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2023 J1 VARのない世界

こんにちは、OTC公式(@Gram_Leorep)です。
初めましてな方に簡単に自己紹介をします。
普段はサッカーのルール、レフェリーに関するpostをしている審判フリーク兼名古屋サポです。

審判・ルール:6割、名古屋:3割、その他1割ぐらいな感じで、「カジュアル」に発信しています。以後、お見知り置きを。

さて、Jリーグも終わり早2週間、
本格的なストーブリーグに突入していますね。
そんな中、今シーズンをVARの視点から振り返っていきたいと思います!


1.はじめに

実はVARについては、JFA(特に、元プロフェッショナルレフェリーの佐藤隆治さんを中心に)が既に緻密な分析をしており、来期への改善点・改善方針を検討しています。

このように日本のサッカー・審判会を担うプロがテクニカル面を中心に毎試合丁寧に実施した分析と張り合うことはイチ、サポーターの私には不可能です。

しかし、JFAがあまりやらなさそうな分析を興味本位ですることは可能です。それは、

「もし、VARがなかったら、どうなっていたのか?」

です。
サポーターの皆様をはじめとするサッカーファンの中には、VARに賛成・反対の議論は根強く残っているかと思います。
・より正確な判定ができるので賛成
・プレーが途切れるので反対
など、色々あると思います。

では視点をよりファン目線に移して、VARで「得した」「損した」の感情を考えた時、どちらの記憶が多いですか?
人間の記憶なんていい加減なもので、損をした体験をいつまでも覚えていると言われています。では、シーズン振り返って、実際のところどうだったのでしょうか?気になりませんか?

集計にあたり、全306試合(1試合はVAR対象外なので、実質305試合)の記録や映像を見返し、試合内容と審判団をレビューしました。
このデータ集計だけでもかなりの労力を費やしました・・・
手作業の集計なので、ミスを極力排除するように確認だけでも地道な作業でした・・・

ですので、詳細なデータについては、
「お疲れ様!これでコーヒーでも飲んで!」と読者さんが恵んでくれることを期待し、200円と無謀にも価格設定させていただきます。
また、非公開内容に、VARと主審のデータも入れておきました。誰の主審の時にVAR介入が多かったのか、誰の介入が採用されなかったのか等、審判ファンにとっては気になるデータも入っています。

「VARのない世界?そんな分析意味あるの?」「終わったことだし、興味ない」「サッカーに、たらればはない!」
もちろん、そのような意見もあると思います。
でも、知りたい人も多いのでは・・・?少なくとも私は知りたかった。

無料でも4,000字をこえ、面白い情報まで公開しますので、とりあえず読み進めて頂ければ嬉しいです。

それでは、「VARのない世界」へLet’s Go!

2.前提

ここでは、算出根拠を述べていきます。どのように算出したか気になる方はお読みください。画期的な情報はないので、飛ばし読みしたい場合は次の章にお進みください。

まずは、前提の確認です。私の分析対象は以下のとおりです。
・305試合
・VAR介入:87試合、全103回
(オンフィールドレビュー、以下「OFR」:66回、VARオンリーレビュー(判定変更のみ)37回)

※注意
報道によると、JFAの見解では、
・VARレビューの介入頻度は2.9試合に1回
・OFRが67回、VARオンリーレビューが39回
実施されたと記載がありましたが、全試合の記録や映像を数日にわたり何度も確認しましたが、どうしてもOFR1回分とVARオンリーレビュー2回分が発見できません。詳細データは4.VARのない世界にあげておりますが、もし心当たりがある方がいればご連絡ください!必要に応じ更新します。(得点・失点に関する記録は全て調べましたので、結果には大きな影響はないと推測できます。)

「VARのない世界」として、以下を算出しました。
①VARの結果「得」した回数、「損」した回数
②VARがあることで、得た勝ち点、失った勝ち点
③VARがあることで、得た得失点、失った得失点

それぞれの算出方法を解説します。

①VARの結果「得」した回数、「損」した回数

「得」と「損」の定義は、以下のとおりです。基本的に真逆ですね。

得:
・得点が認められる(例:Not Offside)
・PKを獲得する
・相手チームの得点が取り消される(例:Offside, Handball)
・相手チーム競技者が退場する(DOGSO、ラフプレー)

損:
・相手チームの得点が認められる(Not Offside)
・PKを与える
・得点が取り消される(例:Offside)
・自チーム競技者が退場する(DOGSO、ラフプレー)

また、VARは色々な状況があり、「退場と思って介入したが、OFRしたら警告だった」「PKは取り消したが、DOGSO&退場でFK」というような「損?得?」のようなケースがあります。こちらは「その他」とし、OFRの結果判定が変わらないケースは「変更なし」としています。

②VARがあることで、得た勝ち点、失った勝ち点

③VARがあることで、得た得失点、失った得失点

この2つはほぼ同じなので、同時に説明します。

②と③の集計では、VARが介入した結果、「どうなったのか」を重視しています。例えば、VARでPKを得て得点した場合、「PKがなかったら得点しなかった」と考えて集計しています。
一方「退場」は、もちろんその後不利な状況を強いられるのですが、得失点には直接的な影響はありませんので、集計対象としていません。以下が集計対象になります。

【集計対象】
・PK(ただし、得たPKで外した場合は除く)
・得点取り消し(Offside, Handball)
・得点(Not Offside)

【集計対象外】
・退場(DOGSO、ラフ)

前置きが長かったですね。それでは、ようやく本題に入りましょう。

3.2023 VARデータの振り返り

さて、VARがない世界を発表する前に、
2023シーズンのVARのデータで気になることを発表していきます。

①1試合で最もVARが介入した試合
②最もVARが介入したチーム、介入が少なかったチーム
③VARの観点でシーズンダブルを喰らったチーム
④番外編:VARの歓喜、悲劇

をそれぞれ発表していきます!

①1試合で最もVARが介入した試合

最も1試合での介入が多い試合は1試合に3回の介入となった、
・1節 湘南VS鳥栖 

・8節 浦和VS札幌

でした。個人的には、浦和VS札幌の方が印象に残っています。退場者が2人(ラフプレー、DOGSO)出た派手な試合でした。
一方で、湘南VS鳥栖は、鳥栖の得点が取り消され、湘南の得点が認められる、1試合にあった3つのVAR介入が全て湘南に得な結果だった、珍しい試合でした。

②最もVARが介入したチーム、介入が少なかったチーム

VARが最も介入したのは湘南(17回、13試合)
VARが最も介入しなかったのは、広島(5回、5試合)

でした。3倍以上の差ですね。ひょっとしたら、広島のサポーターの方、今年は現地でVARが介入しているのを目撃していないという方もいるのではないでしょうか?介入が7試合に1回な訳ですから、かなりレアだったと思います。

③VARの観点でシーズンダブルを喰らったチーム

「前半戦でVARで損して嫌なイメージあったので、後半戦ではVARで得してやる!」というマインドを持つ方はあまりいないかもしれませんが、VARでシーズンダブルを喰らってしまったチームが3チームほどあります。
(例外として、1試合に2回介入しているケースで、損・得という形で少しでも得をしている場合はダブルのカウントから除外しています)

・鹿島(横浜FCにダブルを喰らう)
・川崎(神戸にダブルを喰らう)
・湘南(鹿島にダブルを喰らう)

試合でもVARでもダブルは喰らいたくないものです。来年はどうなるのか、見ものです。

④番外編:VARの歓喜、悲劇

さて、データ番外編です。今シーズンのVAR介入の事象で「天国」から「地獄」に落とされた珍しいケースがありますので、紹介します。

・9節 名古屋VS湘南 (2-2) 主審:岡部 VAR:清水

この試合、名古屋サポの私は現地にいました。状況を説明すると、
2-1で名古屋リードの後半、名古屋のマテウスのゴールで3-1となったところで、VAR介入。その前のシーンで名古屋DFがPA内でファールをしたとのことで、得点取り消し、湘南のPKに。3-1から2-2となる、まさかの展開で、名古屋からしたら勝ち点と得失点を同時に2ずつ失った瞬間でした。

これがVARで想定されるワーストシナリオで、最も悪いシナリオだと、
得点取り消し+DOGSO(PK)+退場という「泣きっ面に蜂」の更に上を行く状態であるのですが、今後このようなケースが発生しないことを祈るばかりです。

4.VARのない世界

さて、いよいよ本題です。ここでは、
・最もVARで得したチーム、損したチーム(回数ベース)
・最もVARで得したチーム、損したチーム(勝ち点ベース)
・VARがない世界のリーグ順位
を発表していこうと思います。

①最もVARで得したチーム、損したチーム(回数ベース)

VARで得したチーム、損したチームです。
これは「得」回数ー「損」回数で算出します。

1位:湘南 +4(得:10、損:6)、C大阪 +4(得:5、損:1)
最下位:新潟 -6(得:1、損:7)、京都 ‐6(得:2、損:8)

同率1位で湘南とC大阪の+4でしたね。一方で京都はVARで2勝8敗、新潟は1勝7敗と、ほとんどいい思い出がVARに対してないのではないか、という数字でした。特に新潟の「得」はAway神戸戦の神戸の得点取り消し。ほとんどのサポーターはVARに良い思いをできなかったシーズンと言えます。

②最もVARで得したチーム、損したチーム(勝ち点ベース)

さて、最も重要なVARで得したチーム、損したチームの発表です。
勝ち点に影響するんですもん。
1位のチームは「VARがあってよかった」、
最下位のチームは「VARなんてなければいいのに」と思うことでしょう。
では行きます!

1位:福岡 (勝ち点+5、得失点+4)
最下位:札幌 (勝ち点-4、得失点-2)

栄えある?1位は福岡になりました!
VARは現在認められている仕組みですので、味方につけるのは非常にいいことです!実は、VARがあっても、なくても変わらないというチームもそれなりにある中、勝ち点+5は非常に素晴らしい!
一方で、札幌さんは運がないということでしょうか・・・VARの人にお茶でも(冗談)・・・あっ、札幌はVARに近づけなかったんだ・・・

ここで注目すべきは、札幌はVARで得が7回、損が6回と、得している回数の方が多いんです。しかし、勝ち点を4失うことになるというのは、勝敗に絡むVAR判定で損したということですね。

③VARがない世界のリーグ順位

さぁ、気になりますよね!? VARがなかった場合、リーグ優勝はどこになるのか?!

残念ながら降格してしまうチームはどこになのか!?

結果発表ー!!


優勝:神戸!!!!


おめでとうございます!!!
2023シーズンはVARがあっても、なくても神戸が優勝でした。
そして、VARがない方が勝ち点が多いという・・・強さ半端なかったです。

大迫さんは2点ほど得点を取り消されていますので、もしかしたら、単独得点王の可能性もありました。というより、得点王でした。

それ以外の順位は・・・
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一旦、ここまで!お読みになっていただき、ありがとうございましたー!

残留争いとか、自分の推しのチームの順位とか、きになりませんか?誰が介入確率が高いとか、気になりますよね、そこのあなた!!!これ以降、

・全チームの順位
・全チームの損・得
・主審のデータ
・VARのデータ 
などが載っています!

繰り返します!この先は200円、無謀なのは承知です。が、優しい心の持ち主さん、是非読み進めてください。

④全体順位

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