![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/140053523/rectangle_large_type_2_ce9a9dc9c6b9ba0b69e516a783d35126.png?width=800)
マスクに含まれる有害物質まとめ
どうもこんにちは。
マスクオタクです。
今年3月くらいに『マスクに含まれる有害物質まとめ』みたいな論文が出ていた。興味があったが引用論文等を含めると内容が膨大。精査なんてできる量ではない為レビュー記事が出るのを待っていたが発見できず。
ということで、ろくに読んでないので評価は荒いが紹介として取り上げておく。
◆論文引用
対象の論文からAbstractを引用する。なお、本記事の引用部はすべて以下リンクから 2024.05.02 時点のもの。www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳した。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0147651323013623
無生物毒素の吸入および経口摂取の可能性としてのフェイスマスクの着用 - スコーピングレビュー
Ecotoxicol Environ Saf. 2024 Apr 15:275:115858.
doi: 10.1016/j.ecoenv.2023.115858.Epub 2024 Mar 26.
要旨
背景
2020年から2023年にかけて、世界中の多くの人々が、義務や法律に基づいて1日の大半をマスク着用することを余儀なくされた。我々は、フェイスマスクが無生物毒素の含有と放出に及ぼす可能性を研究することを目的とした。
方法
1003件の研究のスコープレビューを行った(PubMed/MEDLINEのデータベース検索、定性的および定量的評価)。
結果
631件のマスク(手術用マスク273件、繊維製マスク228件、N95マスク130件)における含有量および/または放出量を評価した24件の研究が含まれた(実験時間17分~15日)。ほとんどの研究(63%)では、マイクロプラスチックおよびナノプラスチック(MPsおよびNPs)の放出が多く、揮発性有機化合物(VOCs)、キシレン、アクロレイン、過/ポリフルオロアルキル物質(PFAS)、フタル酸エステル類(ジ(2-エチルヘキシル)-フタル酸エステル、DEHPを含む)、鉛、カドミウム、コバルト、銅、鉛、酸化チタン(TiO2)についても基準を超えるという憂慮すべき結果が示された。
考察
もちろん、マスクは私たちが呼吸する空気から、より大きなゴミやプラスチック粒子、繊維をろ過するものであり、特定の効能がある。用途によっては、リスク・ベネフィット分析が必要である。
結論
SARS-CoV-2パンデミック期間中のマスク着用義務は、間違いなく、健康を脅かし、発がん性を持つ毒素にさらされる潜在的に有害な原因を、気道への距離がほとんどない集団レベルで追加的に生み出している。
◆有害物質
論文では以下の物質等が懸念されている。
4.1. マイクロファイバー、マイクロプラスチック、ナノプラスチック(MPsとNPs)
4.2. 有機化合物および有機汚染物質:揮発性有機化合物(VOC)全般(総VOC(TVOC)を含む
4.3. 特定有機化合物:有機リン酸エステル(OPEs)と有機リン酸系難燃剤(OPFRs)
4.4. 特定有機化合物:UV-フィルター
4.5. 特定有機化合物:フタル酸エステル類およびフタル酸エステル類(PAEs)
4.6. 特定有機化合物:多環芳香族炭化水素(PAHs)
4.7. 特定有機化合物:パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)
4.8. 酸化チタンを含む微量元素と(重)金属
◆所感
私のnote記事としてMP(マイクロプラスチック)の論文はちょっと前に2種類取り上げたが、あまり良い研究ではなかったように思う。今回取り上げられていた論文をひとつ見てみたが『フラスコ内に水とマスクを入れ振動させて分離したMP』を測定しており、通常使用とは明らかに異なる条件だった。
TVOCについては過去に自ら測定したことがあるが、3種すべてで検出出来なかった。論文を見る限り日本におけるJIS等一定の品質が保証されたものが対象に出来ているのかは謎。粗悪品や子ども向けの着色がされたものはリスクの可能性があると思うが、すべてが危険だとは言えない。
PFASについては最近私が取り上げた論文と同じものが引用されていたが、リスクを大きく見た場合の数字を出しており、マスクの種類についても細かく書かれていない。検出はガスクロマトグラフィーによるものなので、吸引量の推定値に説得力は無いように思う。
重金属についてもひとつ見てみたが、生理食塩水に6時間漬ける、掃除機で15分吸引するという極端な条件での結果に基づくものであった。
◇◇◇
総合してマスクの有害性をアピールする内容だが、引用された個々の論文がどのように取り上げられているか注意が必要だ。誤りではないだろうが精査は必要だろう。
専門家の評価が欲しいところだが、私が見たものはすべて『通常使用に近い条件による検出』とは思えなかったので極端な例の可能性がある。(ただし、すべては確認していない。)
◆おわりに
この論文はマスクで注目されている有害物質を知るためには有益で、論文リンクも豊富なので便利だ。
しかし、極端な情報の選択により『総体としてのマスクが有害』という印象を形成しているように私には見えた。このような方法による意図として『マスクのリスクをアピールする』があるとしたら逆効果に思える。精度の高い分析を期待したい。
なお、日本におけるマスクの安全性についてはJIS規格が定められている。メジャーな不織布マスクは多くが適合しているはずだが、気になる方は『JIS T9001 または 9002』の適合品であることをパッケージで確認し購入すると良いだろう。
マスクはTPOで有効活用したいものである。
[2024.05.18 追記]
今回の記事であまり確認できなかったフタル酸エステル等についても確認してみました。以下記事にまとめましたのでよろしければどうぞ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?