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茶葉は待ってくれない

森の開墾プロジェクト記録:7日目

開いた森の一部に小屋を建てるためにアカマツが用意されたとメッセージが届いた。樹皮が赤くなることから名付けられたあのアカマツだ。そして「気高さ、気品」という花言葉をもつ "あの" アカマツでもある。
腕のいいフレンチシェフではあるが、気品とはちょっと遠い森の夫妻は皮むきの終わったアカマツをしっかりと眠らせるために、昨年、麓の材木屋さんにアカマツを丸ごと預けていた。それが今回の小屋作業のタイミングに合わせて森に届けられたようだ。

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切り倒して、皮むきをして、眠らせるためにどデカイ木を丸ごと預けるという感覚が自分にはなかったので正直戸惑った。そして驚くことにこのアカマツたちの中には樹齢103年モノなんてのもあるらしく、なんだか重みのある話しになってきたけど、アカマツ材と小屋については次回以降のレポートでやることにしようと思う。

さて本題に戻ろう。「今日、森の小屋に使うためにひいてもらったアカマツが届いた」というメッセージを着信し、おっ、何が始まるんだ?とワクワクしていたら、
「でも茶葉は待ってくれないの。私は紅茶づくりです」って。。。何とも急な展開に。そういえば森の夫妻は自分たちの飲むお茶も育てていて、それを自由が丘のお店でハーブティーとしても出していることを思い出した。
立春から数えて88日目(夏も近づく八十八夜♩)が茶摘みに最適な時期と考えると、今日はアカマツではなく茶摘みに待った無しの日なんだろう。そもそもお茶の栽培 = 日本茶をすぐにイメージしてしまうけども、そもそも同じ茶葉から紅茶がどうやって作られるのか?知りたい衝動に駆られ、テキストの往来が始まった。
森の夫妻が作るお茶は、神々が棲む谷・遠山郷で自然栽培された、手摘みきざわ茶と言われる、やぶきたと在来種の茶葉。

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紅茶とは違い、日本茶は発酵しないように、摘んでからすぐに蒸す。違いはほぼそこだけですというシンプルな回答がすぐに返ってくる。あとは、日本茶の最終仕上げの方が紅茶よりも手間はかかっていて、葉に含まれている水分を指先や手でしっかりと感じながら、ゆっくりと揉み乾かすという大事な最終行程を熟練茶師によって行われるということもわかった。

対して、森の夫妻が想いを込めて作る紅茶の方は、
摘んでから一晩萎凋させて水分を飛ばし、揉んで傷をつけながら、水分を出して発酵を促す。葉の状態をみながら、2回ほど繰り返してから発酵させるために箱の中で眠らせ、ここでも揉み出しながら、水分を出しながら2時間くらいかけて整え、茶葉から「もういいよー!」って返ってきたら(もの凄い感覚的な表現ですが....)しばらく休ませ、熟成に入り、1週間もすると美味しい茶葉になるらしい。

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できた紅茶の茶葉は水出ししても砂糖が入ってるの?と疑いたくなるくらい豊かな自然の甘みをたっぷり感じるものらしく、それを今すぐ飲めないこの状況に少しジレンマを感じながらも、そう遠くはないいつか、夫妻の森を訪れる時に確かめてみようと思う。

アカマツから始まって、日本茶、紅茶へと転がっていった一連のやりとりを終えたと思ったら、最後に森の夫妻から「いよいよ水道工事が始まるんだ」という、これまた壮大な何かを予感させるワードが放たれ、ドキドキさせられて終わる感じの居心地の良さ?悪さ?が何だかなぁと。でも彼らの言う「水道工事」は単なる工事でないのは容易に想像がつく。家に水道業者がやって来てキュッキュッなんて締める作業なんかではないだろうと.....

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