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ソウルハッカーズ2は何故賛否両論なのか考える

ソウルハッカーズ2が出た。

女神転生シリーズのスピンオフである
真・女神転生デビルサマナーシリーズの派生である
デビルサマナー・ソウルハッカーズの2作目である。
派生の派生の2である。

国内での評価は、ほぼ5分でSteamにもやや好評タグが付いているが
これは信者が多いアトラス作品においては基準点ややマイナスである。

つまり他のアトラスRPGと比較した場合酷評されていると
言わざるを得ない。何故なのか。

信者が多いメーカーの派生作品であるからして、
前作の精神を継いでいるかどうかが争点になるのは致し方ない。
否定派のレビューを見ても、ユーザビリティの欠如に次いで
前作の精神を継承していないといった主旨の批判が多く見られる

果たして本当にそうだろうか?
前作ソウルハッカーズにおける物語の主軸 電霊<マニトゥ>とは
一体なんだったのか、その辺から掘り下げて行こうと思う。

※ユーザビリティがひでぇのは同意なのでそこには触れない

※※※※※※※※※※※※※※ネタバレ注意※※※※※※※※※※※※※※
以下に、ソウルハッカーズ及び、ソウルハッカーズ2のネタバレを含みます
※※※※※※※※※※※※※※ネタバレ注意※※※※※※※※※※※※※※







前作ソウルハッカーズにおける電霊マニトゥとは、太古の昔に何者かにより異次元より送られて来た霊的な観測装置である。他者に寄生し超常的な力を与え、現住生物の魂を収集する事を目的とした仕組みであり、そこには人間社会をどうこうしよう等といった意図は持たない。(本来は)

ソウルを収集する過程で、現地の人間の欲望などの強い感情に触れ続けた結果、装置としては暴走してしまい中立の立場を失い己の分霊を実体化し人間社会への干渉を始め、人間社会にとっては害となる存在に昇華する。

マニトゥに寄生され、超常的な才能を得ながらも強い意志力によって己を失うことの無かった原生インディアンのレッドマンによって封印を施される。

…これを数世紀後に掘り返してしまった門倉がマニトゥによって超常的な才能を与えられて天海市で人間のソウルを収集する為に暗躍する。

と言うのが前作ハッカーズの本筋。
ソウルを収集する手段として、アルゴン社を設立し
自社の高性能チップを組み込んだPCをIT特区である天海市で配布。
今流行りのメタバース空間である<パラダイムX>を公開。

アルゴン社製のクリプトチップを埋め込んだPCでパラダイムXにログインする事でソウルをデータとして捉え、ネット経由で吸収する手法を取っていた

デビルサマナーシリーズの敵サイドである組織、ソウルソサエティだが
実は 観測の為に、ソウルを集めたい門倉(マニトゥの意志)と
大いなる存在にソウルを捧げたいソウルソサエティの利害が一致したから
手を組んでいただけで門倉はソウルソサエティの人間では無いし

なんならソウルソサエティとしては最終的には、またも人間の感情に触れすぎて観測装置としての役割を超えて暴走を始めたマニトゥと、実体化したその分霊が手に負えなくて後半は組織としては、事件から手を引いている。

よって前作のラスボスは、ソウルソサエティでは無く
人間の魂と感情を収集した事によって実体化した門倉&マニトゥとなる

ソウルソサエティが突くだけ突いて手に負えなくなったら逃げる小物っぽさを抱えているのは昔からである

つまり、超雑にまとめると 前作ハッカーズとは

人外の存在が送り込んだ観測装置マニトゥが、人間のソウルを集めるという主目的を満たすために停滞した人間の文明レベルを高めようと、人に超常の才能を与え発展を促し、人間の感情を学ぶことで暴走した結果、人間社会に実害を及ぼし始めなんだかんだで封印される話である。


んじゃ、ハッカーズ2とは何だったのか。

こっちも超雑にまとめると

人外の存在である観測装置アイオンが、人間社会の破滅を予見した事でそれを防ぐため観測装置の分を超えて人間社会に干渉するために、2体の肉体を構築し人間社会の破滅を防ぐ為に暗躍したかった話である。

その過程で、人間の感情に触れすぎた観測装置の片割れは、人間の感情に興味を示し、人の在り方を学び、個を愛し、その個の死によって世の在り方を憎み、同じ悲劇が生まれないようにという理由で人間の魂の構造を作り変えようとする。(ので、それを止めに行く)

まぁ<観測装置>が人間の感情に触れ、自我を持ち暴走するといった大筋は同じである。

ただ前作のマニトゥが、文明を発展させる手段として人間意図的に与えていた才能と違い、今作の人間に超常的な才能を与え文明の発展を促すコヴェナントは何者が何の目的で現代文明の仕組みに組み込んだのか一切説明がない。

全色のコヴェナント集めると願いが叶う的なよくわからんドラゴンボール要素まで付加された結果、ソウルを集める(捧げる)事自体が主目的だった前作と比べ、ソウルソサエティの目的もコヴェナントを全色集め大いなる存在を直接呼び出す計画にシフトしている。

ソウルソサエティの大いなる存在への贄により現在の文明を滅ぼすといった目的は一貫性が有り、前作から変わっていないので組織が矮小化したように見えるのは気のせいだと思う。そう感じるなら物語の書き方の問題。

ただ、まじで前作マニトゥがソウルを集める為の手段の1つであった人間への寄生&才能の付与の役割であるコヴェナントの説明が一切なく電霊の手を離れた謎の存在である事が結構みんなのひっかかりポイントになってる気がする。なんか簡単に複製されるし、偽装されるし、隠蔽されるし。物語のキーでありながら、存在が軽い。

というかアロウのコヴェナントなんで、可視化させた?ずっと隠蔽しとけば全色揃わずに平和(アイオンの当初の目的である、大いなる存在の顕現を防ぐ事が可能)だったのでは?

あと文明の観測装置であるはずのアイオンが最初から人類史に加担してるのは何でだ?

数世代かけて人間の感情に感化されていったマニトゥと違って、フィグが人間の感情に影響されるまでのペース早くない?

などの主軸に関わる疑問と、そこに至るまでの展開のゲーム内での書き込みが少かったことから、薄い、軽い、矮小化などといった評価をされている様に思う。

こうみると主軸は間違ってないし、世界観だってハッカーズの精神をちゃんと継いでるんだ。本来の人間は至高神の一部であるというグノーシス主義を基に神々(悪魔含む)に翻弄される人間を描いた女神転生シリーズの本流と違って、人間の組織同士の思惑が絡んだ人間対人間のデビルサマナーシリーズの構図だってちゃんと継承できている。
これは、未知の存在を利用しようとした人間と人間同士の物語の話だ。

以上をもって
間違ってねぇんだ、ちゃんとハッカーズなんだ
でも説明が足りねぇんだ…ってのが私の感想。

最後に。

アイオンの始祖は前作で最後にマニトゥに回帰した電霊ネミッサが
母体となって居る。なので元々人間という存在に対して加担しているという
という妄想を勝手に付け加えるとしたら多少は説明が付かないだろうか。

※マンゲツ喰ったあとの8割完全体ゼノンからどうやって逃げた?

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