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イニシャルK
煽り運転がどのように発生するのか、心理状態を想像してみた。
※フィクションです
道の駅 富士吉田。
閉館前ぎりぎりの時間にスタンプが押せた。
路面が凍結する前に、山梨の道の駅は訪問しておきたかった。
ゆっくり帰ろう。
雁坂トンネルを通り、秩父から回るルートを選んだ。
塩山の信玄通りからT字路を右折した。
ここから140号を真っ直ぐだ。
突然ラーメン屋から車が飛び出してきた!
右に避けたから接触はしなかったが、クラクションを何度も鳴らされた。
"向こうが悪いのに"
長い上りのストレート。
僕が先行する形になった。
レクサスNXのパッシングがしつこい。
登坂車線に入り先に行かせようとしたが、それでも後ろについてくる。
"煽ってるのか"
バックミラーを見ると、ヤンキー風のカップルが乗っている。
停車して喧嘩にでもなったら嫌だし、このまま料金所まで行こう。
峠を登り切った。
![](https://assets.st-note.com/img/1699968966848-6TLmpEQ3rD.jpg?width=800)
料金所を過ぎてトンネルを二つ抜けたところで、左に寄せて停車した。
ここに車1台分のスペースがあることを知っていた。
NXが追い越していく。
助手席の金髪ギャルが睨んできた。
車外に出て深呼吸と背のびをした。
心がモヤモヤするが、トラブルにならなくて良かった。
車に乗りエンジンをかけると、カーステレオから頭文字Dのユーロビートが流れる。
変な気持ちになってきた。
ヒルクライムでは馬力のないワゴンRは無力だった。
しかしダウンヒルなら、軽量な分だけコーナリングで詰められる。
埼玉側はテクニカルセクション。
大滝温泉手前までは信号もない。
"こらえろよ、オレのワゴンR"
"雁坂はオレのホームコース。湘南ナンバーに負けるはずがない"
![](https://assets.st-note.com/img/1699970294340-7IqhwoOiZF.jpg?width=800)
飛ばし過ぎていきなりのアンダー。
タイヤが滑ったとき冷や汗が出た。
"クソったれ、生きててよかったぜ!"
ガードレールに接触。
"リアハッチのRは、不敗神話のRだ!"
NXの姿をとらえた。
"どんな強引でも絶対にブチ抜く!"
NXも速度を上げた。
2台並んだ状態でループに入ると、NXは左の駐車場に入って行った。
![](https://assets.st-note.com/img/1699970961221-OOuIKrX4lJ.jpg?width=800)
バトルを終え、大滝温泉のファミマに停車した。
僕は何をしていたんだろう?
女子社員の軽蔑のまなざしが浮かんだ。
"プロジェクトKのイニシャル、『交通安全』に努めなければ…"
ドアに白い傷が残っていた。
※フィクションです
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