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ダルビッシュ有 パドレスと6年の契約延長

 おはようございます。たまにnote書いてるでんすけです。早速ですがまだ多くの人が寝静まっているであろう時間に大きなニュースが飛び込んできましたね。


 初報であるAJ・カッサベル氏、ジェフ・パッサン氏のツイートを引用すると、サンディエゴ・パドレスは所属のダルビッシュ有投手と、今季2023年から2028年までの6年間、総額1億800万ドルで契約延長の合意をしたもようです。現在ダルビッシュは、MLB選手としては異例の早期からのWBC日本代表キャンプ入りを表明しています。「フロントが融通を利かせてくれて」という言葉で、球団と懇ろな関係である事を示唆していましたが、ある種の証明としてこの契約という形に表れた印象を得ました。
 ここではパドレス側の視点を主として、ダルビッシュとの契約の意図を見て行きたいと思います。

球団の長期的コンテンドに向けて必要な選手

 現在、パドレスは宿敵ドジャースをはじめとする、NL西地区のライバルを制して強い時代をより長く築こうと様々なロースター編成を行っています。フェルナンド・タティス・ジュニアとの14年契約(2021年から)、ザンダー・ボガーツとの11年契約(今年から)、ジョー・マスグローブとの5年契約(今年から)をはじめとして、有力選手に大枚を叩いて強力なロースターを形成し、更には今季オフにオプトアウト濃厚のマニー・マチャドや、2024年オフにFAとなるフアン・ソトへの契約延長にも積極的。今季オフにFA見込みの大谷翔平にもアタックするであろうと言われるほど、スター選手確保に努力を惜しんでいません。
 その中で、先発投手の層は懸念材料となっていました。今季限りでダルビッシュ、ブレイク・スネルがFAとなり、複数年で確保できているのはマスグローブとニック・マルティネスのみ(マルティネスはオプトアウトの権利を有しています)。マイナー、特にAAA級の選手層においては、ここ数年にビッグネーム獲得のために多くのプロスペクトを放出してきた事が災いし、年間のメジャー定着や、相応の結果を求めるのは疑問符が付く選手がほとんどとなってしまっております。ここでダルビッシュと契約延長した事で、今後数年のローテを守る優れた先発ピッチャーを確保できる事となりました。

投手陣のリーダーとして

 数字以外の貢献についても、ダルビッシュの役割は大きいと言えます。マルティネスとは親しい間柄となっていますし、マスグローブやスネルとも良好な関係でいるようです。野球においてはアドバイスを積極的に受ける様子、そして常にパフォーマンスを挙げられるよう探究心を持ち取り組んでいる姿に敬意を抱かれています。昨季同様に先発投手陣の力でチームをリードしていくには必要不可欠な選手と言えるでしょう。
 また、彼はNPBにおいても名望は高く、ダルビッシュと同じチームメイトになる事に魅力を感じる選手は少なからずいると思われます。AJ・プレラーGMは東アジアの選手のスカウトにも積極的であり、ダルビッシュの存在によるプラスの効果に期待している向きもありそうです。

マイナー層の再建に向けての猶予

 現在、パドレスのマイナー層のパワーバランスは、Rok〜High-A級に大きく偏っています。傘下プロスペクト1位のジャクソン・メリル選手のデビューは早くとも2年後、他の有力なプロスペクトも今後3〜4年の育成期間が必要と見積もらねばならず、その間のトップチームの戦力をマイナー層からの突き上げを当てにするのは得策とは言えません。その手当てとしてダルビッシュを長期間確保したという考え方もできそうです。
 ここ数年のぜいたく税超過の影響で、アマチュアドラフトや国際アマチュアFAにおいて指名順位やボーナスプールでの制限を受ける事になります。プレラーGMをはじめとするスカウト陣には良い選手をピックする手腕を、マイナー育成環境もより充実させ、良い戦力循環を行えるようにする努力が一層求められるでしょう。

長期契約のリスクは?

 ここからは多くの方が当然思うであろう、契約のリスクについても触れます。ダルビッシュは現在36歳、契約満了時には42歳になります。30代後半にもなるとパフォーマンスの著しい低下が懸念され、費やした金額に見合わない結果に終始するいわゆる『不良債権』へのリスクが高いと想定される事です。
 これについては私にも図りかねる部分が大きいです。未だに速球のレンジは93-97mphを維持し、高品質なカッターやスライダーを駆使、多彩な変化球も有し、今後それらの威力が低下しても他の選択肢でカバーする対応力もあるので、大きく衰える姿があまり想像できないという実際の姿を見ての感覚があります。そして加齢による衰えは誰にも訪れるという一般論も考える必要があります。
 過去FA市場が厳寒だった頃は、高齢の選手はたとえ成績が良くても、ピークが過ぎた選手である事がマイナスに働いていました。そして私の価値観にも未だ影響があります。リスクが高いのではないかという思いが自分の中にもあります。
 ただ、最近はマックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダー、アダム・ウェインライトといった40に差し掛かる選手がリーグ上位クラスの成績を出している事も加味する必要はありそうです。彼らは市場の価値観の例に漏れず、短期間の契約でリスク回避が行われていますが、故障さえなければ大きくパフォーマンスを落とさないだろうという信頼の目で見ているファンも多いかなと思います。ダルビッシュもその部類に入っていければチームにとって大きな利益となります。

最後に

 パドレスとダルビッシュの契約延長に関しては、今冬はじめから噂されており、そこは驚きではなかったのですが、契約規模の大きさに度肝を抜かれました。相変わらず高リスクの選択肢を取る事が好きなGMです。ですが、あくまで出資に積極的な姿勢が見られ、今後も大きな契約がまとまるか、期待感がまた出てきました。
 次はSTの記事が完成できればと思い進めています。まあお会いしましょう。

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