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自分ひとりの世界
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現実、というものがあるらしい。
これはわたしの嫌いな言葉だ。
就職とか、貯蓄みたいな
メンドクサイ、生々しいグロテスクだ
それから眠るときの夢と、起きているときの夢。
眠っているときにみる夢は、起きているあいだの世界と、ほとんど変わらない。
起きているときにみる夢、これがわたしのいちばん好きなことだ。
誰も知らない静かな廃墟や夕日に沈む街の裏路地を歩く黒猫、を想像する。
頭に浮かんだ、いま目の前にはないけれど、どこかにあるかもしれない光景。
だれかが云う、現実という言葉。
でも、だれが初めに言ったのか?
どこにそれがあるのか、生きていてもわかりゃあしない。
わたしが生きているのは、わたし一人のためだけに用意された、夢だ。
すくなくとも、現実というほど不確かなものではない。
ものすごくはっきりした、夢。
意識がとだえるまで醒めない夢。
現実逃避は、現実から逃避するのではなく、
現実へ逃避するという意味なんじゃないの?
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名前をわすれてしまった、
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