好きな男性のタイプ、芸能人で言うと

多分この質問が出た時点で、私はその相手とあまり気が合わない。
この質問が発生するということは、相手は私の人となりを知り話を深めようとしていると考えられる。つまり、相手が私に気を使ってくれているのはわかる。しかしその気遣いが既に気の置ける関係の証だ。

ここからどうやって、話を掘り下げるのが正解なんだろう。

自分の率直な意見を言うなら、私は目下知っている男性芸能人の中に好みのタイプはいない。間近で知り合ったら美形の皆さんに心騒ぐかもしれないが、それは恋とは違う。そもそもその手の「色気」と類したいものの魅力の強い相手と私は交際したいと思わない。

その「色気」に身を任せる事の優先順位が低いというべきか。
年齢的にももっと他に時間を費やしたい事があるし、色気を追い求めたいと思えない。
若い頃は色気と時間を共有する事が幸せのような気がしたし、それを追い求めるのが恋愛なのかなと思っていた事もあった。
しかしその先に私が心から求めるものはなかった。
つまり美形男性が視界に入ると「素敵だな」と思いはするが、だからその人とどうなりたいというものがない。むしろ「素敵だな」という感覚を動機に人と関わる事に私はあまり意義を見出せない。

そうなるとほとんどの芸能人が対象から外れる。
その「色気」以上の事を私は知りようがないからだ。

また、芸能人がアピールポイントとして演じている仕事上の人物像を「キャラクター」としてその人を好きかどうか考えてみよう。芸能人の仕事のひとつが夢を売る事だとするれば、彼らを「キャラクター」のモデルと仮定する事も悪くはないだろう。

それでもやっぱりわからない。

私の好みは

・問題を起こさない(隠し子や仇討ちを名乗り出る人が出現しない)
・自活できる定期収入がある
・酒類で物や人間関係を壊さない、警察の厄介にならない

このあたりが重要ポイントだ。ここから「人畜無害な人」「善良な人がいい」という好みが出て来る。しかし若い女性など「そんなの当たり前」「それに該当するのはよほどのチンピラ」と考えている。私も若い頃はそう考えていた。しかしエリートサラリーマンや成功した実業家や政治家が時々犯罪を起こすように、どの社会階層にも爆弾は潜んでいる。

ついでについでに言うなら、私の側からは、家族になったりパートナーになるんでないなら、特に恋人関係を作る理由もないなあと思ってしまう。私が既婚だからそう思うという面もあるだろうけど、「色気」を省くと後はもう友人関係や飲み友になれればそれ以上に求める事も楽しい事も特になくなる。私がそれを望んでも、相手が私とそういう関係を楽しく思うかは知らんが。

ぶちまけると、恋愛には満腹しているのであまり考えようという気になりません、というのが私の答えになってしまう。
もっと言うなら、「次ははずれを引くかもしれない」というのが結構な恐怖なのだ。目下私は夫に恵まれていると思う。正直なところ本当に夫には感謝が尽きないし、私にとってはともかくいい夫でいい家族だ。これ以上の人は私にはあり得ないとも思っている。なので、特に。他に求める事もない。他の人をあたったところで、私にとってはおそらく夫よりそちらと結婚したいと思う事はないだろう。

ついでにいうなら、恋愛は私の心の傷でもある。
まだあまり親しくない相手に個別にペラペラと喋れない。相手に私の話が適するなら喋るけど、人によっては聞かされても困る話だと思うのだ。また、恋愛相手にも自分自身にも夢を見る若い女性は、自分が失敗するまで「私はあなたみたいにならない」という態度で私に向かって来る。私もそうだったのでわかるが、そういう人にはまだ無用の話でもある。言っても無意味だ。

「隠し子」と言うと「まさか」と思うだろうが、浮気性の男とかかわった女が妊娠しないとは言い切れない。生まれなかった子供がいたという話が発覚するだけでもかなりショックだ。
警察も「まさか」の一つだろうけど、身を持ち崩すのなんて結構簡単だよ。仕事失って転落するなんて誰にでも起こりうる。

しかし若い人達の話を聞いていると、つらい別れやら変な出会いを結構簡単に親しくもない私に話すんだなあと感心する。そのくらい気軽に心を開いているものなのか。そういうところを、私はむしろ学ぶべきなのか。

そして更に困ったことがある。
「好きなタイプは」という質問。
前述の通り、人は私のガチの性の癖などを知りたいわけではなく、この場において会話コミュニケーションを円滑化するための材料が欲しいわけだ。
つまり、受け入れやすくてわかりやすい答えがほしい訳だよ。そこから話のとっかかりになるような。

これがまた困る。
これまで好きになったタイプに共通し、私自身も好みだと思っていたのは、

・おとなしくて
・賢そうな
・もやし

特に「賢そうな」重要。ここが強烈なポイントなんだ、頭のいい男にクラクラ来る。

そしてこれに当てはまる芸能人というとまた難しい。
有名人で言うなら浅田彰が記号的に絶妙だけど、浅田彰を知らん人は知らん。でまた知らん人にこの人の経歴やらをひとつひとつ説明することになるとなにかとほうもないはなしになってくる。
また、この人を知らないタイプにこの人を説明すると「それがなにが格好良いの」と困った顔になる。

うんでまた浅田彰に詳しい人に「好きなタイプ」として浅田彰を挙げるのもつらい。「4ヶ国語くらいさらっと出来る人なんだろう」と思われても2度と会えなくなるし私のことなど忘れてほしい。

まあこれだけ壁のある相手との話題が「好きなタイプは」問答なのだな。
相変わらずこの話題で相手との距離を縮められる気がしない。むしろこの話題が出たら「私は相手に距離を感じさせてる」と反省して別の話題で親しもうとするべきなのかな。むー。


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