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オンゲキAdvent Calendar寄稿用「低速曲を"シバく" -BPM等価交換のススメ-」

1.はじめに

本記事は、表題にある通り「オンゲキAdvent Calendar」という

オンゲキのオタク達で12月を盛り上げようぜ!(意訳)

という素晴らしい企画に関し、僭越ながら枠をいただき寄稿するものです。
本記載の内容が興味あるもの、また各地のオンゲキPlayerの誰かの
参考になれば幸いでございます。

上記企画立案者のツイートより、他の参加者が書いた素晴らしい
名作記事に辿り着けるので、ぜひ読んでみてください。
なお、私の担当箇所は「2枠目」の「12/17」です。


2.執筆者自己紹介

・HN:ひいらぎ
・CN:SAPPHIRE(サファイア)
・所在地:福岡
・音ゲー歴:11年(2010年から)
・メイン機種:オンゲキ、SOUND VOLTEX
・サブ機種:ポップン、ギタフリ、maimai
・推しカード:【エキゾチック・トワイライト】柏木咲姫

「Project DIVA Arcade」からこの界隈に入ったので、
稼働時期を確認して当時を懐かしむなどしました。もう10年かぁ……
とはいえ歴は長いものの、成長スピードは遅い方なので
これからも自分のペースで少しずつ前に進む所存です。

将来はこうなりたい(大盃 macho ゴリマッチョ 古式生酛90 純米)


3.導入 ~「BPM等価交換とは」~

早速本文……の前に、
本記事内で扱う用語についてざっくりとした事前説明を行います。
あくまでざっくりなので、イメージさえ掴めればOKデス。

・BPM:「Beats Per Minute」。1分間にその曲が等間隔で刻む拍の個数。
・○分音符:曲内のある1小節で等間隔で刻む音符の個数。
 (例…4個刻めば「4分音符」、16個刻めば「16分音符」)

なお、○分音符については同じくアドカレ参加者の方が記載した
こちらの方が、より分かりやすくおもしろいと思いますので
紹介させていただきます。(komaさんありがとうございます!)

ペテルギウス・ロマネコンティは怠惰の大罪司教なので
当然下埋めをしないとされる(と思わせて実は緑黄赤全理論値である)
ことはオンゲキ界隈では非常に有名な話ですよね。
実際"見えざる手"ですげぇズルできそうですし。

3-1.疾走感n00%のゲームで起きていること


いきなりですが、私のもう1つのメイン機種であるSOUND VOLTEXの話から入ります。
もちろん、SOUND VOLTEXのゲーム性をここで長々と語っては
お門違いになるのでそこはバッサリ割愛し、このゲーム最大の特徴である

バージョンが更新されるほどより疾走感が高まる

という点を紹介したいと思います。
実際に各ナンバリングごとの疾走感の推移を見てみると、

I(BOOTH):疾走感200%
II(INFINETE INFECTION):疾走感400%
III(GRAVITY WARS):疾走感800%
IV(HEAVENLY HAVEN):疾走感1600%
V(VIVID WAVE):疾走感3200%

このように、SDVX Vまでは 疾走感=2^n×100[%](n=バージョン数)で
表現することが可能であり、この理論でいくとSDVX X(10)においては

"疾走感102400%"

に達することが予想されていましたが、EXCEED GEARからナンバリングが
なくなったことで事なきを得ました。ちょっと見たかった

では、その「バージョンごとに疾走感が高まる」結果、何が起きたか?
もちろんインフレ等いろいろあると思いますが、ここではずばり

収録される曲のBPMが"ぶっ飛んでいる"

という点を挙げさせていただきます。
以下はオンゲキのボス曲でBPMが速い曲をいくつか示したものですが、

・Viyella's Tears:BPM218
・Viyella's Scream:BPM228
・FLUFFY FLASH:BPM252
・YURUSHITE:BPM270

と、おおよそ200以上が「高速」とみなして良いような傾向があります。
しかし、SDVXでは

・BPM380
・BPM451
・BPM500
BPM666
BPM777
BPM998

と、尋常じゃないくらい速い曲が何曲も存在する現状となっています。
(楽曲名は割愛しますので、どんな曲かは調べてみてください)

なお、かつてゲーマー界にその名を轟かせた「名人」なるプレイヤーは
1秒間で16連打が可能でしたが、これを60秒継続すると
16×60=960でBPM960となります。
つまり、ボルテのランカーはそんな人間を辞めたレベルの指捌きを
2分間している……のかというと、もちろんそういうわけではありません。

3-2.「BPMの等価交換」

オンゲキに話を戻し、次の2曲をそれぞれ聞いていただきたいと思います。

(1) BOUNCE & DANCE

(2) YURUSHITE

この2曲のBPMを比較してみると、

①BOUNCE & DANCE:BPM135(1分間に135拍)
②YURUSHITE:BPM270(1分間に270拍)

と、②は①の2倍のBPMですので、少なくとも「②の方が①の2倍速い」と
表現することが可能です。

……しかし、実際にこの2曲をプレイしたことがあるプレイヤーの方は、
こうも思ったのではないのでしょうか。

「あれ? でも同じ速さで叩くところがいくつかあるよね?」

はい、その通りです。
実際に下記の引用箇所において、ノーツを叩く速度はどちらも同じです。

① BOUNCE & DANCE【MAS】88小節目
② YURUSHITE【MAS】42~44小節目

BPMが2倍違うのに、全く同じ速度で叩くポイントがある。
このカラクリが、先述した「○分音符」の違いです。

①のポイントにおいては、1小節(図中88~89の数字間)に
ノーツが手前から16列並んでいる一方、
②のポイントでは1小節(42~43及び43~44)に8列並んでいます。
これは、①では16分音符、②では8分音符が配置していることを
意味しているのですが、

①BPM135のリズムで1小節に16個の音符を刻む
②BPM270のリズムで1小節に8個の音符を刻む

において、②は①と比較し
・BPMが2倍
・刻む音符の数が半分(1/2倍)
なので、①と2*1/2=1倍の速度で音符を刻むことになります。

ここに、以下の関係が成り立つことがわかります。

BPMがXである楽曲のY分音符は、
BPMがn*Xである楽曲のY/n分音符とリズムが等しい

ここで、n=2,3,4,...と2以上の整数が入ります。(大体はn=2です)
また、これをひっくり返して、

BPMがXである楽曲のY分音符は、
BPMがX/nである楽曲のn*Y分音符とリズムが等しい

もまた同等に言えることがわかります。
3-1項で紹介したSOUND VOLTEXの”ぶっ飛んだ”BPM曲群も、
この原理を利用して

・BPM500の8分音符⇒BPM250の16分音符
・BPM666の6分音符⇒BPM249.75の16分音符
・BPM998の4分音符⇒BPM249.5の16分音符

と、軒並みメインフレーズの最高速をBPM約250のリズムに置き換えられるよう
ノーツを配置することで、音ゲーとして遊べるレベルに調整しています。
……とはいえ、BPM250の16分は普通に考えれば十分に速いのですが。
(参考:Apollo中盤の加速地帯終わりにあるトリル地帯がBPM250の16分)

「あああああああああああ!!!!!!!!!(ドコドコドコドコ)」という気持ちになります


4.本題 ~低速曲を”シバく”~

さて、ここまでで導入が終わったので、今回の本題に移ります。
以上のようなBPMの等価交換を利用して、

低BPMの16分音符を、高BPMの8分音符っぽく押す

ことで、もしかしたら上手く押せるようになるかも? という提起を
いくつか行っていこうと思います。

4-1.なぜBPMの等価交換を行うのか

下の画像は、STAR(MASTER:Lv13)の60~67小節目、
ちょうど小星がボスとして出てきた直後の配置です。

画像1
STAR(MASTER) BPM:136

赤い四角で囲った60~62及び64~66小節目の16分音符地帯、
なんとなく「押しにくい」と感じたことはないでしょうか?
例えば、

・入りは良くても進むにつれBREAKが出る
・指押しが苦手
60小節目の入口で出てくるルミエラ小星に見惚れてしまう

などなど。

「めんどいなぁ……」

詳細な解説は他に譲りますが、押し辛いのは以下のような原理のようです。

・16分音符で構成された階段状のノーツを処理する時、
 指の動きを流すようにして処理する。
・この時、BPMが程よい速さの曲(BPM170~180あたり)よりも
 遅い曲の方が、指の制御が難しくなり押し辛い。
・無論、逆に速い曲も押し辛いが、「指を速く動かす」動きは
 「指を遅く動かす」動きよりも簡単な為、追いつかせやすい。

※上記記載内容は、2020年6月に福岡県のbeatmania IIDXプレイヤーを
 中心とした音ゲーマー達で開催された「地力向上委員会」において、
 今回の記事と類似する内容を発表後のディスカッションにより
 得た知見を基にしています。
 私自身も「おおよそこんな感じ」という理解ですので、ご了承ください。

さて、そこでこの遅い階段を光らせるにはどうするか?
もちろん指を遅い動きに制御できるようになるのがいちばんですが、
難しい時は、例えば次のように考えてみましょう。

"これはBPM136の16分音符ではなく、BPM272の8分音符である"

先程のBPM等価交換の原理を使って、BPMが2倍の曲とみなし、
ノーツを8分音符のリズムで押す。
こうすると指に適度に力が入り、遅い配置に対しても動きの制御が
しやすくなる"気がする"、というのが今回の趣旨です。
(当然個人差はあります)

感覚的には、16分音符を「タカタカタカタカ」という音で表すなら、
8分音符は「タタタタタタタタ」という感じで1つの音を"しっかり"押す
イメージですが、これがタイトル中の「シバく」という表現に
繋がっています。

4-2.等価交換の具体例

以上、理論ができたところで、ここからは練習用と実践用に分け、
いくつか譜面を紹介していきます。
なお、そもそも16分音符の登場が一定の難易度以下では
望めない為、練習用譜面にしてもある程度の難易度はあることを
あらかじめご了承願います。

(1)練習用
・Everlasting Today(EXP:Lv12+) BPM:148

BPM148の16分⇒BPM296の8分

上部画像の「○」で囲んだ16分音符の配置を、
「タタッ」と8分で処理するイメージで押してみましょう。
なお、曲の終盤(80小節目以降)には4連打のトリルがあるので、
そこも余裕があれば同様のイメージを持って押すと練習になると思います。

・ポケットからぬりつぶせ!(MASTER:Lv12) BPM:126

BPM126の16分⇒BPM252の8分

「○」で囲んだ16分ノーツ3つを、「タカタッ」ではなく「タタタッ」という
リズムで押すイメージで。
曲のアウトロ(74小節目以降)にも同様の配置があります。

・Kiss Me Kiss(MASTER:Lv12+) BPM:140

BPM140の16分⇒BPM280の8分

上記「ポケットからぬりつぶせ!」と同様、16分のトリル配置を
「タカタッ タカタッ」ではなく「タタタッ タタタッ」というイメージで。
片手のみでも拾える配置ですが、前半は左手、後半は右手で
押すようにすると満遍なく鍛えられると思います。

・Elusive Emotes(MASTER:Lv13+) BPM:132

BPM132の16分⇒BPM264の8分

「○」で囲ったような、片手16分トリルの終点に反対側の手のノーツが
くっついてるような配置に対して押しやすさが感じられると思います。
いちばん後ろの赤枠は24分(BPM198の16分相当)なので、
ここだけはさすがに指を流すイメージで取りましょう。背景で見辛い


(2)実践編
4-1項で挙げたSTARも含め、遅めの16分が長めに続く配置、
応用的なことが可能な配置を紹介していきたいと思います。

・撥条少女時計(MASTER:Lv13) BPM:134

画像2
BPM134の16分⇒BPM268の8分

上図赤枠で囲ったところを丸ごと押せます。
ただし、力み過ぎると54小節目にある24分緑トリルでFAST出がち。
(よくやらかします)

・幾望の月(MASTER:Lv13) BPM:276

BPM276の8分⇒BPM276の8分

実はBPM速い曲。
画像に挙げた箇所が難所の人も多いのではないでしょうか。
等価交換されていませんが、BPM138の16分を等価したのと
同じ扱いなので問題なく処理できます。

・Everlasting Today(MASTER:Lv14) BPM:148

BPM148の16分⇒BPM296の8分(2回目)

上記のようにサビを含め該当配置はぽつぽつありますが、
どこも単発気味なのであまり問題にはならないと思います。
では何故この曲を持ってきたかというと……

シャン シャン シャン シャン シャンシャン シャン シャン シャン シャン シャン テテテン!!!

……はい、さすがにゴリ押しが過ぎると自分でも思います。
言い訳をさせてもらうと、こういう「同方向片手3鍵階段」って
緑以外は別の指をリンクさせて動かさなきゃいけないのですが、
そういう動きが極端に苦手なので

・意識しすぎて指がずれる(真ん中の緑でF/Lが出る)
・力んで最後の入りが遅い(最後の赤でLが出る)
・焦って最初の入りが速い(最初の青でFが出る)

等の失敗例を繰り返すうちにすっかり苦手意識が定着した為、
これくらいのBPMなら"シバく"ようにしてます。
(Desperado Waltzとかメリゴはさすがに無理です)

同様の意識をしている曲を最後に1つ紹介して〆にしたいと思います。

・Apollo(MASTER:Lv15) BPM:339

BPM137の16分⇒BPM274の8分(※表記の339はラストの最高速)

無論「ここだけができてもどうしようもない」くらいの難関譜面ですが、
それでも少しでも失点要素が減らせるなら使えるものはなんでも使います。
ここも、普通に押すといつの間にか指がずれて大惨事になってしまうので
"シバく"ように押しています。
(手前の赤緑トリルの場合、左手薬指、右手人差し指の組み合わせで
 スタートするのに、気が付くと「両手とも同じ指」でトリルしてる)

5.あとがき

いかがでしたでしょうか。

実際に音ゲーで意識していることをアウトプットしてみるのは
これで2回目(前述した「地力向上委員会」が初)ですが、
前回は実際に自分の意見を出すこと、またそれを他人に見てもらい
意見を出してもらうことで、

・賛同による「自信」(自分のやってることは間違っていない)
・批評による「気付き」(こうすればもっと上手くなれる)

を得られ、より自分の能力をスパイラルアップできたと感じております。
(恥ずかしながら、ホームポジションを「人中薬」から「親人薬」に
 変えた方が対応しやすい、というのを、この時初めて知りました)

今回の記載内容についても、冒頭にある通り誰かの助けになれば
もちろんのこと、もし更に改善できる点等があった場合は
引用RTを筆頭に反応をいただければ幸いでございます。

それでは、本日からも良きオンゲキライフを過ごしていきましょう。


画像出典
・オンゲキ譜面保管所

・[オンゲキ] STAR [MASTER 13] (譜面確認)











「写真撮ってくれるの? ふふっ♪
ポーズは、こうして。目線は、こんな感じで。……で、どうかしら♪」

……いろいろと想像が捗る"良い"ボイスですよね!!(おしまい)

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