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なんでMacBook Airは安いか?

ほとんどの人にとって、M1 Proチップ搭載のMacBook ProよりもM1チップ搭載のMacBook Airの方が良い選択だろうという動画を少し前に公開した。

その理由として、まずほとんどの人のタスクをこなすのにM1 MacBook Airのパフォーマンスは十分だということ。そして、いつでも大は小を兼ねるわけではなくて、むしろ小さくて軽いMacBook Airを気軽に使い倒した方が自分のスキルアップにつながるということ。そして、両者のメリットデメリットの割に価格差が大きいことを挙げた。

その動画はたくさんの人に見てもらい、コメントもたくさんもらってありがたかったんだけど、その中に「MacBook Proは高すぎる」という意見がちらほら見られてちょっと気になった。

自分は、MacBook Proが高いのではなく、MacBook Airが安すぎるのだと思ってる。

MacBook Air (M1) は本当に安いのか?

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自分がYouTubeのために動画を編集し始めたのは約5年前。その頃の自分は、13インチMacBook Pro 2015年モデルで編集してて、整備済みで20万円($2,279 CAD)の構成だったんだけど、フルHDの編集にカクツクいてたし、10分のフルHD動画を書き出すのに22分かかってた。

その後買い替えたのがMacBook Pro 13インチの2018モデルで、これでフルHDの動画編集がカクつかなくなって、さらに10分のフルHDの動画の書き出しに10分かからなくなった。でも、価格は約40万円(4,200 CAD)に跳ね上がった。

で、翌年に買ったMacBook Pro 16インチ 2019モデルは、4Kでも編集できるようになって、さらに動画を書き出すときに裏側でサムネイルを作るみたいなマルチタスクもできるようになった。ただし、価格はさらにアップで44万円になった。振り返ると、2年連続で40万円のMacを買うあたり、ここら辺の自分はだいぶバカになってたけど、当時は作りたい動画をコンスタントに作り続けるためにこのくらいの出費が必要だった。

そして2020年秋に出たM1搭載MacBook Airを購入。4K動画を編集しながらその様子を裏で生配信することができて、書き出しながらのイラレ作業も余裕で、薄くて軽くて持ち運べて、それでいて価格は142,780円になった。

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たった3〜4年前の2018年モデルでは、40万円出して買ったMacBook ProでもフルHDの編集をスムーズにやるのが限界だったわけ。たった4年間で、扱えるデータの大きさと速度は何倍にもなってるのに、ボディはこんなに薄くて軽くなって、価格が従来比37.5%になったの、単純にやばくない?

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少し前までは、YouTubeを始めた頃は、20万円のMacじゃフルHDの編集厳しいなーと思ってたのに、今じゃ15万円のMacでどこでも4K動画編集できるわけ。これが、自分がM1 のMacBook Airを安いと言う理由。

では、なんでM1 MacBook Airはこんなに安いのか?ここから2つ、さらにM1 MacBook Airが安い理由を考察してみる。ここからは、正直かなり適当なことを言うのでエンタメレベルで聞いて欲しいし、もっと詳しい人はコメントして。

安い理由1:iPhoneで量産してきたチップの応用であるから

ひとつ目の安い理由は、iPhone向けに長年独自チップを設計してきたからというもの。

M1チップは、Appleが初めて設計したMac向けのチップだった。そしてそれが初めて搭載されたMacのひとつが、M1 MacBook Airだった。

だけど実際Appleははるか昔からiPhone向けのチップを設計してきた。そしてM1チップはiPhone向けのBoionicチップの応用になるので、決してノウハウ0から作ったものではなかった。

普通、他社が設計する部品を自社で設計する部品に切り替える場合には、うまくいけば丸っと購入するより安上がりになるメリットがある反面、大失敗のリスクもついて回るけど、長年暖めてきたアイデアと製造ラインの構想を万全を期して実行に移したから、結果的に潜在リスクも回避して、ただただ良い製品を安く作ることができたんじゃないかと思う。

安い理由2:様子見が必要だったから

2つ目の安い理由は、Appleとしても様子を見なければならなかったからじゃないかと思う。

実際、こんなに上手くいったから良いけど、発売前はそれなりにリスクのある事業だったと思う。テストにテストを重ねてきただろうけど、それでもリアルワールドに解き放てばなんらかのエラーが起きたりして、それが嵩むと大規模なリコールになったり、ブランド価値が毀損したりする可能性も十分あったと思う。

でも、一方でM1がでた当時のコンピュータ市場は、徐々にクリエイターからゲーミングPCが支持され始めていて、そろそろAppleもリスク承知で勝負に出なければならなかったはず。そこで、まずは1番A14 Bionicと近い考えで作れるM1チップを搭載したエントリーモデルのMacからロールアウトしてみたのだと思う。

当然、そのときにはリスクもあるので、いつもよりは弱気の価格設定にするという気持ちが働いたんじゃないかと思う。

安い理由3:初手でユーザー獲得が必須だったから

3つ目の安い理由は、AppleにとってM1搭載Macの3モデルの至上命題が、「ユーザーをたくさん獲得すること」だったからだと思う。

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Macに新しいチップを載せるというのは、新しいプラットフォームに集客するということにほぼ同義で、一方でたくさんのコンシューマーが使わなければソフトウェアが育たないし、他方でソフトウェアが対応しなければコンシューマが使わないジレンマがある。

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よくあるにわとりたまご論でAppleは、先に消費者に買わせることで魅力的なプラットフォームにして、ソフトウェアデベロッパーを対応させることを選択したんだと思う。

先に、安心して消費者に買ってもらうためには、価格は最も重要かつメーカー側がコントロールしやすい要素なので、気軽に買えるモデルを割安な価格で販売したんじゃないかと思う。

今後

じゃあ今後、M1系チップを搭載したモデルはお買い得であり続けるのかというと、どうだろうかと思う。

President Onlineの記事によれば、iPhoneは2008年モデルの最高価格が8万円だったのに対し、2021年モデルの最高価格は22万円になるらしい。前者が通常盤のiPhone、後者はProのつくiPhoneなので、これを比較するのはフェアじゃないけど、スタンダードモデルで比べても2021年モデルは10万円になっていて2万円割増になっている。

基本的に先進国は物価が上昇しているし、技術革新もあるので、値段が上がるのは仕方ないと思うけど、多分Macの中のスタンダードモデルに搭載されていくであろうM1チップ搭載モデルも少しずつ価格は上がっていくんだと思う。

はっきり言って、M1の登場で一般人が使うレベルのMacはかなりカンストした感じがするので、初代M1は今後しばらく最強コスパ機種だったと言われ続ける気がする。

目論見通り新しいプラットフォームに一定のユーザーを獲得できたAppleは、今年のM1 ProとM1 MAXモデルでMacBookのリデザインに着手したし、来年のM2 MacBook Airもモデルチェンジするらしい。外観変更を伴うフルモデルチェンジは価格の上げどきなので、多分どさくさ紛れで価格が上がるような気がする。

だからといって、必要ない人が今買う必要は全くないけどさ。

色々考えると、M1 MacBook Airはお買い得条件が揃いまくった奇跡的な製品だと思うから、迷ってる人は買って後悔しないと思うよと言うことが言いたい、長い長い動画でした。最後まで見てくれてありがとう!

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