『鼻出しマスク』を肯定的に考える。
鼻出しマスク。
現在は2023年10月であり、今頃それについて記事を書くことの不毛さは自覚している。
(3年前に書けよ。)
ただ、『マスク』でSNS検索すると今でも鼻出しマスクを馬鹿にするような言説が見られる。
私はどっちかといえばマスク推奨側だが、マスク原理主義者ではないので鼻出しマスクについては合理的な部分があると考えている。
今回それをざっくりまとめたい。
◆吸入について
鼻出しマスクが馬鹿にされる理由のひとつは『自らの防御を無視している』という点だろう。
『せっかく着けてるんだから鼻まで引き上げるくらいやれば良いのに。』という意見だと思うが、私は必ずしもそうは思わない。
マスクで鼻まで覆っていたところで、普通に不織布マスクを着けている状態とそこまで大きな違いは無いだろうからだ。
◇◇◇
不織布マスクの漏れ率は高い。
漏れ率中央値は8割以上だと思うが、それなら『自らの防御を無視している』鼻出しマスクと大差ない。
不織布マスクを漫然と着用したところで、漏れ率・隙間を意識しない限りエアロゾルの吸入に関してノーマスクと大きくは変わらない。世間のほとんどの人はその程度だ。
◆排出について
鼻出しマスクが馬鹿にされる理由は『鼻からの排出を無視している』という点にもある。
しかし、通常の呼吸により生じるようなエアロゾルの多くは、不織布マスクを着けていても大部分は濾過されず排出されるだろう。
マスクの漏れ率が高く、また、粒径が小さい微粒子では慣性力が強く働かないからだ。
◇◇◇
咳やくしゃみの際に鼻から飛沫・エアロゾルが排出されることは考えられるが、それも不織布マスク程度では大差ないだろう。
瞬間的な高い排出量と圧力にマスクの濾過性能が追い付かず、隙間から盛大に漏れるはずだ。
◇◇◇
そして、発話(会話)で考えると鼻出しマスクのほうが有利である。
不織布マスク着用時の隙間は鼻脇に大きく生じるが、そのような隙間は生じにくい。
顎や頬に隙間は生じるが、発話あり・なし、咳・クシャミなどを総合した排出リスクで考えると鼻出しマスクのほうが優れている可能性はある。
例外はある。
発話時にも軟口蓋が開いており鼻から飛沫・エアロゾルが排出される人だ。
まあ、全体からすれば極少数であろう。
◆まとめ
ということで、私見ではあるが『普通に不織布マスクを着けた場合(漏れ率8割以上)』と『鼻出しマスク』は、馬鹿にされるほどの大きな違いは無いと考える。
鼻出しマスクは周囲に気を遣ったうえで本人が快適に過ごすという合理的な選択と言えるだろう。
仮に社会全体として鼻出しマスクを推奨した場合、着用時のストレスが減ることから総合したマスク着用時間は増えるかもしれない。
日本におけるコロナ禍でのマスク戦略はユニバーサルマスキングにあった為、それを前提とするなら鼻出しマスクのほうが高い成果を出す可能性は否定出来ないだろう。
◇◇◇
ちなみに、試しに鼻出しマスクをやってみたところ実はそれほど快適でもないことに気がついた。理由は以下。
・鼻の直下までマスクを引き上げて着用すると、そこで発生する乱流なり抵抗が結構気になる。
・上記違和感を解消するためマスクを上唇近くまで引き下げて着用すると会話の際に結構ズレるため、頻繁に位置調整が必要になる。
まあ、慣れの問題かもしれないが。
◆おわりに
以上、鼻出しマスクを肯定的に考えてみたが私自身はやらない。
私はコロナの中・長期的な病態を甘く見ていないため、自らの防御を前提とし蒸れを我慢しながら隙間対策ガチマスクを続ける。
しかし『じゃあN100を着けろよ』とか『ガスマスク着けろよ』に対しては『目立つし面倒だし快適じゃないからヤダ』である。
所詮は自らがそのような妥協の存在ではあるため、他人の妥協について余程のことが無い限り直接争うつもりはない。
他者へ配慮した結果としての鼻出しマスクであれば大歓迎である。
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