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もっと魅せてあなたの素敵なとこ/Liella! 2nd AL『Second Sparkle』レビュー②

『ミッドナイトラプソディ』を歌う恋ちゃん、めちゃくちゃに可愛いですよね?

『微熱のワルツ』も『リバーブ』も好きだけど、こんなにも可愛い葉月恋を感じられる『ミッドナイトラプソディ』がもうダントツで好きです。ソロ曲、グループ曲ともにここまで可愛らしさが感じられる楽曲がなかったというのもありますが、それ以上にこの楽曲がいわゆるアイドルソング的な可愛さへ振り切ったのではなくて、今までの葉月恋のイメージをちゃんと保った上の可愛さで成立している楽曲だから本当にたまらない。

そんな可愛さを支えているのは、ゲームに夢中になる恋ちゃんを想像できるのと同時に恋愛ソングとも取れる歌詞の柔軟さにあると感じています。ラブライブ!スーパースター2期7話を見ている人なら歌詞を読んだ時に、「あー、これはゲーム中毒になっているあの恋ちゃんなんだな」と分かると思いますが、彼女を知らない人が聴いたら誰かに恋焦がれる等身大の女の子が歌詞には描かれていると読めます。
でも、あえてそこは切り離す必要はないと思っていて、ゲームのことしか考えられないくらい夢中になっている=大恋愛と言えるから、もうこれは恋愛ソングと言っても過言じゃない。そして、そこにちゃんと今までの恋ちゃんを感じられるから良いんです。

そして、この『ミッドナイトラプソディ』の面白さって、誰かに恋焦がれる恋愛ソングの中からいかに「葉月恋」を見つけていくかに尽きるんです。

(これを書いていて、原宿通りのサインになぎちゃんが「恋ちゃん見つけてね」のメッセージを書き添えていたのを思い出して泣きそうになるオタクです)

そんな至る所に隠れている恋ちゃんを『ミッドナイトラプソディ』の歌詞を引用しつつ、見つけていきます。

いけないって思うほど夢中になってしまうの なぜ?
出会う前 あの頃のお利口なわたしに戻れない

注1

ただ「あの頃の私」とするのではなく、そこ「お利口」と付いているのがもう恋ちゃんらしいなと。結ヶ丘女子高校の創設者の娘として、そして生徒会長として、ちゃんとしなければいけないと思っている恋ちゃんがここに感じられます。そして、アニメ2期7話の中で、「ゲームはいけません」とキッパリ言い切るのにやめられない自分に戸惑う姿も想像できます。

見せて魅せてわたしにもっと
あなたの素敵なとこ
自由な夜に飲まれたい
どうかほんのひとときだけでもいい
危ない夢の中へ
狂おしい胸騒ぎ Midnight

注2

サビのここは一番分かりやすい形で『UR葉月恋』を感じられるパートです。お父さんから次々とプレゼントされるゲーム機にグイグイ引き込まれていく姿、そして、時間を忘れるくらいにやり込んでしまう恋ちゃんの姿が冒頭一行の所からめちゃくちゃ伝わってくる。特に、「見せて見せて」と繰り返すんじゃなくて、あえて「魅せて」と続けるのが良くて、こうすることで「まぁ」と1つ1つのゲーム機に「まぁ」とリアクションする恋ちゃんがパッと思い浮かぶ仕組みになっているのかなと思います。
全くゲームに触れてこなかったからこそ、新鮮なリアクションを見せる恋ちゃんって可愛いですよね。

あなたわたしどちらでしょうか
虜になってるのは
答えは多分お互いに
いつも突然に遠ざかっていく
さよならも告げないで
抱きしめた胸騒ぎ All night

注3

もしも巡りあわなければ
切なさも知らずにいられた
それじゃ会わなきゃよかったと
悔やむほどヤワじゃない
わたし実は少し悪みたい

注4

続いて、抜き出したこの2箇所は特に、この『ミッドナイトラプソディ』に恋愛色を持たせるパートだと思います。視聴動画が公開されてからなぎちゃんが未公開のパートの歌詞にも注目して欲しいって話してたのに納得しました。そう、恋愛とも取れる言葉のチョイスが面白いんです。フル尺で聴いて、歌詞を読み込んで、凄く微笑ましく思えたのは、ゲームとの出会いをまるで運命の相手と巡り会ったかのように捉えているから。今まで全く縁のなかった恋ちゃんにとって、ゲームってそんなに劇的な出会いだったんだ?!と感じさせるのがとにかく可愛らしいです。

あえて「恋愛」という視点を外さないのであれば、冒頭でも書いたようにこのゲームとの出会いは恋ちゃんにとって「大恋愛」とも言えるくらいの衝撃だったのかなと読み取れます。ついつい『UR葉月恋』の存在もあってゲームのイメージが先行してしまうけれど、それと同時にちゃんと恋愛ソングとして成立しているのもこの曲の面白さだと思います。

また、「この出会いは決して間違いじゃなかった」と受け入れ始めているのが分かるのも注目ポイントです。「ゲームはいけません」と口には出しているのに、人目がないと分かるとゲーム機に手を伸ばしてしまう恋ちゃんの様子が思い浮かぶ。その一方で、最後の一行にあるように、そんな自分を「悪い子」とちゃんと背徳感を持っているあたりにも隠しきれない真面目さが出ていて、至る所に「葉月恋」の可愛さが潜んでいて、もっと見つけ出したくなります。

そして、楽曲全体を振り返ってみた時に、タイトルと楽曲全体に散りばめられている「ミッドナイト」=「深夜」という要素も大きいと思います。ゲームが好きな人なら経験があるように、このステージをクリアしたら、このボスを倒したらやめようと思うけれど、全然やめられない。気付いたら深夜になってしまうなんてことはよくあることだと思います。(僕自身も金曜日の夜とかめちゃくちゃにやり込んでしまうので分かる)

でも、このゲームをやった人なら分かる共感部分って、恋ちゃんにとってめちゃくちゃ大事な要素なんです。『UR葉月恋』を見た時、彼女に親近感が湧いたのはゲーム中毒になるあの姿にギャップがあって面白いと思っていたんですけど、それだけじゃないなと思い始めました。そう、彼女が夢中になったのがゲームという身近なものだったのが大きいんです。

改めて、彼女の物語の中での立ち位置を簡単に振り返ってみると、「生徒会長」、「学校創設者の娘」、そして、「学校運営の危機を1人で抱えて何とかしようとしている」とパッと思いついた要素を挙げるだけでもかなり共感しづらい立ち位置にいる。アニメを見ていると物語の展開も加わって、無意識のうちに共感している所はあるけれど、いざ整理してみると常に何かしらの距離感はできてしまう。だからこそ、学校が終わって、生徒会長という役目からも一旦距離を置いてゲームに夢中になっている恋ちゃんを想像すると、可愛らしいのと同時に共感も生まれるんじゃないかなと思っています。ここは割とすっ飛ばした感があるので、この辺りの距離感については『UR葉月恋』を改めてブログを書きます。

一応予告的に書いておくと、「好きを作ること」=「隙を作ること」が恋ちゃんとの距離感を縮めたと考えていて、そこに『ミッドナイトラプソディ』に当てはめていくと「ミッドナイト」=「深夜」を楽曲の世界観として設定しておくことで、深夜までゲームをやり込んでしまう恋ちゃんの姿をよりイメージしやすくさせる曲だったとも考えてます。改めて、『UR葉月恋』と『ミッドナイトラプソディー』の親和性が凄いと思ったので、ここはちゃんと言語化したい。

本題に戻ると、生徒会長で真面目な恋ちゃんも学校が終わった日の夜くらいは、そんな役目も真面目さも忘れて良いんです。生徒会長として学校をまとめたこと、スクールアイドルとして駆け抜けたことだけじゃなくて、寝る時間も忘れるくらいにゲームに夢中になったそんな自分の時間も彼女の貴重な思い出になって欲しい。この曲の魅力に想いを馳せているうちに圧倒的葉月恋推しとして、そんなようなことを願っておりました。

推しの幸せを願うオタクの邪念がちょっと入ってしまいましたが、そんな想いを抱いてしまうくらいに可愛い葉月恋が『ミッドナイトラプソディ』には詰まってます。そう、恋ちゃんはこんなにも魅力的な女の子なんです。

▼注釈
注1〜注4 葉月恋『ミッドナイトラプソディ』 作詞 宮嶋淳子

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