宝箱

5月4日で愛菜ちゃんに出会ってから10年が経った。
10年前の今日、私は彼女の存在を初めて認め、この子をこれから先長い時間をかけて応援し続けることになるだろうと漠然と感じた。

時間もしっかりと覚えている。
2014年5月4日朝8時15分頃、当時高校生だった私は車の中で開いた学生向けの新聞に載っていた1人の女の子に目を奪われた。1度他のページへ移り、やはり気になってまた戻る。それを何度か繰り返し、ようやく写真の中のその子としっかり目線を合わせてみた。目に光があって輝いていて、瞳に込められた力強さとエネルギーが紙面越しにも伝わり、射抜かれ目が離せなくなった。

テレビを見てこなかったものだから当時流行していたものについて断片的な知識しかなく、芦田愛菜という名前は知っていたけれどマルモの子と芦田愛菜が結びつかない。その程度の認識だった。
「芦田愛菜ちゃんってこんなにかわいかったんだ」というのが1番初めの感想、しかしそのあとすぐにかわいいだけではない不思議と目を離せなくなる何かを持っている子だと確信した。一瞬静止画を見ただけで、声も話し方も性格も知らないのになぜか心を大きく掴まれてしまった。

帰宅し新聞を捨てようとしたところでふとさっきのあの子が頭をよぎりその記事だけ切り抜いてみた。なんとなく秘密にしたくて、引き出しの奥底にしまった。

動画で見る小さい頃の愛菜ちゃんはそれはもう本当にかわいかった。よくテレビで言われる「天才子役」という表現はしっくり来なかったけれど、一瞬で誰かの目を奪ってしまう言葉では表せない何かを持っている、それだけで私にとって彼女は間違いなく天才で唯一無二の存在だった。

年を重ねて、誰かを出会った時と同じ熱量で大切に思い続けることは難しいことだと知った。
それでもこの10年間、私は愛菜ちゃんのことを少しの瞬間も目を離すことなく応援してきた。
そして10年前の小さなあの子に今でもずっと恋をし続けている。
それが叶っているのは愛菜ちゃんが日々素敵に成長し続けてきてくれたから。

来月の誕生日で20歳。
愛菜ちゃんの掴むこれからの未来が幸せでありますようにと願うと同時に、続けてくれてありがとう、元気な姿を見せてくれてありがとうと心からの感謝を込めて、私は自分の命が続く限りこれからも遠くて近いこの距離で見守り続ける。

世界で1番大切な女の子へ
毎年願うことは1つです。
ずっと幸せでいてください。
10年間を振り返ると大好きな笑顔が詰まったキラキラの宝箱のようで、どの瞬間を切り取っても愛しさがあふれてきます。

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