【今更聞けない配信音声処理】Voicemeeter BANANAで作る歌枠配信
皆様ごきげんよう。
LLSY music & V ch.のレーシーです。
あるときお友達がオーディオインターフェイスを新しく買ったということで、楽しそうにしているのをニコニコしてみていたんですが「歌枠のやり方がよくわからない」ということを言っていました。
基本的にはループバックというPC内の音をそのままPC内に戻す機能を使う場合が多いですが、ループバックってもともとあまりメジャーな機能じゃなかったんですよね。
最近になって配信需要が増えて、それに対応するように各社供えるようになりましたがまだ低価格帯だと搭載してないとか、ルーティングの自由度が低いとかあります。
今回もまさにそのパターンでした。
お友達が購入したのはFocusriteのScarlet 2i2 G4
Saffireシリーズの後に出てきたScarletシリーズも4世代目。赤くてかわいいです。世界一売れているIFシリーズともいわれています。
コロナ以降AudientやMOTU、UAとか高音質を謳ったIFが2~3万台にもりもり出てきて押され気味でしたが、4世代目になってサウンドも現代基準になり戻ってきました。
ADDAはシーラス。ヘッドホンの音もよくなりました。MM-100をつないだ時は明らかに定電圧駆動できてない感じでしたが普通のヘッドホンをつなぐ分には十分なパワーと音質です。
そんなScarlet 2i2ですがLoopback機能を備えています。
しかしどうしても自分の声とループバックの音が混ざってOBSに入ってしまうとのこと。
つまりScarlet 2i2だとループバックとマイクの音を混ぜた状態でしかOBSに送れないが4i4だとできるということですね。(あくまでミキサー上のお話で、独立した仮想入力としてLoopbackが扱えるかどうかまでは不明です。)
じゃあ歌枠の時はOBS上でマイク音声にフィルタをかけるのは諦めなんでしょうか、、?
そんなことはありません。
仮想ミキサーが足りなければ仮想ミキサーを足せばいいのです、、!
Voicemeeter
PCで音声をさわってると結構な確率で出現してくるこのベンダー。
Voicemeeter Bananaというフリーの仮想ミキサーをリリースしています。
正直これが無料とかOBSが無料と同じくらい意味が分からないレベルのすごいソフトですが、インストール方法はもう忘れてしまったので各自で調べてお願いします。
Voicemeeterのフリー版。Bananaは3つのハードウエアインプット、2つのバーチャルインプット。ステレオ3系統のハードウエアアウトプット、2系統のバーチャルアウトプットを備えた仮想ミキサーです。
ハードウェア入力
ハードウェアインプットセクションでは接続した外部入力を割り当てることができます。
これに関してなんですが、OBSはそのままインプットを拾えるので正直通す必要がありません。
ただBananaを通すときは他のソフトと同様レイテンシが発生しますので、そこを合わせるという点ではアリです。
後はASIOが排他で止まってしまうとか、OBS側で直接ASIOを拾えない場合などはここで拾ってあげるといいでしょう。
チャンネルストリップ
Bananaはミキサーをさわったことがある人だと直感的に使えるようになっていますが、HA直下にはリバーブとゲイン、パンを調節するXYパッドがついています。Auburn Soundのプラグインみたいですが正直私はここを使ったことがないのでわかりません。ワンノブコンプ、ゲートはかなり大雑把なかかり方をするので特にここでかける必要はないでしょう。
重要なのは音量バランスをとるフェーダーと、送り先を決めるA1-3,B1,2のボタンです。
後述のアウトプットセクションで説明します。
バーチャル・インプット
本題も本題、このソフトのお目当てです。
PCから出る音は基本的にOSで指定された出力先にまっすぐ出ていきますが、それを途中で拾ってPC内部にまた戻してしまおうというループバック機能です。
その機能がBananaは2系統備わっています。
実は2系統のループバックが扱える低価格オーディオインターフェイスはほとんどありません。
PreSonusのReveretor ioくらいでしょうか。
すこし複雑になってきましたがここはがんばって理解してください。
出力デバイスにInputを選ぶの?となりそうですが、アウトプットからインプットに直接ケーブルでつなぐようなイメージです。
アウトプットセクション
そしてアウトプットです。
インプット同様3つのハードウェアアウトプット、2つのバーチャルアウトプットを備えます。
インプットと同様A側は出力を選びます。2outのオーディオインターフェイスであればA1にお使いのIOを選ぶだけで終了です。
この状態でOBSでインプットの設定をしてみましょう。
ちなみにBananaの出力B1はVirtual、B2はVirtual AUXとなります。
出力と入力が同じ名前という非常に分かりにくい作りになってますが一度理解してしまえば大丈夫です。
まずはOBSのソースで音声入力を選びます。
プロパティを開いて、、
そうすると入力デバイスの欄にVoicemeeterのVirtual IOがずらっと出てきます。
ちなみにOBS、音声周りがバージョンアップによってコロコロ変わります。
私も久しぶりに触ったらなんだか増えていて驚きました。
おそらくハードウェアアウトプットからそのまま渡すことができますが、ここではいったんBananaの仕様に従って行いましょう。
B1、B2がバーチャルアウトプットの送り先になります。
なんとなくわかってきたでしょうか。
OBSで音声入力をB2に指定して、A1に自分のIFを指定したとします。
フェーダー横でA1をオンにすれば自分に聞こえてきて、B2をオンにすればOBSの先ほど設定した音声に送られます。
このようにして音源はOBSに送り、マイクはBananaを通すか通さないか、それぞれの環境に合わせてOBSに送れば完了です!
これでループバックを持たない・使いにくいIFをお使いでも音声と音源を分けたままOBSまでもっていくことができました!
このVoicemeeter Banana、無料とは思えないほどの柔軟性を誇ります。
ループバックが2系統あるということは、ゲームのコラボ通話なんかで相手の声をB1、ゲーム音声をB2に送ったり、自分のPCで鳴っている音を合わせて通話先に送ったりなんかもできます。
例えば私のコラボ作曲配信では、Bananaを経由することで通話相手に私の声とDAWの音をまとめて送るなんてこともやっています。
注意点
これは複数のデジタル機器をつなげるときには常識なのですが、必ずサンプリングレートを合わせる必要があります。
もし正しくつないでるはずなのに音が出ない、うまく立ち上がらないとなるとBananaのセッティングページとIFのドライバやコンフィグで表示されるサンプリングレートを合わせましょう。OBS側ももちろん合わせる必要があります。
またADDAの際はかならずレイテンシ(音の遅れ)が発生します。
ここを詰めるにはバッファサイズを変更しますが、ここがどれだけ詰められるかはPCの性能とIF側にかかっています。
負荷がかかる、発音数が増えるときにぶちぶちと音が途切れてしまう時はバッファサイズを大きくしましょう。
歌枠だとどうしても歌と音源がずれるという事態が起こる事もあるでしょう。
ですがOBSには一部の配信用ミキサーにあるようなディレイが搭載されています。
ディレイといっても音楽エフェクターのディレイというより同期オフセットです。
これを使って早いほうの音を遅らせていって遅いほうに合わせます。
どうでしたでしょうか。
RMEやAntelope、MotuのMシリーズ以外のような一部のIFになると、複数のCueを作って出力先ごとにミックスバランスを変えたりもっと高度なことができるようになってきますが、どんなIFをお使いでも無料で使えるVoicemeeter。
配信やるなら入れておいて損はありませんね。
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