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『手首マスク』と『接触感染』

ちょっと前、SNSで『手首マスク』が話題になっていました。

マスクを臨機応変に使用するため外してるとき腕時計みたいに手首に通しておく。という運用方法らしい。

これが様々な方面から批判されていました。
『接触感染』とか『不潔』絡みで。

なお、元ネタは『読売新聞オンライン版』の記事です。
その後反論記事が出ており私の見解も大雑把にはその通りですが、今回まとめておきます。


◆手首マスクと接触感染

反論記事は以下です。
内容を一部抜粋します。

読売新聞オンライン

「手首マスク」批判におこたえします


2023/08/08 10:00
編集委員 山口博弥

前回のコラム 「ウィズコロナは『手首マスク』『腕マスク』で」 は、通常の10倍以上の閲覧数がありました。読んでくださった方、ありがとうございます。

「撤回」求める意見も

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられ、政府がマスク着用を個人の判断に委ねた今、それでもマスク着用が必要な時のために、手首にマスクのひもをかけて持ち歩く「手首マスク」や「腕マスク」を私が実践している、という内容でした。

これに対して、SNSでは「マスクに菌やウイルスが付着し、不潔極まりない」といった批判的な意見も散見されました。弊社のお客さまセンターにも、あのコラムの「撤回」を求める意見が寄せられました。ということは、不快に思った方があのコラムを各方面に拡散させ、いわゆる「炎上」したわけですね。

コラムを書いた時、多少は批判的な意見はあるかもしれない、とは思ったものの、これほどとは予想外でした。ただ、私はあのコラムを何の根拠もなく書いたわけではありませんし、今も誤りだとは思っていないので、もちろん撤回などするつもりはまったくありません。

媒介物経由のコロナ感染リスク、ほぼない

今回は、その理由を解説しましょう。まあ、実は過去のコラムですでに詳しく書いてきた内容なのですが、改めて紹介します。ポイントは、以下の通りです。

・ウイルスは基本的に、ヒトなどの生きた細胞の中でしか生き続けることはできない。
・ウイルスが物の上で生き続けるという実験は、対象物に大量のウイルスを付着させて残存時間を調べており、現実社会ではありえない(英科学誌「ネイチャー」)。
・媒介物を介した新型コロナ感染(接触感染)のリスクは低く、1万分の1未満(CDC=米疾病対策センター)。
・つまり、「マスクは汚染されているから感染の危険がある」という説に、科学的な根拠はない。

手首マスク・腕マスク(コロナ5類)の是非、西村秀一氏にベテラン記者が取材 : 読売新聞
[2023.08.10 引用]
https://www.yomiuri.co.jp/column/naruhodo/20230804-OYT8T50041/

◆接触感染について

上記引用部にも書かれているとおり、接触感染については結構前からその割合が非常に低いだろうことは示唆されてきました。

また、以下の記事で『無生物表面を介した生存ウイルス無し(20分以上で)』という論文を取り上げたことがあります。

感覚的にも『物の表面からウイルスが指先に付着し粘膜をその指で触れる』があったとしても、発症が成立するほどの量で起こり得るとはいまいち思えません。(発症しなければいいという訳でも無さそうですけどね…。)


◆感染対策の優先順位について

最近の第9波(?)においては、公的機関からの推奨として『換気・手洗い・手指消毒・(マスク)』を見ますが、アップデートされても良いのではないかと思います。

CDCの推奨するコロナ対策を確認したところ『換気(空気清浄機による濾過)・マスク』で、手指消毒については言及されていませんでした。

CDCが100%正しい訳でもなく、手指消毒がまったく無駄という訳でもないでしょうが、効果的なものにリソースを割くことは重要だと考えます。

特にノーマスクでウィズコロナをするなら、エアロゾル対策(空気清浄機の活用)を最優先にしても良いんじゃないかと思うんですけどね。

◇◇◇

ちなみに、私は手首マスクはしません。
見た目であまり良い印象を持たないですし、以下のようなデメリットがありますので。

・ゴム紐が伸びて劣化する。
・マスクが型崩れする。
・汗等で汚れる。
・たぶん手首に通したり外したりがメンドクサイ。

手で持つかバッグのポケットに入れるかですね。


◆おわりに

ということで、手首マスクについては『接触感染リスクは低いし、そこまで気にするもんでもなかろう』という感想です。

ちなみに、批判の多くは『不潔なものを人や物と接触する可能性のある手首につけるのはやめてくれ』って感じでしたので、それはわからんでもないです。

そして、記事の内容からなんとなく防疫意識の低さが察せられるような感じ(トイレでノーマスク)だったので、『読売新聞』の記事ということも含めて炎上した感じでしょうかね。

それにしても、マスクは3年半経っても関心を集めるトピックであり続けています。

良いやら悪いやら。

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