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2021/2/6 群馬交響楽団クラシック・スペシャル ラフ2

行ってまいりました、桐生まで。まさかね、自分がクラシックのコンサートの追っかけをやる人生を送るとは思いもよりませんでしたよ(笑)

最寄り駅に集合して、私が運転する車で数人のかてぃんずさんたちとの桐生ツアー♪ そんなに車の運転に自信があるわけではないのですが、群馬にはボーイスカウトの資材車として行ったこともあるから、きっと大丈夫。そして何より、数少ない、角野隼斗さんにできなくて私にできること! なかば意地で運転して行ってやる!と(笑)。換気をしながら1時間半程度の道のりを楽しんで行きました。リアルかてぃんずさんたちとお会いできるようになってからまだ4回目だけど、一緒に遠足まで楽しめるなんて、ありがたいなぁ~。

会場入口には「美喜仁桐生文化会館」と書いてあります。「桐生市市民文化会館 ”シルクホール”」じゃないんだ? 読み方もよくわからないし、なんだか複雑?と思い調べてみると、お寿司屋さんのネーミングライツなんですね~(ちなみに「ビキニ」と読むらしいです)。ソーシャルディスタンスを保った整列に、消毒、検温、体調のチェックと連絡先の提出(もちろんそのための記入スペースも設置)を、うまく列を誘導しながらスムーズに行っていらして、はっきりいってコロナ対策として、いままで私が体験した施設の中で、いちばん完璧でした!!(私も施設管理の仕事をしたことがあるので、これがどれだけ大変なことかわかります)。「コロナなんかに文化の火を消させてたまるか!」という気概を感じました。本当に素晴らしかったです。

今回は緊急事態宣言下でのコンサート開催ということもあり、身近なかてぃんずさんの中にも何人も、参加を諦めた人がいました。またせっかく行くのに、誰にも会わず話さず、コンサートの感動を分かち合うこともできずに、まっすぐ行って帰った人も。。桐生市市民文化会館さんは、これだけしっかりコロナ対策を取っていることを、もっと宣伝していいと思う!! 他に類を見ないくらいの素晴らしい対策を取っていらっしゃいましたよ、本当に。これなら観客として、安心してコンサートに行けます。ロビーに ”HAYATOSM” が流れていたり、物販があったのも嬉しかったなあ(手描きのPOPは見過ごしてしまいました!残念)。

座席は、なんと実質2列目! かぶりつき席で見せていただくことができました…本当に感謝です。指揮の藤岡幸夫マエストロは、往年の映画俳優のようにとてもダンディー。エネルギッシュで観客を楽しませようというサービス精神にあふれた方でした。1曲目「チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ」が、華やかなファンファーレのように鳴り響きました。

ピアノが中央に運び込まれ、2曲目は「ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18」…。角野隼斗という音楽家を誕生させるきっかけとなった、PTNA特級グランプリを取った時に演奏した、言うまでもなく美しくエモーショナルな曲。もちろんタオルの準備も万全で臨みました。

《第一楽章》 第一音は、かつてないほどひそやかなピアニッシモから始まりました。が、ステージに近い席だったからか、低音の響きが豊かで重厚!! ズーンとただ体に響くというよりは、樹齢100年を越えた一枚板の、磨き上げられた黄金色の美しい木目のような音が立ち上がってくるようで、本当に豊かで深みのある低音が感動的でした(夫に言わせれば、ステージの板が素晴らしいのではないかとのこと)。迫力がすごい。そしてオケとの一体感がハンパない。藤岡マエストロがとても素晴らしくリードしてくださっているのがわかります。

《第二楽章》 もう、歌、でした。優しくて吐息のまじる、せつなく甘い歌声…。PTNAの演奏が平板に聴こえるほど!! きっとピアニカのスキルを磨いてきたことも素晴らしい効果があるんだろうなあ。私の席から表情は見えませんでしたが、指が、何度もビブラートをかけていました。ピアノの鍵盤では(さすがの角野さんでも)音色に影響ないはずなのに、バイオリンの弦を押さえるように、鍵盤を押してから左右に揺らしている(小曽根さんもやってましたね)。また、オケがピアノの音に乗る、そのフィット感が絶妙すぎました!! ピアノとフルート。そこにクラリネット。さらにストリングスが加わっていく。なんというか、虹のように音が重なっていくのです。色が一部スーッと混じるほどフィットしながらも、けっして濁らず寄り添っていって、美しい虹のアーチが次々に描かれていくように…。もちろんタオルを握りしめ、涙腺は崩壊しっぱなし。友人のすすり泣きも響いてました。

《第三楽章》ああもう、第三楽章がはじまってしまった…。驚いたのは、静かなシンバルで鼓舞されながら上行していって、トレモロになる部分。トレモロを弾くとき、ペダルもトレモロ並みに恐ろしく細かく踏んでるんですね! 角野さんの生演奏を聴いたのは4回目、グランドピアノは3回目、オケとの共演が2回目という私ですが、こんなに間近でグランドピアノの演奏見たのは初めてだったので、あの精妙すぎるピアノは、こんなにも細密なコントロールを重ねて生み出されているのかと、改めて心打たれました。まさか足でもトレモロしているとは! そして運命のクライマックスは(PTNA演奏で言えば34:30の部分)……ドンピシャだった!!! 横に座っていらした、何度も角野さんのラフ2を生で聞いているかてぃんず諸先輩方が、そろいもそろって両手ガッツポーズ!! 私も、うわぁぁぁぁと声が出そうなのを必死にこらえました。

そして曲が終わり、前2列でみんなで掲げるBRAVO看板がマジで嬉しい(じゅっちゃん今回もありがとー!)。だいぶ慣れてきたので(笑)、スタオベして、BRAVO看板掲げつつ拍手をするのも、上手になってきました(BRAVO看板入れるクリアファイルは必携です)。

初めて聴いた、角野さんの「ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18」。本当に素晴らしかったです。でも、まだまだいけそうな気がする…!! 素晴らしかったけど、でも歴史に残る名演奏というまでには、もう少し先にお楽しみが残っている、そんな期待の予感もする演奏でした。

万雷の拍手とBRAVO看板に迎えられて、「きらきら星変奏曲」のアンコールも嬉しかった。「もう一曲だけ弾きますから」と言わんばかりに、指一本立てて私たちを黙らせる男、角野隼斗。カッコイイかよ!

3曲目「チャイコフスキー/交響曲第5番 ホ短調作品64」。申し訳ないのですが、出発ギリギリまで頭の中が「ラプソディー・イン・ブルー」だったもので、ちっとも予習ができず初聴でした。50分ある大曲ですが、でも途中で飽きることが全然なかった! 

群馬交響楽団さま、本当に期待以上だったんですよ! 初めて知りましたが、戦後すぐに設立された、日本の地方管弦楽団の草分け的存在なんですね。コンサートマスターが女性なのも、「のだめ」で知識だけはあったけれどリアルでは初めてでした(ちなみに”コンサートミストレス”という言い方は、MistressがMasterのシンプルな女性版…とは残念ながらならず、愛人や情婦といった意味もあるため、海外ではあまり使われない言い方だそうです)。そして、皆さんとても楽しそうにのびのびと演奏していらっしゃる!Twitterで、一緒に行った友人が「あの楽器の人知ってる、接骨院が同じ」と言っていたという話を見たけれど(笑)、地方管弦楽団ならではのローカルさで、きっとメンバーそれぞれが、このコロナ禍の中で苦労しながら、子育てしたりご飯作ったりしながら練習を重ねて、今日という本番を迎えたんだな、と(なにせステージが近く、おひとりおひとりのお顔もよく見えたので)、背景まで感じられて、胸を打つものがありました。

藤岡幸夫マエストロがMCで「角野さんファンは、ラフマニノフが終わったら帰っちゃうのかと思ったら、帰らず聴いてくださって、BRAVO看板まで上げてありがとうございます」とおっしゃっていましたが…、角野さんの演奏が終わったら帰るなんて、そんなまさか、ありえないですよ!! そんな失礼なことをする、かてぃんずではありません(笑)そして別にお世辞などではなく、ひとりひとりの生き生きとした演奏のすばらしさが際立ちながらも、全体として仲の良さが感じられる、ブイヤベースのような? 味わい深い、素敵なオーケストラが群馬交響楽団さんでした。これからもぜひ応援したいです。桐生まで行って良かった!! 角野隼斗さん、藤岡幸夫マエストロ、群馬交響楽団さん、ご一緒してくださった、また会場でお会いできたかてぃんずの皆さま、本当にありがとうございました!

(末筆ながら、ひとつ角野さんに小声でお伝えしたいことが……。タキシード、ぜひオーダーで新調してほしい…。もう少し体のラインに合ったタキシードだったら、カッコよさがさらに8810倍増しですよ!! マジでホース係さんならぬ担架係が必要になるレベルですよ、もったいないですぅ~) 

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