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人生を変えた一本の映画

▽  目次

1、私が映画に出会ったきっかけ
2、映画の紹介
3、登場人物と彼らの生き方
4、最後に



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あなたは、自分の人生を変える映画に出会ったことがありますか。


ある映画に触れ、「何度も観たくなる」「この主人公のように生きたい」「登場人物の誰かが自分と似ている」と強く感じたり。

私は、「自分の人生の地肉となる映画」をずっと探し求めてきました。

観た後に、日々のモチベーションとなるような素敵な映画です。

映画が常に新しく生み出される今。生涯において特別な映画に出会う確率は、1/00、1/1000。さらにもっと低い確率かもしれません。

大学一年の夏、私は素敵な人物に出会い、ある作品を紹介されました。

ここからは、私が一本の映画に出会ったきっかけ、その作品から学んだことについて力一杯書きたいと思います。

ここから先、《無断のスクリーンショット、無断転載、無駄転用》を固く禁じます。


人生を変える映画を探し求めている人は、この先もお楽しみください。



1、 私が映画に出会ったきっかけ


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大学一年の夏、私は、素敵な人物と出会い、友達の関係になりました。

彼は、オーストラリアで生まれ育ち、母国語が英語の男性です。

来日した当時は、日本語をほとんど読み書きできませんでした。

彼は塾で講師のアルバイトをしながら長年浪人し、やっとの思いで国立大学の大学院(MBA課程)に合格したのです。

大学院に合格して遊ぶかと思いきや、入学してからも1日10時間以上の勉強を続けていました。

有名なエピソードとして、映画館で23時過ぎまで一緒に映画を観た後、

彼 「俺、終電まで渋谷のカフェで勉強するから先帰ってて良いよ。」
私 「え?今、23時過ぎなんだけど?。もう夜遅いし、帰って寝ようよ。」
彼 「不安なら、勉強するしかないよ。」

と返答が来ました。

なぜ、自由な時間と身を削ってまで、彼が死ぬほど努力するのか。


私は、ずっと疑問に思っていました。

ある日、私はこの疑問を彼にぶつけてみました。

私 「ねぇ。あなたは、どうしてそんなに頑張れるの?」
彼 「ある映画に出会って、人生が変わったからだよ。その映画は、ガタカ。」

ガタカ。

どんな映画だろうか……?


家に帰って、私はすぐにその映画を鑑賞しました。



2、 映画の紹介


映画 ガタカ

監督 アンドリュー・ニコル

出演 イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ他

制作 1997年(アメリカ合衆国)


〜あらすじ〜


そう遠くない未来。

この世界では、社会の階層が、生まれながらのDNAによって決まります。

残酷なことに、赤ちゃんは生まれてすぐに、推定寿命と死因を告げられます。

この社会では差別は、暗黙の了解で自由に職業選択することができません。

職業は、血液検査によって適性か?不適正か?で採用が決まります。

つまり、人物重視よりも、生まれつきのDNA重視。

「個人は生まれながらにして体力と能力の限界は決まっているから、努力しても仕方ない」という価値観です。

生まれた時から、誰かが決めたレールに従って生きなければならないのです。


この混沌化した世界で生まれた、ヴィンセントがこの物語の主人公です。

以下、物語の内容に一部触れます。


「神が曲げたものを誰が成し得ようか。自然は人間の挑戦を望んでいる。」
ウィラード・ゲイソン



3、 登場人物と彼らの生き方


① ビンセント・アントン (別名 ジェローム)


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この映画の主人公です。

彼は、生まれながらにして劣勢のDNAを抱え、推定寿命30歳、心臓病の発症率90%だと判明します。

幼少時から「社会の不適正」だと軽蔑されながら、生きていくことになります。

のちに生まれた弟と、一緒に時間を過ごすようになります。


ビンセント「血の契りを結ぶ年頃には弟との違いを痛感していた。その差は、決して縮まらないことを。僕らはよく、両親の目を盗んで度胸くらべをした。先に引き返すと負けだ。負けるのはいつも僕だ。体力で勝る弟が先にバテるはずがない。」


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物心がついた時から、「僕は、普通の人と違う」ことを認識します。

ビンセントは、心臓病により体力にハンディキャップを抱えていました。

しかし、彼が将来に対して悲観することは一度もありませんでした。


ビンセント「星への愛情か。地球への憎しみからか。物心ついた頃から、宇宙飛行士を夢見ていた。」


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大人になったビンセントは、宇宙飛行士を本気で目指すようになります。

しかし、親からは大反対されます。


両親「無理よ。お前の能力には限りがある。」
ビンセント「可能性がないわけではない。賭けてみる。」


周りになんと言われても、自分の心に従って、可能性を信じるビンセント。


「成功するかどうかを疑わずに、今の可能性だけを全力で信じることの大切さ」を学びました。


私は、彼の「失敗を恐れずに世界に飛び込む力」に圧倒されました。

彼は、基礎体力づくりと猛勉強の末に、ガタカの門を叩きます。

もし採用が決まれば、宇宙飛行士への道に一歩近づきます。

試験室のドアノブを触った手からDNAが採取され、「不適正」だと判明。

個人の意欲や努力は配慮されず、DNAだけで将来が勝手に決められます。


ビンセント「精一杯の強がりだ。どんなに努力しても、血液検査という壁が立ちはだかる。」


ビンセントは、この理不尽な環境に屈することなく、ガタカの清掃員として働くことを選びます。

本気で宇宙飛行士の夢を叶えたかったからこそ、憧れの地に身を置きました。


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ビンセント「憧れ場所を訪れて初めて知った。叶わぬ夢だと。」

清掃員「ガラスは磨きすぎるな。目に毒だ。」
ビンセント「僕が向こうに行った時に見てほしくて。」


彼は、社会の圧力に屈することなく、自分の持った手札でできる最大のことを探して、前へ前へと進みます。


どんな環境にいても宇宙飛行士の夢を諦めなかった彼に、転機が訪れます。

彼の人生を変えるキーパーソンとなる、「ユージーン」と出会います。

自分の夢を叶えるためなら、どんな手段でも使おうと覚悟を決めます。


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ビンセントは、ユージーンの協力を得て、もう一度ガタカの宇宙飛行士の採用試験に挑みます。

結果は、合格。

晴れて、宇宙飛行士になる未来が、遠くの空に光として見えて来ました。

しかし、彼の人生を左右する”ある事件”が起きます。

必死に努力してきたビンセントですが、この事件が起きたことにより、

「自分の夢は叶わない。ガタカから逃げよう。」

彼は、人生最大の挫折と絶望を味わいました。


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ビンセント「変だな。ある場所から必死に逃げようとして、ついにチャンスが来た時に未練ができる。」


挫折した彼に、救いの手を差し伸べたのは、ユージーンでした。

ユージーンは、夢から逃げようとするビンセントを本気で怒ります。

怒る、という行為は、「あなたに変わってほしい」という期待と愛がなければ成立しません。

怒ったのは、宇宙を旅する夢を一緒に叶えたかったからです。

夢を諦めかけたビンセントですが、もう一度、わずかなチャンスを信じることにしました。


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なぜ、私がビンセントの生き方に強く励まされたのか。


それは、私の人生とビンセントと境遇がとても似ているからです。


ビンセント「僕も心臓に爆弾を抱えている。そしてもう長くはない。すでに寿命を過ぎている。何が不可能か、君には、分かるはずだ。欠点を探すのに必死で気づかなかったろ?こんな言葉は慰めにならないだろうが、可能なんだ。」


実は、私も、難病を抱えています。

私は、長生きできないことが分かっています。

医学が進んだ現代においても、骨髄移植をしない限り、この病気は完治しないと言われています。

主に貧血の症状があり、体力にハンディキャップがあります。

たとえば、仕事では1時間以上の立ち作業ができなかったり、プライベートでは、スポーツや登山などの激しく体を動かすような運動が制限されます。

職業を選ぶときにも、身体を動かすような仕事はできないので、選択肢が自動的に狭くなります。

「私は、普通の人と違う」ことを感じざるを得なかったです。


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ビンセント「なぜ邪魔をする?僕に何ができるか、決めつけるな。」


病気を抱えてていても、失敗を恐れずに、可能性を信じて進むビンセントは、私にとってのヒーローです。


病気がなければ、どんなに楽な人生を送れていたのかなと考える時があります。

欠点を探して、「できるはずない」と自身を納得させる道もあります。

しかし、

自分の欠点を、弱さと捉えるのか。強さと捉えるのか。

モチベーションの根源は、挫折や欠点から生まれるのではないでしょうか。


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弟「なぜだ?なんのために?もうすぐ反対側に着く。ふたりとも死ぬぞ。」
ビンセント「あの時と同じだ。戻ることは考えずに、全力で泳いだ。」


自分の弱さと向き合うことで、成長のチャンスを掴みます。

ビンセントは生まれつき病気を持っていて、世界に抑圧されたからこそ、反抗心でひたすら努力できたのかもしれません。

私は、生きるうえで大切なことをビンセントから学びました。


ビンセント「忘れないでくれ。僕は誰にも負けなかった。」


自分の欠点をバネにして、1日1日を必死で生きる。

たとえ、世界のレールからからはみ出した存在であっても、己の感性を信じて進むその先に、幸福が待っているのではないでしょうか。


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アイリーン「あなたは何者?」
ビンセント「僕は、僕だ。」


世界でただ一人の、自分を信じて。


②  ユージーン 


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主人公の人生を変える、キーパーソンです。

生まれながらにして、常人とは逸脱した優れたDNAを持っています。

ビンセントは、ユージーンの生まれもった才能について次のように語ります。

ビンセント「ユージーンは、僕とは違う。不適正だと蔑まれたりはしない。適正者。遺伝子の申し子。その完璧さが、彼の重荷だった。」

水泳選手として活躍していましたが、故意の事故がきっかけで、現在は車椅子生活を送っています。

この事故は、彼の心の奥底にある「生きづらさ」を露呈したものだと、私は考えます。


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ユージーン「色も分からないのか。銀だ。金メダルを取るべく生まれた。優れた能力がありながら、2位止まり。」


彼の悩みの根源は、「特別な何者かになれなかった、自分の存在を許せない」ことでした。


「金メダルでなくてはいけない」というプライドがあったからこそ、期待した結果を残せなかった自分に絶望していました。

やりたいことがなく、人生に失望する毎日。

そして、自殺の決行を図りました。

ユージーン「シラフだった。車の前に出たとき。完全にシラフで車の前に飛び出した。」


ユージーンは、お酒を飲んでいない状態で、自ら車の前に飛び出しました。

生きる希望を失った彼の前に現れたのは、夢を持ったビンセントでした。


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生きる意味が分からない彼にとって、目標に向かって努力し続けるビンセントは衝撃的な存在でした。

ユージーンは、ビンセントに生活を援助してもらうことを条件に、彼にDNAを提供する契約を交わしました。

自死を考えていたユージーンにも、生きる希望が少しずつ湧いてきました。

彼は、ビンセントに出会って、夢をもらいました。

それは、「宇宙へ旅に出る」ことです。


ビンセント「こっちこそ、感謝してる。身体を貸す代わりに夢をもらった。」


「死にたい、死にたい」と思っていたユージーンが夢を見て、「あともう少しだけ生きてみよう」と変わっていきます。

私は、ユージーンの生き方から学んだことがあります。

幸せは、才能,お金,優秀さでは決まりません。


ひたすら努力して、夢を叶えようともがく日々の中に、幸せが生まれているのかもしれません。


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私は、ユージーンに触れるたびに、努力の素晴らしさを感じます。

ビンセント「どこへ行く?」
ユージーン「旅へ。」

ユージーンは、物語のラストで衝撃的な選択をします。

なぜ、彼がその選択肢を選ばなければならなかったのか。

それは、「生まれながらの能力によって差別されない、自由な世界に行くこと」を懇願したからだです。


焼却炉のなかで、銀メダルが金色に美しく輝きます。

彼は、希望に身を任せて、「ビンセントとともに宇宙へ行く」という選択をしたのだと思います。

③  アイリーン


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ガタカで宇宙飛行士を目指す研究員。

彼女もビンセントと同様に、生まれながらに重い病気を抱えています。

アイリーン「私が旅できる惑星は、地球だけ。」

どんなに望んでも、DNAが劣勢であるがゆえに、宇宙へ行くことが出来ずに苦しんでいました。

生まれながらにDNAが優秀な同僚に対して、懐疑心、嫉妬心を抱きます。

自分のDNAを他人と比べて、失望、落胆することがありました。

アイリーン「私が旅できる惑星は、地球だけ。」
ビンセント「健康に見えるけど。」
アイリーン「疑うなら、これ(髪の毛のDNA)を調べてみて。分かるはずよ。」
ビンセント「風にさらわれた。」


そんなとき、自分をDNAだけで差別しないビンセントに出会います。

生まれながらの才能よりも、内面を見て愛そうとするビンセント。

彼と話すと平穏な時が心に流れ、ビンセントのことが気になっていきます。


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私は、アイリーンの生き方から学んだことがあります。

運命を受け入れて、自分のできることを探すことです。

「運がない。才能がない。」と言って落胆するのではなく、

「じゃあ、今の自分ができる最大限のことはなんだろう。」と探求していく姿に惹かれました。


彼女がガタカで働いている理由の一つに、「宇宙が好きだから」があると思います。

自分のできる範囲内で、一つ一つに本気で取り組む彼女を尊敬しています。


④ ガタカの検査員


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ガタカの検査員として、主に採血、採尿検査などの業務を行なっています。

劇中は登場シーンが少ないながらも、物語の運命を左右する人物です。

彼は映画の冒頭で、ビンセントに対して、このような言葉を伝えます。

検査員「息子は君の大ファンでね。」

どれだけ価値のある言葉だったのか、私たちはラストで気づくことになります。

検査員「息子は残念ながら遺伝子に問題が。でも希望はある。」

検査員は、ビンセントの努力の話を息子に聴かせていたのです。

ビンセントの存在が、まさに息子にとっての生きる希望でした。

劣勢のDNAを持ちながらも決して夢を諦めないビンセントは、尊敬と憧れの対象でした。

不可能を可能にしようと、信じ続けた検査員。

誰かの才能を否定せず、可能性を信じる美しい心。


私は、検査員の優しさに、胸を打たれずにはいられませんでした。


4、 最後に


ガタカは、私の命と言えるべき映画です。

紹介した登場人物に共通していることが一つあります。

自分、他者の可能性を信じて疑わないことです。


人生で辛くなる度に、私はこの映画を思い出しています。

映画が生きるパワーを私に与えていることを、ここに証明します。


ガタカが誰かとっての特別な映画になることを願って、記事を終わります。

最後まで読んでいただき、心から嬉しく思います。

いつも優しいお言葉をありがとうございます。

LEO

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