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キム•ハソンのトレードの可能性

 明けましておめでとうございます。今年も筆者でんすけは、サンディエゴ・パドレスの応援とワールドチャンピオン獲得を夢見て日々過ごして参ります。不定期ながら投稿するnoteについても、興味が惹かれる内容のものを書いていきたいと思っています。今年もよろしくお願いします。
 去る2022年に多くのFA獲得がありました。直近のものだと、マット・カーペンター(Matt Carpenter)、セス・ルーゴ(Seth Lugo)を獲得し、前者は1B/DHを、後者は先発転向のちローテ入りを目指すものとされています。
 ザンダー・ボガーツ(Xander Bogaerts)も獲得した選手の一人ですが、彼の獲得により、チームのロースターに再編する余地が生まれ、また、FA戦線でチームの穴を埋め切れなかったのもあり、キム・ハソンやトレント・グリシャム(Trent Grisham)をトレードに出す事でロースターの最適化を図る動きがあるようです。

パドレスの編成の弱点とは?

 ある程度戦力は出来上がっておりますが、3つほどの弱点を抱えていると言えます。①先発ローテの底上げ、②コーナーの外野手、③捕手陣の層。以上がそうであると言えましょう。
 現在、5人の先発ローテは、ダルビッシュ有、ジョー・マスグローブ(Joe Musgrove)、ブレイク・スネル(Blake Snell)、セス・ルーゴ(Seth Lugo)、ニック・マルティネス(Nick Martinez)で構成され、ロングリリーフ兼スポットスターターとしてアドリアン・モレホン(Adrian Morejon)らマイナーAAA級の若手がスタンバイしてはいます。ただ、ルーゴは先発としての実績が乏しい上に、33歳という高齢で先発転向という成功する見込みがやや薄い挑戦をする事になります。マルティネスは去年は先発で確かな成績は残せず、シーズン後半にはリリーフ転向となりました。1番手〜3番手の実力は十分ですが、以降の層はパッとしないという評価になりえます。
 その問題点を、フロントも理解しているようで、QOペナルティを恐れずクリス・バジット(Chris Bassitt)や、ネイサン・イバルディー(Nathan Eovaldi)にアタックしました。NPBソフトバンク球団からFAとなりMLB挑戦を表明していた千賀滉大にも交渉を持ちかけたそうです。しかし、前述の選手達は他球団と契約合意し、問題は解決されないまま今に至ります。
 コーナー外野手についても不安がつきまといます。フェルナンド・タティス(Fernando Tatis Jr.)が昨季からのPEDによるサスペンションを引き継ぎ、開幕20試合は出場停止となります。2023年度はSSのレギュラーをボガーツが担うという事からタティスは今季外野を守るという見通しが立っています。主にRFを守り、フアン・ソト(Juan Soto)はLFに移る可能性が最も高いとの事。
 タティスが復帰すれば、ソト〜グリシャム〜タティスの布陣で戦う事になりますが、ではそれまでのLFを任される選手はどうなるでしょう。現在所属している選手で有力なのは、ホゼ・アゾカー(José Azocar)となります。彼は守備走塁は及第点ではありますが、打撃は長打力に乏しくアプローチも粗い、できれば控えとして置いておきたい選手です。20試合くらいなら我慢しても良いという見方もできますが、第4外野手の質に乏しく、タティスも耐久性についてまだ不安を拭えていないので、彼がDHに多く就く可能性を考えて良質なコーナー外野手が必要だと言えます。
 最後に捕手陣の層です。現在、アクティブロースターに登録される予想の捕手はオースティン・ノーラ(Austin Nola)、ルイス・キャンプサーノ(Luis Campusano)の2名です。ノーラについてはキャッチングの良さや投手陣からの信頼があるというポジティブな性質がありますが、フレーミング技術、捕手としての守備、盗塁抑止については拙い部分が多く、またトレードの際にフロントが欲した打撃の良さについても近年は鳴りを潜めています。カンプサーノに至っては、ようやく適応の一端を見せたものの未だMLBに定着した事がない選手です。まだまだこれからの選手ですが、曲者揃いの先発陣の中には彼の未熟さに不満がある者がいるという噂話もあります。ここも可能ならばテコ入れしたいですね。

キム・ハソンのトレード価値

 長々とパドレスについて書いてしまいました。ここからトレードについて書いて参ります。
 昨季のキム・ハソンは、フェルナンド・タティスが故障その他でシーズン全休となり、パドレスの根幹を揺るがす危機に直面した際、そのショート守備の堅実さ、能力の高さで定位置を確保、SSで131試合、3Bで23試合の出場を果たして3.7fWARの貢献を上げるなど、チームの救世主となりました。移籍初年度から高評価の守備で盛り立て、5.1UZR/150G、+10DRS、+6OAAを記録しました。懸念の打撃も対応力を高め、.251/.325/.383のスラッシュラインは数値の見映えはそれほどよくありませんが、本拠地は伝統的に打撃パークファクターが低く、昨年は球界全体の打低もあった事から、SSの選手は多くがOPS7割以下と苦しみました。キムの105wRC+はまずまずと言ったところでしょう。特に対左投手で124wRC+と得意としている事も、打線の構築に一役買いそうです。
 良質な守備、まずまずの打撃、SSの他に2B、3Bを守れるUT性に加えて、キムのトレードバリューを高める要素があります。それは、残り保有2年で総額15Mという安さです。今季ストーブリーグでは、特に本職SSのスター選手が巨額契約を得た事を考えると、彼は打撃では遠く及ばないまでも、それでもSSレギュラーとしては抜群の安さです。ペイロールを抑えつつ二遊間の補強を画策しているチームにはうってつけの選手と言えるでしょう。
 現在、パドレスの編成はSSにボガーツ、3Bにマニー・マチャド(Manny Machado)という絶対的な存在がおり、2Bの座はジェイク・クローネンワース(Jake Cronenworth)と取り合う状況にあります。先述のカーペンターの獲得により、クローネンワースが1Bコンバートで十分出場機会を得られるかもやや不透明となりました。筆者としましては、キムを確保しておくのもリスク管理やUTとしての貢献度の高さも考えると大いにアリだと思っています。ですが、フロントがキムを対価としてよりチームにフィットする選手を得るという選択も支持できるところではあります。
 一方、グリシャムが出される可能性は、キムに比べたら大きく低いのではないか、と思っています。現在、CFで十分プラスを出せる選手の希少性は二遊の選手のそれよりも高く、グリシャムの代替は利かないと思われるからです。他に安価に獲得しうる選手については、カンザスシティ・ロイヤルズのマイケル・テイラー( Michael A.Taylor)がいますが、こちらは残り契約が1年となっており、あくまで一年凌ぎにしかなりえません。グリシャムによほどの値が付けば放出、穴埋めでテイラーを取るという動きがありえるという程度でしょうか。

トレード候補球団やその対価を考える

 さて、ここからは具体的なチーム名、選手名を挙げて、パドレスの利があるトレードを模索したいと思います。ただし、筆者としては下記について特別希望がある訳ではなく、あくまで「この形式なら納得しうる」程度に考えてください。また、AJプレラーのトレードは前触れもなく突然降って湧いてくる、予想の斜め上の内容である事は覚悟してください。

①対セントルイス・カージナルス
 Kim,Crismatt ⇄ O’Neill,Cabrera

 キム・ハソンとナビル・クリスマット(Nabil Crismatt)を差し出し、タイラー・オニール(Tyler O’Neill)とヘネシス・カブレラ(Genesis Cabrera)を獲得するというものですね。
 まず、パドレス側の利点について、オニールは主にLFを守っていますが、CFの補助もでき、グリシャムのバックアップに用いる事ができます。打撃は昨季、低空飛行を続けました。スイングアプローチの悪さは心配ですが、打球傾向は良質で、2021年度に近いパフォーマンスを期待するだけの価値はあります。クリスマットはブルペンにおいて信用できる存在ではあるものの、オプション切れや、ルーゴ、マルティネスどちらかのリリーフ転向を予期すると、ここで放出するのが適しているのかなと思います。左のリリーフに厚みを持たせるためにカブレラを含めました。
 カージナルス側も利点があると思います。コーナーOFが渋滞気味でオニールをトレードの弾にできる状況と、トミー・エドマン(Tommy Edman)というUTのスペシャリストの起用次第ですが、SSのレギュラーを固定し切れていないという状況をキムの獲得で解決できます。いっその事、同じくUTが売りの若手ブレンダン・ドノバン(Brendan Donovan)も加えたハイレベルなUTプラトーンを敷くのも有用な戦術だと思います。

②対シカゴ・ホワイトソックス
 Kim,Morejon ⇄ Giolito,Burger

 こちらはホワイトソックスの先発ルーカス・ジオリート(Lucas Giolito)をメインチップとして獲得するというものです。フロントスタータークラスの投手ですが、昨季は不振で規定投球回も逃しました。1年しか持てないのもややパドレス不利な面があります。しかし、ジオリートを1年保有すればクオリファイング・オファーを提示できる可能性が高いです。微妙なままだと受諾する期待ができますし、成績をかつてのレベルに戻せれば、QO拒否で指名権を得られます。悪くない条件です。ジェイク・バーガー打撃が良く、こちらも付けられれば嬉しいところです。3Bプロスペクトとして育てられていましたが、マチャド、ボガーツがいますし、守備も3Bに留まれる程ではないので1Bコンバートで起用が妥当でしょう。
 ホワイトソックスも2Bが埋まっておらず、キムの獲得でそちらの課題はクリアできるでしょう。SSはチームの有力選手ティム・アンダーソン(Tim Anderson)がその座を譲る可能性が低そうであるので、こちらに移籍すればキムは2Bコンバートになるでしょう。ジオリートがいなくなるのでMLB Readyの先発を求めるでしょうが、正直なところホワイトソックスのニーズを満たせるかは微妙です。一応最もスペックの高いモレホンを付けました。

③対タンパベイ・レイズ
 Kim,Morejon ⇄ Springs,Bruján

 レイズも安価な二遊の選手を欲するチームであると考えられます。現在、レイズの二遊間はブランドン・ラウ(Brandon Lowe)、ワンダー・フランコ(Wander Franco)の二名ですが、ラウは2Bとしての守備力を年々落としており、外野手コンバートが現実的なラインに来ています。近年の二遊プロスペクトの停滞から、彼を押し退ける選手が不在なのが懸念でしたが、キムを獲得できれば憂いなくコンバート可能です。フランコに関しても、故障上がりなのがあってフルタイムSSは怖いところ。安価なレギュラークラスのSS、2Bはレイズにとてもフィットするところだと考えられます。
 パドレスとして獲得したい選手はジェフリー・スプリングス(Jeffrey Springs)。彼は現在30歳と遅咲きな先発投手ながらも、昨年は33登板25先発で2.46ERA、3.04FIP、4.65K/BBなど、3番手クラスでも期待できる良好な成績でした。速球こそ平均92mphと出力に物足りなさはありますが、run valueが非常に高いチェンジアップ、スライダーも質が良く、安定した結果が期待できるでしょう。残り保有期間は2年です。
 他にビダル・ブルハーン(Vidal Bruján)を求めたのも理由があります。打撃でMLBに対応できずもはやマイナーオプションも切れてしまいましたが、SS、2Bを含むどのポジションでも守備力があるUTですので、マイナー上級層が枯渇しているパドレスにおいては、全員ポジションをカバーできる守備型UTは今後数年間、トップチームにフィットするであろう、という考えです。保有している間に打撃が適応し始める可能性に賭けることもできますしね。

最後に

 さて、5000字を超える長文になってしまったので、今回はこの辺りで失礼したいと思います。もはやFA市場の有力選手は枯渇してしまった以上、主戦場はトレード市場となります。『トレード狂人』AJプレラーの選択はいかに?
 次のnoteでお会いしましょう。ご読了ありがとうございました。

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