宿エンド」の存在意義

このように「6.12」事件は、NieR世界中で9.11同時多発テロを行った組織「アルカイダ」によって引き起こされたと考えられます。

「アルカイダ」の「9.11テロの911日後に"十字軍勢力"の権益を破壊する」という時代錯誤の望みを叶えるため、アコールが「母体」とアンヘル・カイムを2003年にワープさせ、「6.12事件」が起きてしまったのです。

実在のカルト宗教が起こした災厄

贖罪を果たした死者の願いが、その内容を問わず叶う『檻』という場所も問題のように見えますが、私は現時点ではそう思っていません。

いかなる権力者や大資本家でも、死んでしまえば富・権力ともに無益なただの一個人です。

そのため、これまでNieR世界の人々が死に際に『檻』で望んだことは、自分自身や家族・仲間のための小さな願いであり、世界中に影響をもたらすものではなかったと思われます。

ただし、その一個人が社会の破壊を望むようなカルト宗教に属していることは、世界を揺るがす大事件の原因になり得るのです。

繰り返さないため、語り継ぐ

カルト宗教による破壊的事件は『檻』のあるNieR世界に限らず、事件の内容を別にすれば、現実世界でもたくさん起きてきました。

例えば、28年前の日本でも──

地下鉄サリン事件(1995.3.20)

しかしこのような事件は、発生当時は世界を震撼させるものの、十数年経つと存在そのものが忘れ去られていきます。

現に9.11同時多発テロの映像も、CGと言われることがあるそうです。

そして9.11の存在が風化しきったころ、別のカルト宗教が「第2/第3の9.11」を起こすのです。

「このような悲劇を二度と繰り返さないため、己にできることは何か?」

それを問い続けた結果考え出されたのが、この「新宿エンド」ではないか、と私は思います。

事件が風化しないためには、人々の印象に残ることが必要不可欠。

しかし事件を率直に「現実」として語ると、ある人は拒絶反応を起こし、ある人はフラッシュバックを起こしてしまう可能性があります。

だから、社会問題に無関心な層に関心を持ってもらえるような「シュールで現実的なフィクション」として、語り継ぐ。

それこそが、ヨコオさんがDOD・NieRシリーズでやろうとしていることだと私は思います。

9.11のような宗教を騙る団体によるテロが二度と起こらないようにするためには、世界の歴史を学び、語り継ぐ必要があるのです。