#舞台KBS 🎼✨ 舞台『川越ボーイズ・シング』-喝采のクワイア- Part1

舞台『川越ボーイズ・シング』-喝采のクワイア-
9日間全14公演お疲れ様でした❤️‍🔥❤️‍🔥

毎日馬の匂い嗅ぎながら東京モノレールに揺られる日々、終わってしまった…。満身創痍。

（毎日ただ劇場の椅子に座っていただけの人なのに疲労がデカすぎて楽の翌日仕事を休んだら、推しは元気に働いていて涙出た。）

鉄は熱いうちに打て！ということでデカ感情デカ興奮冷めやらぬまま書き殴ります。

ネタバレなし 前置き

わたしは舞台化が決定してからすぐアニメを履修したんですが、第一印象は「これを舞台化…？！」という困惑。脳空っぽにして見ても笑えるポップなアニメなのでテレビ放送やサブスクで見るには面白いけれど、舞台を通うにあたってわたしが重きを置いている劇場に通うことでしか得られない醍醐味みたいなものを感じられない。感情の移ろい、登場人物それぞれの言動の動機が見えにくい。

人それぞれ好みの脚本の系統がある中で、わたしはキャラクターの心情の動きが見えやすく、感情移入しやすい作品が好きだから、正直、わたしの好みの作品では無いかもしれないという覚悟は決めていて。

他にもここには書ききれないくらいの不安要素もたくさんあり、日々期待値が下がっていく中、6/19最終稽古終了の日。

#舞台KBS
稽古終了。
俳優がとっても爽やかで前向きでやかましくいい奴ら過ぎて
充実した稽古期間でした。

目標としていた着地点に、ずっと高く飛んでから着地してくれて
こういう驚きが
演劇をまた楽しく、好きにさせてくれる。

自信の青春演劇です。
是非。

演出家松崎史也氏ツイッターより

親の次に信頼している演出家、松崎史也様のお口から「自信の青春演劇です。」とのお言葉。同じく史也大先生を信頼しているお友達から、史也大先生が言うのなら…！信じてみてもいいかもしれない…！と背中を押してもらい、

（万が一この舞台があまりにも面白くなった場合いっしょに悪口を言ってくれる人が欲しくて非該当の身内をたくさん呼んで）
ようやく迎えた初日。

舞台の上に、日本1アツい青春群像劇があった。
間違いなく松崎史也様が自信を持って世に出すに値する、最高の演劇だった。

ねえ！！！！！！！舞台『川越ボーイズ・シング』-喝采のクワイア-、おもしろい！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

公演直後脳死感想ツイート

公演中、演者に顔見られたら恥ずかしいレベルで号泣しちゃってたから、30分くらいずーーーっとハンカチに顔うずめてた、本当に！！自信を持って！！！！おもしろいと言えます！！！！！！！！みんな！！！！舞台『川越ボーイズ・シング』-喝采のクワイア-を見に来てくれ！！！！！！！！！！！！！！！

公演直後脳死感想ツイート

皆さん！！！！！松崎史也の言葉は信じなさい！！！！史也が「自信の青春演劇です。」というなら、それは最高の青春演劇なのです！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

公演直後脳死感想ツイート

史也を信じて、良かった！！！！！！！！！！

公演直後脳死感想ツイート

※敬愛を込めて呼び捨てで呼ばせていただいております。

これより下、ネタバレ有り

原作アニメと舞台の違い

舞台『川越ボーイズ・シング』-喝采のクワイア-は【アニメをベースに、舞台版では春男の視点で「川越ボーイズ・シング」を描きます。（舞台HPより）】だから、完璧な音楽を追求しようとしていたオーケストラから除籍を言い伝えられた時指揮棒を折ろうとして燕尾服を脱いだ春男先生が川越学園の10人と出会い、音楽に必要なのは完璧じゃないことを学んでいくという＂響春男の成長物語＂なのが新視点で面白かった。生徒たちと出会って、個性強くいびつな音楽を楽しむ心や音楽を纏うストーリーに胸を打たれることを知った春男先生が、彼らと作り上げた『Now or Never』のためにもう一度燕尾服の袖に腕を通すまでの2時間半。

生徒たちもそれぞれトラウマ、孤独、プライド、劣等感、思春期ならではの悩みを抱えていて。支え合い、手を取り合い、音楽の力を通して少しずつ心が動いていく。そんな心温まる物語。

演出

舞台『川越ボーイズ・シング』-喝采のクワイア-やはり松崎史也大先生様演出らしさ全開で、シーンの切り替えにタイトルのアニメーションが入るとか、2つ以上の違う空間で平行に進んでる時間を舞台の上でひとつに表現するとか、中通路の使い方とか、それはもう松崎史也節！濃縮！詰め合わせ！という感じだったんだけど、特に＂客席にライトが当たってる瞬間は観客も演者＂という概念を理解してる史也信者としては、拍手喝采の客席を背に春男先生が「これは君たちの喝采だ」と賛辞を贈るシーンで客席にライトが当たるの、私の拍手が舞台上の10人に、春男先生含む11人に届く＂喝采＂の1音になれてることを実感できてとてもアツかった。

他作品でも松崎史也様に大変お世話になっているオタクなので、特に「2つ以上の違う空間で平行に進んでる時間を舞台の上でひとつに表現する」に対する思い入れが大きくて。

「背比べ」双子ふたり離れている場所で言葉がリンクするシーン、「Shake it till make it」自由曲を作るクワイア部・指揮棒と向き合い手を震わす春男先生・練習中の浦和学習院のシーン、大会課題曲披露後の控え室・えいちゃん・天使のシーン。
そこから照明の動きひとつで離れていた空間がひとつになる流れを表現するのも綺麗で、毎公演新鮮に感激してた。だれもあなたに足向けて寝れません。

余談 春男先生と付き合いたい話（？）

「えぇ〜思春期むずぅ〜😫」
「むりだよおばあちゃーあーん😭」
「あっ君はいいや来たけりゃどぞ、じゃ放課後待ってるね、おすたーん😉」
「ら　っ　ぷ　？　🥺」
「あっ定時だ、じゃね〜👋🏻」
「頭数が必要だからこの際こだわらないよっ😊ようこそクワイア部へ！😃」
「2番もあるのか！(๑˟▵˟๑)՞՞」
「はああもう思春期めんどくさっ！😫」

響春男先生、毎日可愛くて命が助かった。可愛い春男先生からしか摂取できない栄養があります。

（当方春男先生の夢女子予備軍なのですが、招待来てくれた非該当の友達に響春男先生と付き合いたい話したら「やめなよ、亭主関白だしちょっと家事ミスっただけでこんな生乾きの服を着て指揮をさせる気かい？！こんなエサみたいな料理を食べた体で指揮をさせる気かい？！僕の完璧の音楽が崩れたらお前のせいだ！とか、文句つけられて絶対めんどくさいよ」と言われ、正論すぎて何も言い返せず、一筋の涙を流した。）

ストーリーについて

春男の挫折

ずっと、自分は世界に必要とされている人間だと信じて疑っていなかった。自分の音楽こそが正解で、自分以外の人間は全て自分が音楽を作るために音を奏でる楽器としか思っていなかった。
オーケストラをクビになり、「君たちには僕が必要だって…わかるだろ？僕は世界一のマエストロだぞ？！」自分を必要としていると思っていた場所から追放され、人生最大の挫折、絶望を体験する響春男。

天使と春男先生の出会い

天使が歌う『Swing Low,Sweet Chariot』、「黒人霊歌、フォークスピリチュアルだねえ、賛美歌の影響を受けて作り出した祈り、自由な世界への渇望、自分を解放してくれる天使との、出会い。」指揮棒を折ろうとした春男に指揮をさせた天使の歌声との出会い。
「ヨルダン川の向こうにはわたしを連れ出してくれる天使がいる！」（ヨルダン川を渡ることの意味、聖書や神話などが好きな方がいたら調べてみてください。）
春男の人生最大の挫折の向こうには、春男を救い出してくれる出井天使がいる。

天使が「音楽」に向き合うまで

歌うことが大好きで毎日校舎裏で好きな曲を歌っている天使。ただ過去のトラウマから、誰かの前で歌うのが怖い。

「そんなの被ってたら誰にも届かないよ。そうやってひとりで歌うのも良いけどさ。だんぼっちくん。ダンボールなんかに引きこもってる限り、僕はだんぼっちくんって呼ぶよ。」

「逃げるの？だんぼっちくん。逃げるのはいいけど、君の音楽に嘘つかせる気？音楽はなによりも雄弁だ。僕はあの時、君の歌に連れ出された。君はダンボールの下で、誰を連れ出したかったの？歌は届くから歌うものじゃないよ、届けたいから歌うものだ。歌いたいから歌ってたんでしょ？何が違うの？」

「君は僕に指揮をさせたんだ。他の誰でもない、この僕にだ。いいかいだんぼっちくん。世界は音符でできている。音楽のある人間が音符に向き合わないのは、万死に値する。」

歌うことが好きな気持ちと、誰かの前で歌うことの恐怖。その葛藤を汲んでくれた親友ふたりが手を引いて背中を支えてくれたことで中庭の真ん中で歌って踊ることが出来て。春男先生の評価は散々でも、成功体験でついた自信と、「3人で歌って踊ることが楽しい」という音楽において何よりも大事な気持ちを胸に、全国優勝へのモチベーションは0だがクワイア部入部を決意。みんなで歌う歌が楽しいという気持ちこそが天使に勇気をくれる。

おばあちゃんの目的

「そりゃ10人の凡人だろうが僕が指揮をすれば勝てるさ。たださぁ…ねえ…。こんなことやってほんとに意味あんの？僕に足りないもの…ね。そんなのあるわけないじゃないか！あはは！」

おばあちゃんがクワイア部の顧問を命じた理由に心当たりがない春男。

本当のITくんを知りたい

川越ボーイズ・シングの登場人物の中で拗らせているランキング上位争いのうちのひとり、小橋快人。（アニメとは少し改変されているけど）IT企業の社長の息子としておそらく大切に、時には厳しく育てられ、若くしてプライドが高く、1位に対する強いこだわりがある。人気者矢沢くんに憧れ、ライバル視し、勝つための努力ができる子。
でもその勝つための努力はITくんにとって「自分を繕う」ことに近い気がしていて。だからこそ春男先生の

「ITくん、君の歌粘っこくてクセが強すぎぃ！失礼なのはどっちだい！楽器になんてことをするんだ！君の歌は色だの見栄だのクセだのネバネバついててほんとの楽器が全く見えなくなっちゃってるよ！君のやってることは音楽に対する冒涜だ。この世は音符でしかない、音符に対してどこまで紳士に向き合うかにしか価値がない。僕は、君の、ほんとの楽器しか知りたくないんだよ。」

が響いたんじゃないかな。ITくんの周りに、「本当の君が知りたい」と声を掛けてくれた人がいただろうか。ITくんの内に秘めたものを解放してくれた人がいただろうか。繕った完璧な自分を評価してもらうことに全てをかけていたITくんの憑き物をスっと祓う春男先生。

個人的にはITくんかなり好きで…。嫌味なことも言うけど、自分が悪いことをした時は、最後にはしっかり謝れる子。最初かなりウザイけど（笑）可愛くて、たまらなく愛おしい。

バランサー 乙女くん

ガタイのいい容姿と純粋で可愛らしいピュアな中身のギャップのアンバランスさとは真逆で、とにかく心優しく包容力のある乙女くんは川越学園クワイア部のバランサー。
入部希望を叫ぶ前あたりまでは自分の気持ちをストレートに言葉にすることが苦手な気優しい男の子な印象だけど、殻を破って以降、いつも誰かの異変に1番に気付いて寄り添ってあげてる子。

（これは超余談ですが、乙女くんが入部希望を叫んだ時、よっしゃ〜！てわちゃわちゃしてる4人の隣でITに「さっき嫌味言ったこと謝りなよ」って促してるお兄ちゃんえいちゃんがめろめろすぎる。）

漢 足立くん

ヤンキーに絡まれている天使を助けるところから始まる足立くん。接点のないふたりだったけど、天使が毎日校舎裏で歌の練習をしているところ、中庭で勇気を振り絞って歌っていたところ、1歩踏みだす様子を見ていてくれて、心配してくれていた人。話したことの無い他人が＂無理していないか＂を心配したり、容姿の厳つさの反面、心を伺える優しい子。

↑足立くん、天使への過保護ぢからが強すぎて、同じく天使への過保護ぢからが強すぎるえいちゃんとアンダルシアバトルまでしている（？？？？？？？？）

「見た目なんかで音楽は変わらないから。どうでもいいよ。好きにしたら？」

見た目を気にして、周りに迷惑かけないよう誰とも関わらず気持ちを押し殺して生きてきた足立くんに、あっけらかんと「見た目なんてどうでもいい」と言う春男先生。

てかなんも悪いことしてないのに「指導室に来い。今日こそそのメイク落としてやるからな。みんなと同じにできない時点でダメなんだ。」と無個性を強制する指導者、ナシすぎるだろ。今令和だぞ。多様性〜ダイバーシティ〜の時代だぞ。

あとこれも超余談ですが、葉加瀬くんとマジックを探すシーン、探してる最中に双子が喧嘩を始めてしまったのを仲介に入って手繋いで走って連れていくの、足立くんもお兄ちゃん気質でめろめろ。みんな足立くんと付き合おう。

6人の『光り輝く明日へ』

「おばあちゃんは僕を犯罪者にするつもり？！そう！課題曲だよ！あのイキイキとした楽譜を今のうちのメンバーじゃ殺してしまう！各パートもっとバランスよく集めないと…10人は必要だね。」

6人の『光り輝く明日へ』を酷評する春男先生。この酷評が10人の『光り輝く明日へ』を聞いて心動かされるシーンと対になる構成が素敵。

「ん？今集まってる子達？いびつで質の悪い楽器だ。けどまあ、楽器が纏ってるストーリーは悪くないよ。大丈夫、数さえ揃って僕が指揮をすれば勝てるさ。」

どんな質の悪い楽器も、僕が指揮をすれば勝てる。自分の音楽に縛り付けて、矯正して、究極の正解を追求すれば勝てる。自信満々な春男先生。

双子の背比べ

「一緒にされるとかムカつくし」「こいつにだけは負けたくねえから。」「「一緒にするな！俺はこいつとは違う！うぜえ！うぜえ！うぜえ！」」

「全然同じじゃないのにね。2つとも別の楽器だ。同じ形をした、違う音楽。だから羨ましいだけだろ。近い音ほど引っ張られる。」「この世は音符でできてる。違う音の調和にしか価値がない。その君らの価値を見るんだから。」

相手の実力や個性を認めているからこそ、自分と比べてしまう双子。中学までふたりで歌っていたことがあるからこそ、音楽が好きだからこそ、自信があるからこそ、「あいつにだけは負けたくないって。特に、歌は。」

『背比べ』の中の「苦しみさえも重なり合うような時の中 がむしゃらに僕らは探す 今未来を」という歌詞、同じ境遇を生きてきて楽しかったことも苦しかったことも理解し合うお互いが、多感な時期である今、相手より少しでも大人になろうと背伸びしながら必死に背比べしているようで。等身大なふたりらしい表現に胸がぎゅっとなる。

そんな2人に「その程度のレベルでどっちが上とかどんぐりの背比べだね。甘えてるよ。一緒にされるのが悔しかったら実力で抜きん出ればいい。僕は世界一のマエストロさ、君たちの楽器を磨いてあげよう。」って言ってしまう春男先生、思春期の男の子ふたりに対して大人気なさすぎるし人の心なくて好き。

孤独を、礼賛

マジックが作ってくれた歌ってみた動画を「あれは僕達なんです。」と言う葉加瀬くん。音楽を感情の捌け口のツールとして使い、インターネットだけが自分たちの本当の居場所だと、現実世界では息を潜め身を寄せあっていて。

葉加瀬くんが中庭の『On the Set』を見て、「勇気を出して踏み出せば自分もああなれるかもしれない、踏み出してみたい。」と希望を見出すの、天使の歌が＂届いている＂なによりの証拠で。

「君はまるで真夏の太陽、僕は夜の海に映る星。風が吹けばすぐに消えちゃうし、触れないし、何も残らない。」

マジックのおかげで好きになった歌で、今の自分がいるのは太陽のようなマジックがいるからだと、君がいないと僕は何も残らないと伝える葉加瀬くん。ドデカ愛のメッセージ。

初めふたりで歌っていた『曖昧』が、天使と乙女くんを加えて4人になって、全員が集まって10人になる。10人横並びで歌う「泡の中でもがく僕を探し出してくれ」、たった10数年しか生きていない未熟な人間たちが、手探りで生きている必死さがあって、でも横には仲間がいて、居場所がある。切なくて苦しくて、でも温かい。

「ひとりじゃ音楽はできないからね。音楽はなんで＂音楽＂という字か知ってるかい？」「音が楽しいから？」「はあ…、相変わらず無知な君たちに教授しよう。学という字はそもそも楽器を意味する。楽しいという意味がついたのは後のことだ。つまり、音楽こそ、楽しいの語源。君たちはここに10人いる。それぞれいびつで拙い楽器だ。だがそれがいい。正直君たちの思春期はめんどくさい。めんどくさいが、それこそが音楽なんだと、今思った。」

↑この一見悪口のような言葉を聞いて生徒が春男先生なりの褒め言葉だな！と喜んでいるの、クワイア部が少しずつ団結して、理解してきているようでいつも頬が緩む。

「いつ僕が君たちを褒めた！？君たちの中にも音楽があると思って安心しただけだよ！」👈🏻大ツンデレ

ようやく揃った10人

「音楽が楽しいの語源か…すごいな、最初は春男先生と僕だけだったのに。楽しいな、やっぱり、歌！」

人前で歌うことが怖かった天使が誰かと歌う楽しさを思い出したあと、10人で歌う特大多幸感詰め合わせ楽曲『LALALA』に繋がるの、何食って生きてたら思い付く？

「あ、おばあちゃん？10人揃ったよ！学校って大変だね。こんなめんどくさい思春期ばっかでさあ。いやほんと…。ん？そりゃ楽しいよ。音楽だもん。」

そしてまた春男先生も10人と出会ってから音楽を楽しむことを思い出していて。これこそがおばあちゃんが春男に足りないと思っていたことだったんじゃないかなと思ったり。

指揮と指導の違い

「いいかい？指揮っていうのはね、偉大な音楽に対するひとつの意思であり呼吸であり、僕が導かれることで魂を導く。君たちに対して指導はしても指揮は絶対にしない。僕は僕の音楽に背を向けることはできないからね。」

葉加瀬「よくわからないけど僕たちの歌がもっと良くなればお互いを必要とするってこと？」ナイス意訳

「それもわからない、その時にならないとわからないのさっ。」

↑うるさい

音楽から逃げた過去

「充くんは華があるし売れるよ、もう1人の天使くんは…地味かな。向いてない。天使って名前なのにね。」3〜5歳の幼稚園児に対してあまりにもビジネスすぎる大人たちの心ない言葉によってその場から逃げ出してしまう天使少年。（それはそう）

今もまだ胸に残る1度音楽から逃げた過去があることの引け目、人前で歌うことへの抵抗。でも、

「あの時えいちゃんやトリちゃんや先生が僕を引っ張ってくれたから頑張れたんだ。やっぱり僕は歌が好きなんだ、頑張りたいんだ。」

「何かあったら俺が助けるから。」
「俺たちが、だろ。」

対天使への過保護ぢからカンストのえいちゃん、天使をクワイア部に誘ったことが本当に正解だったのかずっと悩んでいて、天使に負担をかけないようにと自分の首を絞めることすら厭わない。そんなえいちゃんに「俺たちが、だろ。」ってサラッと言えるトリちゃん、ノンデリ界の聖母！！！！！！！

（余談 日替わりの中でもおんぷ！が1番好きだった☝🏻）

指揮棒を折る

「うん、夏休みも終わる。そうだねえ。このままじゃ危ういだろうねえ。仕方ないでしょ凡人スタートだよ？でも僕は音楽を裏切れないんだ。分かってるよ、潔くその時は、指揮棒を折る。引退だね。」

おばあちゃんに進捗を聞かれた春男が生徒のいないところで零す弱音。今までの春男なら「僕の力をもってして金賞以外ありえない！この天才マエストロが指導してるんだぞ！」とでも言いそうなところ、「危ういだろうね。」

また残酷なことに、それを聞いてしまう乙女くん。

日に日に本番も近付き、段々練習にも熱が入ってきた10人。そんな中、転校への不安による感情の揺れ、注意力の散漫が音に乱れ出ているITくんを「音楽に対する冒涜だ」と厳しく注意する春男先生。

「先生、僕たちを指揮してもらえませんか？！」「でもこのままじゃ勝てなくて先生…引退しちゃうんですよね？！」「まあ隠しててもしょうがないから言うけど、そうだよ。僕が世界トップの楽団をクビになった話は知ってる？で、僕のおばあちゃん、この学園の学園長。同時に、世界のあらゆる楽団やオーケストラのスポンサーでもあるわけ。そのおばあちゃんが僕に条件を出した。ボーイズクワイア部を作って、今年の大会で金賞を取れば、僕を元の楽団に戻してくれる。だから僕は、クワイア部を作った。僕の才能が世界の損失であることは間違いないのだけど、おばあちゃんの優しさか、僕には足りないものがある、てことらしいよ。」

「でも、何も今年じゃなくても…それに引退って…」「長く最前線を離れれば居場所なんて無くなるさ。だからもう潔く引退するよ。それで乙女くん、君は何が言いたいんだい？」「みんな感じてます、このままじゃ勝てないって！」「…そうだね。」

ある程度練習を積んだからこそ見えてきた優勝という高い壁。春男先生のマエストロ人生が自分たちの腕にかかっているという焦り。

「先生の指揮が素晴らしいことを僕は知ってます。あの時、自分でも知らない、でも自分の声だって、知ってるのに知らない声が出た。先生が指揮してくれればみんなで！」「あの時の歌には、そうさせてくれる必然があったのさ。」「今の僕たちじゃダメってことですか？」「お願いします、俺たちの歌に、指揮をしてください！」

頭を下げる10人に、僕にそんな行為は無意味だと笑って切り捨てる春男先生。それでも真剣な空気に押されて、笑みが消える春男先生。

「たしかに残りの期間、僕が指揮をすれば君たちの歌はずーっとアリ寄りになる。」「初めは、僕の音楽だけでいいって思ってた。それで勝てればいいって思ってたよ。でも今は、みんなの音楽を知りたいって思ってる。ていうことかな。」

自分の目的（元の楽団への復帰）のためだけにクワイア部を作った春男が、クワイア部のみんなと出会ったことで勝つことよりも大事なものがあるのかもしれないと心が揺れるシーン。春男が指揮をすることでみんなの音楽を春男の音楽に矯正することはできる。でもそうやって個性を潰して作った音楽で勝つことが＂正解＂だと思えなくなった。

「ここにいるみんな、歌が好きなんです！」「考えておくよ。」

それでもみんな、歌が好きだから。みんなと歌うことが楽しいから。自分たちのためにも春男のためにも勝ちたいから、指揮をしてほしいと。
それにすぐ頷けないのは、春男自身もまだ自分が指揮をすることに対して恐怖があったのかもしれない。春男にとってもクワイア部は居心地のいい新しい居場所で、それを失うのが怖いと。

『Now or Never』作曲

考えておくという曖昧な答えを貰って静まり返った中、転校までの猶予があまりないITくんが自由曲は自分たちで作ろう！と声を掛ける顔、これが置き土産になるかもしれないと覚悟決めてる表情がグッとくる。

「僕が指揮するって話どこいったわけ？！」
↑それはそう

『Now or Never』作曲している中、クワイア部が少しずつ大会に向けてまとまっていく様子に感銘を受けたのか、誰も見ていないところでトラウマの詰まった指揮棒ケースを開ける春男先生。指揮棒を握るだけで顔が引き攣り手が震えて、すぐケースを閉じてしまう。春男先生も人知れず、自分と闘っている。

一方のその頃高校生が放課後にマック食べながら笑ってるの、青春が過ぎるよ展。あとえいちゃんが天使にバーガーとかポテトとかあーんしてるの、私毎日見てましたから。（対天使過保護えいちゃんセンサー反応）

『Now or Never』完成後、自分を守っていたメイクを落として部室にくる足立くん。

「お前らとなら、もう隠さなくていいかなって。」
「うん！すごくかっこいい！」

取り繕った自分を見せなくてもいい、素の自分を出せる居場所になったクワイア部。もうこのまま永遠に幸せな時間が続いてくれよ…という願いも虚しく。

（いつかPart2に続く）