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結局どうなの?Antelopeのインターフェイス - Zen Q Synergy core レビュー -

ごきげんよう。

LLSY music ch. 初心者DTMerのレーシーです。


今回は私がメインで使用しているオーディオインターフェース、Antelope AudioのZen Q Synergy Coreについてのレビューをしていこうと思います。


2022年の3月に購入しましたので、9ヶ月間既に使ってきています。

このメーカーに対しては色々と過去にゴタゴタがあったりあまり良いイメージがない人が多いでしょうけれど、がっつり使い込んだ結果の話をしていきます。



まずは外観から見ていきます。

最近流行りのデスクトップ型IFで、ヘアライン加工されたトップパネルにはカラーの液晶画面と大きなエンコーダーノブ、3つの小さなボタンがついています。

液晶には普段、Input1〜4とメインのレベルメーターが表示されます。かなりしっかりとしたメーターで非常に見やすいです。


サイドには放熱用のスリットがあり、前面にはinst入力として使えるinput3,4と2つのヘッドホン出力があります。


背面にはTBケーブルの接続口とメインとモニターアウト、SPDI/FのI/Oとinput1,2となるコンボジャックがあります。




続いて音です。

キャンペーンで付属した同社マイク、Edge Soloを使ってボーカルとってみた感じ、しっかりクリアで程々に厚みのある音でとれました。

Edgeシリーズを使うとFPGA FXでマイクのモデリングが使えるのですが、雰囲気はガラッと変わるのにそこまで音質が悪くなったような感じはありません。

好みやソースに合わせて積極的に使っていっても良さそうな感じはします。


シンセを接続してとってみた感じ、かなりクリアにワイドなレンジで録音できました。

特にどうしてもノイズが多くなりがちなガジェット系シンセでも、ある程度クリアにとることができました。

FPGA FXの出来がよく、出力の小さなガジェットシンセでもFPGA FXのマイクプリを噛ますことでクリアに音を持ち上げることができます。

コンプもプラグインにありがちなわざとらしさが少なく音が決まりやすいように感じます。



ギターを直接接続してもいい感じです。

何よりFPGA FXにOverloud製のアンプ&キャビネットシュミレーターがあり、レイテンシ無しでかかるので非常に弾いていて楽しいです。


出力の音もクリアでかつ聞きやすさのバランスも良く、多くの方が音がいいというのが分かります。

オーディオインターフェイスというとかなり硬い音のものが多いですが、そんなにガチガチではないので割と聞きやすい部類だと思います。

そのあたりが音がいいと感じやすい部分なのかもしれませんし、逆に定位の甘さを感じる方もいるかもしれません。

私は普段iFiのDAやヘッドホンアンプで慣れているので、細やかさと聞きやすさのバランスが良いと感じました。

ヘッドホン出力は流石に専用機と比べると若干弱さが感じられます。Hifimanのようなアンプに厳しいヘッドホンを繋ぐとなると、出力が足りなくならないか心配にはなりますが、マルチドライバのイヤホンもしっかりと鳴らしてくれるくらいにはパワーはあります。



ソフトウェアを見ていきます。

Antelope AudioのIFを特徴づけるのがそのミキサーソフトです。

とはいっても上位機種のものとは違い、Zen Qに付属するソフトはそこまで難解ではありません。

4つのinput、PCの音はComputer Playに立ち上がってきて、ここからOBS等にループバックとして送ることができます。

一般的なループバックと異なるのは、ASIOの出力もここを経由するということ。

つまり特段設定等必要なくDAWの音をループバックとして送れるということです。

配信や画面キャプチャ等行う方にとっては、かなり大きなポイントだと思います。


ただしZen QはTBのみでUSBでは繋がらない(今はUSBタイプもあるみたいですが、Discreteのように1台で切り替えたりなどはできない)ので、Windowsのカーネルミキサーを通る音は別途Voicemeeter Banana等ルーティングソフトが必要となります。

そのかわりこれらはAntelopeのルーティングソフトと競合しないので、オーディオデバイスをASIOで専有しながら特段の設定も不要で、その他の音を同時に出すこともできます。

こういった設定は他のIFでももちろん可能ですが、デフォルトのルーティングがこうなるのは意外と楽なものです。


FPGA FXは他のアナログエミュレート系プラグインの多くがそうであるように、ほんのりミドルが強調される感じがあります。

ただレンジは広く、変に削れる感じもしないので結構扱いやすいです。


個人的に気に入ってるFPGA FXを幾つか紹介します。

○BAE 1073 EQ

wavesの1073も愛用していて、あちらはMS処理ができるのがとても気に入っているのですが、派手なEQをすると困った音になってしまうことも多く感じます。

こちらはかなり大胆にEQしても音が破綻しないので、非常に扱いやすいです。


○Summit Audio LMT100

OPTコンプですがアタックやリリースタイムが選べるようになっています。

かかり具合は大変ナチュラルで非常に扱いやすいです。


○Reel to Reel

オープンリールレコーダーみたいなUIなので、それ系なのかもしれませんがテープシミュレーターです。

フラッターもいじれますが、ヘロヘロにするというよりはソフトクリッピングで音を作っていくタイプに感じます。

テープの種類と速度でトーンを作って、アッテネーターとインプットで突っ込み具合を決めていく感じです。

音にほんのりカラーをつけるくらいからがっつりクリッピングさせるまで、パラメーターが厳選されてて素早く目的の質感に辿り着けます。



次に気をつけたいところをいくつか紹介します。

まずは通信手段です。

私の購入したZen Q SCはThunderbolt3で、当時のDiscreatシリーズはTB2でした。

TB2はTB3以降と互換性がなく、暫くしてからTB3に対応したDiscreat proシリーズ登場しましたが、販売店を見ると暫く旧Discreatも併売されているようでした。

最新のIntelチップセットではTB2にはもう対応していないので、旧Discreteが安くなってるからといって飛びつくのは注意が必要です。

変換ケーブルを使用すれば可能なようです。

DiscreatシリーズはUSB切り替えができるので使えないということはないはずですが、AFX2DAWを使いFPGA FXをDAWのインサートに直接挿したいという方は注意が必要です。

各社かなりUSB/TB規格に振り回されている感じを受けますが、このあたり代理店の都合なのかメーカーの都合なのか若干混乱がみられる部分があります。


またAntelope Japanのホームページは過去のゴタゴタにより完全に停止、日本窓口も閉鎖状態にあります。

当時色々と問題になりましたが少々高圧的な文章で書かれている上、サイトの全体図がかなり把握しにくく非常に分かりづらいです。

日本窓口の連絡先等がそのまま残っているので、ついこちらに連絡したくなりますが本国窓口のほうに連絡しましょう。

メールは英語が通じるので特に問題はないかと思いますが、アクティベーションがかなり厳重なので購入店を通して連絡してもらったほうがいいかもしれません。

私のZenQは一度故障していて、そのときはまず直接本社に連絡をとったものの、結局販売履歴云々の話か最終的に販売店を介してやり取りをすることになりました。

ネット上を見るとAntelopeは売ったら売りっぱなしの悪徳会社のようなイメージを受ける書き込みが多いですが、私の場合は迅速かつ丁寧に対応して頂けた上、乗船前でスケジュールがカツカツだったのを相談すると、通常の修理では間に合わないから交換対応して頂けるという柔軟な対応をしていただけました。

追記: 2024年3月現在 Antelope Japanは限定的ながらも活動を行っているようです。公式Xの再開も行われております。
製品への対応は依然として本国で行われているようです。トラブル等はまず販売店へご連絡することをお勧めします。

もしその辺りのサービスを不安に思う方がいれば、概ね一般的な対応をしてもらえると考えて大丈夫かと思います。


後半かなり製品そのものの話から脱線してしまったのですが、Antelope製品はそこそこの頻度でキャンペーンをしており、その内容次第では人によってかなりコスパのいい製品なりうるかなと思います。


私の時はマイクとBitwigのフルバージョン、AFXやコンプEQを中心とした幾つかのFPGA FXが貰えて、Bitwigは私の今のメインDAWだし、各FPGA FXもかなり使用しているので非常にコスパの良い買い物だったなと考えています。


勿論キャンペーン内容やその人の必要なもの如何では、ただ操作が煩雑で気を使うだけのIFにもなりうるので、例えばFPGA FXをUADと同じような操作感だと思って買うときっと落胆するでしょうし、ストレスフリーでとりあえずPCに刺したら使えるものがほしい人にはあれこれと面倒が多いと思います。


このあたりかなり情報が少ないので(私も色々と苦労しました)少しでも参考になればなぁと思います。



LLSY music 

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