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2022年 マジカミ未来予想小論文

1:本小論文の目的


 本論文においては「マジカミ」及び「アイ・アム・マジカミ」のメインストーリーおよびXenoscrypto( https://xeno.mgcm.studio/ )における各設定を確認し、しかるのちそれを解釈する。最終的な目標は、各設定に反することのない範囲で「アイ・アム・マジカミ第3部第5章 ハラジュクトワイライト」以降の展開を予想することである。

2:アイ・アム・マジカミ第4章における勢力図


 本章においては、アイ・アム・マジカミの第4章の時点における登場人物と、それら人物の所属する組織ないしシステムについて確認を行う。項目は大別して4つ。魔法少女達が属する「カミサマンシステム」、七魔王と霊帝ベアトリスが属する「エレボス」、両勢力に関係を持つ「ヴィヴィアン」、全ての勢力に環境として関わりを持つ「黴体生物」。各項目でそれぞれの勢力・システムについてメインストーリー・Xenoscyptoの記述を基に構成要素と特記事項を確認していく。
 以降、本稿3章において悪魔の発生原理とその知性について、確認と考察を行う。その後、本稿4章において「アイ・アム・マジカミ第3部第5章」以降に起こる出来事の予想を行う。
 本項以降は網羅的に事項を確認していくため、結論を確認するのみの場合は5章のまとめを読まれたい。


2-1-1:カミサマンシステム


 「カミサマンシステム」は現状においては製作者の判明していないシステムである。
 プレイヤーの視点から確認できるシステムと関わりのあるハードウェアは、オムニスフィア、コムニス、カミサマン、コンソールルーム(=白い部屋)、執行者がオムニスフィアにリンクするためのPC、カミサマンがオムニスフィアの修復やシステムの復旧に用いる何か(キーボード等の入力機器を持つと予想される)等。
 その他に、外部よりハッキングされた『サーバー』が存在していると言及されている。

 この内、「オムニスフィアシステム」と「デュナミスフィア」はカミサマンシステムに包括されるサブセットであることが明示されている。
 「オムニスフィアシステム」は執行者とオムニスフィアをコンソールルームに設置してあるPCを用いて『リンク』し、執行者と魔法少女のコミュニケーションの媒介となるインターフェースであり、カミサマンシステムの外部端末である。移動や動作、マジカミ第2部にて発生した量とびおがオムニスフィアにリンクした後に白い部屋に戻れなくなる現象、Omnisphere ver2.0以降から搭載された感覚系の補完による執行者へのフィードバックから鑑みて、PCに接続されているキーボードやマウス等の入力端末による手動操作とは考えづらい。執行者の主観的意識をアバターへ転送していると考えるのが妥当である。
 オムニスフィアのボディは魔法少女・悪魔・黴体生物との接触は可能であるが、その他の物質をすり抜ける特性を持つ。素材として黒体ないしブラックリキッドないし不確定性転換導体と呼ばれる物が用いられており、ヴィヴィアンより「物理アバター」呼ばれることから少なくとも物理的なボディであると予想される。オムニスフィアシステムのインストールされていないボディは素体と呼ばれ区別されているため、ブラックリキッドがそのものオムニスフィアであるわけではない。
 なお、第3部第3章第4話のアウァリンの言によれば、ブラックリキッドを何らかの生体に注入すると、その生体は即座に爆発四散し、その組織の一部が変容を起こすとのこと。アウァリンはこれを生体を構成する物質とブラックリキッドが急激かつ破壊的な反応を示すためであると予想している。
 マジカミ第1部第2章第1話にてオムニスフィアを経由して魔法少女に適切な範囲での魔力を供給する機能が、アイ・アム・マジカミ第1章第5部1話にてオムニスフィアに別の可能性への干渉・魔法少女の戦闘一部サポートが機能として挙げられているため、カミサマンシステムにおけるオムニスフィアの主たる運用目的は魔法少女のカミサマンシステムへの接続。副次的な運用目的として魔力と変身機能の提供・戦闘支援があると目される。可能性への干渉がオムニスフィアの機能であることはカミサマンの発言により明らかにされているが、マジカミ第1部で「可能性を引き寄せる力」と呼ばれた能力がオムニスフィアに依るものか執行者由来のものかは不明。
 その他特性として、マジカミ第1部第7章2話にて「オムニスも『存在』の枠から外れているわ」とカミサマンに言及されており、カミサマンシステムによるIDの重複が許容されている、またはカミサマンシステムによるIDの付与が行われていない、またはIDを付与した人間として扱われていない等の特別な処理が予想される。
 ver2.0以降のオムニスフィアのアップデートは、ストックされていたボディに新しい機能を加えたヴィヴィアンに依る所が多いと見え、追加された魔法少女支援機能・獣化解放機能・七魔王の魔法少女としてのアクティベーション等が本来の運用方法であるか否かは不明。
 マジカミ第1章第0部1話の起動シークエンスから英字の名称として「Omnisphare」が用いられていることが分かり、同話のカミサマンの発言より「全ての・万能の」を表す接頭語である「Omni」と「球・圏・天体」を示す「sphare」を掛け合わせたものではないかと予想される。余談ではあるが、素体を構成する「黒体」も量子力学の基礎に関わる思考実験で想定される物体であり、オムニスフィアがマジカミ、アイ・アム・マジカミを通して重要なギミックである量子論に関わる存在であると考えることも可能である。

 「デュナミスフィア」の詳細はXenoscryptoに記述があるため、これを参照する( https://xeno.mgcm.studio/magicami/dynamisphere/ )。
 メインスストーリーでの活用方法を鑑みるに、魔法魔法少女のアクティベーション・拾得したドレスのリポジトリへの保管・魔法少女の変身・ユラギ感知による悪魔発見通知・ユラギ感知による地図描画等、魔法少女の支援を目的とするシステムであると予想される。魔法少女の候補となった人物のスマートフォン上にアプリケーションとしてダウンロードされ、該当する端末から消去しても自動的に復旧する。通常の電波が到達しないと予想される位置に魔法少女候補者が移動してもデュナミスフィアを経由した通信は確保される等の特徴を持つ。
 英字による表記は「Dynamisphere」であり、「能力・可能態・潜勢態」の意味を持つ「Dynamis」と「球・圏・天体」を示す「sphare」を掛け合わせたものと予想する。

 「カミサマン」はカミサマンシステムの管理者であると予想される。障害発生時の復旧の手腕、保有する知識量に限界があるという描写から鑑みて、システム開発者ではなく、あくまでシステムアドミニストレータとしての管理者であると予想される。
 マジカミ第1部第1章1話にて複数回量とびおをオムニスとして送り出している旨の発言をしており、第1部第0章第1話の時点から長い時間が経過している、あるいは複数の平行世界で同時並行的に複数の量とびおを送り出している可能性が高い。また、それは同時に量とびおが複数存在していることを示唆している。 
 マジカミ、アイ・アム・マジカミのストーリー上でカミサマンとして活動している人物は、マジカミ第1章0部1話にて「沙奈」と名前が表記されている。沙奈はマジカミ第1部第12章6話にて量とびおの妹であることが示唆されているが、アイ・アム・マジカミ第1部第1章第3話にて、自らがカミサマンを担当することになった経緯を思い出すことができない様子が描写されているため、マジカミ第1章0部1話以降のカミサマンは沙奈であった頃の記憶の一部を喪失している、あるいはカミサマンシステムに関連する一部の記憶を喪失している可能性が考えられる。
 メインストーリー冒頭から鑑みるに絵心はないものと予想される。
 「いさな」という名前の同音の言葉としては「勇魚」が存在する。意味する所は「鯨」である。「鯨魚取り(いさなとり)」は海や浜にかかる枕詞であり、古くは万葉集に「鯨魚取り近江の海を沖放けて漕ぎ来る船辺付きて」「鯨魚取り海や死にする山や死にする死ぬれこそ海は潮干ひて山は枯れすれ」「鯨魚取り淡海の海を沖放けて漕ぎ来る船辺附きて漕ぎ来る船沖つ櫂いたくな撥ねそ辺っ櫂いたくな撥ねそ若草の夫の思ふ鳥立つ」等など、複数の詩が詠まれている。マジカミにおける名前の由来は不明。アーサー王伝説に於いて「漁夫王」は「いさなとりのおう」と呼ばうが、量子と漁師の関連性は全くを以て不明である。

  これらオムニスフィア・デュナミスフィア・カミサマンを包括して稼働するシステムが「カミサマンシステム」である。
 その目的は、マジカミ第1部第11章第1話において、カミサマンによって「人間の『願いの力』で無尽蔵に増え続けていく可能性をまとめ直す為の仕組み」であると説明されている。
  また、第1部第10章第1話における量とびおとカミサマンの会話を見る限り、カミサマンシステムは悪魔を退治するために作られたシステムではなく、執行者対執行者によるサバトを行うために作られたシステムであるとも解釈することができる。
 マジカミ第2部第12章第7話にてヴィヴィアンはこれを「あななたちを守る防壁……安定のために選別を続ける、最悪の揺り籠」と称している。
 アイ・アム・マジカミ第2部第3章第3話のカミサマンの言及により、魔法少女がいる世界はシステムに『登録レジストレーション』され、『登録』された世界はカミサマンによる『追跡トレース』を受けることが判明している。また同話にてカミサマンシステムの管理下にある世界においてはバカアワビの検知が可能であることも判明している。
 また『登録』された世界の人間には、カミサマンシステムよりIDが付与され、同一の世界に同一のIDが存在することがないとされる。マジカミ第2部第7章第1話のヴィヴィアンの言によれば、管理下の人間のIDに空きが発生し矛盾が生じた場合、該当する可能性より運命力が劣る可能性から『同一人物』のIDを抽出し、欠損したIDに対して人物と周辺環境を補填する形で並行世界同士をマージさせると説明がされている。
 第1部第12章第6話よりサバトは「無数の可能性の中から、最も強い運命力を持つものを選び出す」ものとされており「そのために用意した希望の蟲毒」「その勝者は次代のカミになる運命に有り、世界を書き換える。旧きカミを殺して」とされている。なお2022年12月4日の時点でゲームとしてのサバトはシーズン6に到達した。
 マジカミ第1章第0部1話の起動シークエンスから可能性を魔法に変換(または符号化か暗号化)していることが分かる。この際「DGSYS」というファイルが実行されている様子が伺えるが、アイ・アム・マジカミ第3部第4章第8話の時点までファイル名の意味・ファイルの内容は判明していない。プログラムにおける命名法則上、「DG」という頭字語を持つ何某かのシステムファイルではないかと思われるが詳細は不明である。
 作中の描写により、高水準言語によるプログラミングで製作されている(又はそれに類する方式で製作・稼働している)ことが理解できる。予め規定されたコマンドによって内臓されたプログラムを実行する形式はノイマン型コンピュータのフォーマットに則っている。即ち、カミサマンシステムが自然発生的なシステムではなく、何者かが目的を持って構築した人為的なシステムであると予想ができる。

 2-1-2:魔法少女

 魔法少女は「遊部いろは」「朝永花織」「袖城セイラ」「百波瀬ここあ」「東山陽彩」「大鳥蒼」「大鳥丹」「雪船エリザ」「槍水りり」「環はなび」「丘田マリアンヌ」「及川依子」の12人を指す。
 各魔法少女の詳細はXenoscrypto( https://xeno.mgcm.studio/category/magicami/character_m/magicalgirl/ )を参照する。
 第1部第12章第6話のカミサマンの言によれば、執行者の『最愛の人』になる可能性を秘めた人物で構成されており、サバトを勝ち抜いた末には執行者より『最善の可能性』を託されて次期カミサマンになる対象者である。アイ・アム・マジカミ第3章第4部第1話のアウァリンの言によれば「我輩が知る限り、かの世界の魔法少女は12人。それ以上でも以下でもないはずだからね」とあり、少なくとも渋谷侵略を受けた世界線の魔法少女は上記12人のみで構成されているべきものであると推測される。(「以上でも以下でもない」という言い回しは「それそのものであり、過不足なくそれである」という意味として解釈する)
 魔法少女はそれぞれデュナミスフィアによってカミサマンシステムに繋がっており、マジカミ第1部0章1話の起動シークエンスとアイ・アム・マジカミ第1章1部1話の起動シークエンスでは、Dynamisphereのリンク数が異なっていることからそれが伺える。
 マジカミ第1部第6章の間に「朝永花織」「袖城セイラ」「百波瀬ここあ」「槍水りり」は繰り返し死亡・他世界線とのマージを繰り返しているが、存在としての同一性はアイ・アム・マジカミ第3部第4章第8話まで問題なく継続しており揺らいだ描写はない。
 「遊部いろは」に関しては、第1章第1部第0話の時点の存在は後述するネメシスと化しており、以降は他世界線よりマージされた存在がマジカミ第1部第6章までの間で死亡・マージを繰り返している。
 「東山陽彩」はマジカミ第1部第1章第3話の時点で悪魔によって捕食されていると目されており、他世界線から存在がマージされた状態でストーリーに登場している。プレイヤーが観測している時間軸においてオリジナルと明確にされている存在は、少なくともメインストーリー上では明確にされていない。

 プレイヤーの観測するメインストーリーにおいて、上記魔法少女の同位体である並行世界の魔法少女については下記に列挙する。

「ネメシス」
 プレイヤーが観測する「遊部いろは」と同一IDを持つ「遊部いろは」であり、プレイヤーがマジカミ第1章第1部第0話からマジカミ第1部1第第4章まで観測していた「遊部いろは」そのものである。
 第1部第5章第1話以降の「遊部いろは」はオムニスフィアによってマージされた異なる並行世界の「遊部いろは」であり、現在プレイヤーが観測しているストーリーの時間軸におけるオリジナルの「遊部いろは」が現在のネメシスであると言える。ややこしい。
 アイ・アム・マジカミ第1部第第7章第5話にて泡沫空間バブルスペースに囚われた「遊部いろは」に力を与え、脱出に力を貸したのがルクスリアであることがルクスリア当人の弁で確認されている。
 マジカミ第2部第11章第7話にて初めて姿を現し、マジカミ第2部終章第3話にてヴィヴィアンの攻撃を受け、アイ・アム・マジカミ第1部第1章第1話にて死亡。アイ・アム・マジカミ第1部第1章第5話にネメシスの身体に遊部いろはの精神を入れることによって遊部いろはと共に復活した。以降、ネメシスの身体において遊部いろはの精神が主体となって生活し、要所でネメシスの精神が目覚める形で活動している。
 この際、死亡した遊部いろはの身体はヴィヴィアンによって焼却されている。またヴィヴィアンは「まさかこっちの身体で復活するとは思わなかったかれどね」と発言しており、その言葉を額面通りに解釈すれば、復活まではヴィヴィアンの想定通りであったが、ネメシスの身体で蘇生することは想定外であったと理解することができる。
 アイ・アム・マジカミ第3部第3章第5話において、魔法少女達が変異サカサミカドニクボウによって部屋に閉じ込められた際、ルクスリアから与えられた力で変身していると発言し、実際に「Ultimate Magicaいろは」に変身した後「いろはパーンチ」で変異サカサミカドニクボウを壁ごと一息に破壊している。この際、既にオムニスフィアとの接続が切れているとも発言した。
 現在進行形で物語に関わるキャラクターである。

「りりぴょん」
 マジカミ第2部第1章第1話に登場した「槍水りり」と同一IDを持つ存在。プレイヤーが観測する世界線の槍水りりとは性格が異なり、非常に大人しく引っ込み思案である。容姿においても、頭髪がストレートのロングヘア―となっており、これはプレイヤーの観測する世界線の槍水りりがパーマをかけることでドリルヘアーを維持しているのか、りりぴょんがストレートパーマをかけているのかは不明である。
 マジカミ第2部第4章第6話にて死亡。残された遺体は運命力を失いクローズした世界の崩壊に巻き込まれたものと思われる。初期で死亡したキャラクターであるため、何某かの役割を担って再登場する可能性は否めないが、その可能性を考慮に入れるには材料に乏しい。そのため、りりぴょんがりりぴょんとして今後のストーリーの展開に再登場する可能性は極めて低いと見積もることとする。

「イコ」
 マジカミ第2部第5章第2話にて登場した「及川依子」の平行世界の存在。イコの居る世界は魔法少女の存在しない並行世界であったためカミサマンシステムに『登録』されておらず、カミサマンシステムによるIDが付与されていない。このため及川依子とイコが同一の世界に存在していても問題は発生しなかった。
 及川依子とは性格が異なり、落ち着きがあり丁寧な言葉遣いをする。一方、他人を尊重し過ぎるきらいがあり、歌姫として身を立てて町を出る夢を諦めて水神への生贄になることを受け入れていた。マジカミ第2部第5章第5話において水神が倒されたことで生贄になる必要がなくなり、及川依子に「次、夢を諦めようとかぬかしよったら、そんときゃそのカワイイ顔を殴るけんのぉ? 覚悟しとけや♪」と言われ「……はい! 殴られないように、頑張ります!」と再び夢を志すことを表明した。
 アイ・アム・マジカミ第1部第8章第5話にて、及川依子が巨大攻性黴体生物に攻撃を受け気絶した際、及川依子の精神世界に現れ「依子さんは自分の言ったことに責任も持てないクソ野郎みたいなので、私が代わりに殴ってあげようかと♪」と笑顔で登場した。この時登場したのがイコ本人であったのか、及川依子の想像であったのかは不明であるが、物語論上の成長の過程として正しい描写であるため深く追求する必要性はないものと判断する。
 アイ・アム・マジカミ第2部第2章第6話にてバカアワビから登場し、魔王ネビロスから世界を救うために魔法少女の助力を求め渋谷を訪れた。アイ・アム・マジカミ第2部第5章第4話でモモアワビを使用し、魔法少女と共に自身の世界線へと帰還。アイアム・マジカミ第2部第6章第6話にてマリオンと共に浮遊城の喪失を見届けた。
 物語上の役割として現時点では重要な位置を占めていないため、今後の展開如何では何某かの役割を追う可能性は否定できないが、イコがエレボスへ移動するための手段は皆無に等しく、その必要性を感じることができない。そのため現時点で今後のストーリーの展開を推測する分には考慮に入れずに考えて良いものと判断する。

「マリオン・コリーヌ・アンヌ」
 マジカミ第2部第6章第1話にて登場した「丘田マリアンヌ」の平行世界の存在。イコと同じ原理により、丘田マリアンヌとマリオンが同一の世界に存在していても問題は発生しなかった。
 丘田マリアンヌよりも大人びた性格をしており、マリオン特殊錬金工学研究所の所長を務めているため、少なくとも精神的年齢は丘田マリアンヌよりも大幅に上である。未亡人。トバルディスという男性と婚姻関係またはそれに類する状態にあり同棲もしていたが、トバルディスは魔獣退治の際に死亡したものとされている。アイ・アム・マジカミ第2部第6章第2話に登場したトバルディスの頭髪のシルエットから推測するに、トバルディスがこの並行世界における量とびおである可能性が高い。
 物語上、丘田マリアンヌの平行世界の同位体であり飛行船オムオム号の開発者という役割を全うし、配偶者のトバルディスの意思を理解し前進するという描写がなされているため、現時点でキャラクターとしてある程度完成されているものと推測する。そのため、直近で新たな役割を担って再登場するとは考え難く、現時点で今後のストーリーを推測する分には考慮に入れずに考えて良いものと判断する。

2-2-1:エレボスの悪魔

 エレボスは並行世界の内でも特定の魔界である『魔界エレボス』を指す。
 メインストーリーにおいては、並行世界の内でも黴体生物が多く繁殖し、土地の多くを覆っているものを魔界と総称しているが、魔界エレボスはその中でも特定の世界線であるとされている。
 また、エレボスは特定の地域の名称でもあり、過去には『巨獣ネフィリム』の縄張りである禁足地エレボスとして存在し、現在は縦横数十キロに及ぶ黴体生物の上に広がる悪魔の作り出した都市としてその名称が使われている。都市としてのエレボスは、都市部郊外に広がり棄民の住まう『巨獣の骸路』、都市の外郭を為す断崖絶壁『奇貌の懸崖』、最下層・下層・中層・上層・最上層に分かれた市街部、エレボスの中心に存在し霊帝ベアトリスの座する『天守キープタワー』という城下町型の構造を取る。最下層にはあらゆる澱が降り積もる『汚泥の海』が広がっているとされるが、汚泥の海の詳細はアイ・アム・マジカミ第3部第4章第8話の時点では不明である。アイ・アム・マジカミ第3部第1章第3話において、東山陽彩は「都市エレボスの存在する黴体生物の台地が複数個体で構成されておらず、単一の個体によるものではないか」という想像を行い、興味をそそられると同時に恐怖を感じている。
 アイ・アム・マジカミ第3部第4章第1話の回想を見る限り、過去の禁足地エレボスには悪魔の種族毎に異なる言い伝えが存在しており、魔牛モレク族においては「禁足地にはものスゴい力が眠ってるらしい」、魔龍レヴィアタン族においては「流星が降った地」、ルクスリアの属する種族においては「雷鳴と共に強大なものが降臨した」とされている。
 メインストーリーにおけるエレボスの悪魔は、皇帝・七魔王・辺境警備隊・皇宮騎士団・奉仕種サービター等の区分が存在している。この内、皇帝・七魔王に属さないものを本項において列挙する。

「黒燐扇」「白燐扇」
 色欲の王ルクスリア・ザ・ラストに使える悪魔。アイ・アム・マジカミ第1部第4章第6話にてインウィディアより奉仕種サービターと明言される。
 メインストーリーおよびイベントストーリー・ドレスストーリーにおいて常に二人一組で活動している。主であるルクスリアの無聊を慰めるため、並行世界の魔法少女の意識に影響を与え、そこから発生した可能性を観測していた様子が各イベントやドレスストーリーで描写されていた。
 アイ・アム・マジカミ第1部第第9章第2話において、魔法少女達に同道していたコクリとハクリに対し、ヴィヴィアンより「あら、しもべちゃんたちも一緒なのね。ふうん、なかなか馴染んでいるじゃない。まるで昔からの仲間みたいに……」と揶揄がなされている。

「パシリ」
 アイ・アム・マジカミ第3部第2章第3話にて登場した魔界エレボスに住まう悪魔。アウァリンの命による黴体生物の採取中、採取した黴体生物を紛失してしまったところで遊部いろは、大鳥蒼、環はなび、袖城セイラに出会う。声のみの出演であり立ち絵は2022年12月10日現在では存在していない。環はなびの言によれば「なんかメイド服っぽいの」を着ているとのこと。袖城セイラによれば、メインストーリーで描写されている中でも特に自責的な人格をしている悪魔。魔法少女と問題なく会話できるレベルの日本語話者である。
 自称は「本当に名乗る権利もないゴミクズ」であり、権利がないだけであって名前は存在している様子。他人からの呼び名は「おまえ」「てめえ」「ウザイ」「死ね」だったと発言している。遊部いろはによって「パシリちゃん」と呼ばれて以降、一部の魔法少女は「パシリ」と呼びならわしている。ストーリー中で重要な位置を占める存在ではないが、DXな意味ではないセンシティブさが心をくすぐったため何となく多めに記載した。以降も活躍することに何となく大いに期待したい。

「助手」
 アイ・アム・マジカミ第3部第3第第1話にて登場したエレボスに住まう悪魔である。アウァリティア・ザ・グリードの配下であり、実験助手・家事全般の担当をしている。日本人と遜色ない受け答えのできる日本語話者であり、アウァリンの実験に携わることのできる知識、黴体生物から人間界の料理の味を再現できる料理の腕前を持つ。
 また、感情表現は豊かではないが、アウァリンに対して自らを犠牲にした時間稼ぎを提案する程の情念を有していることは特筆するべき事項である。
 アイ・アム・マジカミ第3部第4章第1話にて捨て子であることが明かされており、個体としての名前が存在していないことが語られた。魔界エレボスには『捨て子』という概念が存在し、誕生または新たに発生した悪魔を育生せずに遺棄するという概念が存在する、ひいては誕生または発生した悪魔は基本的に生みっぱなしではなく、年長者が庇護下において育成することが不文律の前提として存在している、と推測をすることが可能である。

 2-2-2:七魔王

「ルクスリア・ザ・ラスト」
 アイ・アム・マジカミ第1部第2章第7話にて登場したエレボスの七魔王にして色欲の王。アイ・アム・マジカミ第3部第3章第1話のルクスリアのセリフから世襲による3代目色欲の魔王であることがわかる。キャラクター詳細についてはXenoscrypto( https://xeno.mgcm.studio/magicami/luxuria/ )を参照する。
 エレボス出身の悪魔であるが、自称においては吸血鬼の真祖でもある。
 アイ・アム・マジカミ第では吸血する描写もあるが、メインストーリー上では魔法少女と変わらない食事を摂っている描写の方が圧倒的に多い。丘田マリアンヌの母の手料理を好物としている様子であり、血液を摂取しなくとも活動に問題はない様子。またはメインストーリーに描写されない範囲で丘田マリアンヌから血液を摂っている可能性も考えられる。メインストーリーにおいてはルクスリアの他に吸血鬼の登場がないため、吸血鬼の真祖が何を指すのか不明。
 アイ・アム・マジカミ第1章第7部第5話において「わらわが七魔王の中でも特異であること、貴様もよく知っているじゃろうて」と発言しており、ルクスリアが何らかの特殊な出自や種族や存在である可能性が存在している。
 Xenoscryptoには

  ■■■■■■■■■から■■■された『■■■の■■』である。

と記述されており、通常の悪魔発生のプロセスとは異なる「何某かの人物・場所・物品・事象などへ、何某かの働きかけを行うことで発生した」ことを特筆するべき悪魔であることが予想される。

「グラ・ザ・グラトニー」
 アイ・アム・マジカミ第1部第5章第2話にて登場したエレボスの七魔王にして暴食の王。アイ・アム・マジカミ第3部第3章第1話のルクスリアのセリフから指名によって襲名した3代目暴食の魔王であることがわかる。先代である2代目暴食の魔王の引退理由は『ごはんの旅』に行くことになったため。
 キャラクターの詳細についてはXenoscrypto( https://xeno.mgcm.studio/magicami/gula/ )を参照する。
 エレボス出身の悪魔であり、大変に大らかな性格を有し、かつ大変に大柄な体格と大型な各部を有している。
 暴食という属性や羽の形から蠅をモチーフにした種族であることは予測可能であるが、種族の名称等は不明。その性格や食欲が種族に由来したものであるのか、グラの個性によるのかも不明である。
 及川依子・沢近芽依との交友で物語上での重要な役割を果たしており、直近の物語においてこれ以上の役割を担うことは少ないと考え、本稿目における記述は最小限に留める。
 ルクスリアと同様、Xenoscryptoにおいて

  ■■■■■■■■■から■■■された『■■■の■■』である。

と記述されている。

「インウィディア・ザ・エンヴィー」
 アイ・アム・マジカミ第1部第5章第6話にて登場したエレボスの七魔王にして嫉妬の王。アイ・アム・マジカミ第3部第3章第1話のセリフから、実力によって先代嫉妬の魔王を倒しその座に就いたことがわかる。
 キャラクターの詳細についてはXenoscrypto( https://xeno.mgcm.studio/magicami/invy/ )を参照する。(ルクスリアのURLがluxuriaであるのに対して、インウィディアのURLがinvyである辺りに本名の長さによる名称の取り扱いの悪さが伺われる)
 エレボス出身の悪魔であり、登場時は渋谷侵攻の際の指揮を執る役割として暗躍。変異サカサミカドニクボウを渋谷の地下に散布し、野良の悪魔・ルクスリア・グラの魔力を変異サカサミカドニクボウに供給して渋谷に黴体生物を発生させた。霊帝ベアトリスに盲目的忠誠を誓う人物であったが、アイ・アム・マジカミ第1部第5章第6話にて魔法少女に敗北。暴走した変異ミカドニクボウに魔力を奪われ、ヴィヴィアンの念話によって自身が霊帝ベアトリスから捨て駒にされたことを悟ったことで徐々に思考が変化していった。
 Xenoscryptoには、

  武器は魔力を装填して放つ■■■■。
  ■■■■■■からの■■を得意とする。反対に■■■■■■は苦手。
  その■■は、 ■■■■■の ■■ である『■■■■■■■■■』である。
  その■■は、七魔王筆頭の■■■■■に比する力を秘めているとされる。
  普段 ■■ を維持しているのは、強大な力を得る代わりに理性を失い、インウィディア自身が嫌悪する『知性のない■』になってしまうからである。 

と記載されており、メインストーリーの描写から推測するに「武器は魔力を装填して放つライフル。アウトレンジからの狙撃を得意とする。反対にクロスレンジは苦手。その■■は、■■■■■の■■である『■■■■■■■■■』である。その実力は、七魔王筆頭のスペルビアに比する力を秘めているとされる。普段人型を維持しているのは、強大な力を得る代わりに理性を失い、インウィディア自身が嫌悪する『知性のない獣』になってしまうからである」等の記述ではないかと思われる。正体ないし本性に関する部分は不確定な要素が多いため記述を避ける。
 アイ・アム・マジカミ第3部第1章第4話の大鳥蒼とインウィディアの会話の中で本性が魔獣であることを認めており、悪魔の種族である魔龍レヴィアタンの一族であることを明かしている。アイ・アム・マジカミ第1部第5章第6話において魔法少女に敗北した際、自身の思考の中で他人格と口論している描写がされており、人と獣の二つの人格を持ついわゆる二重人格の様なキャラクターとして描かれている。ただし、その後でそのような描写がされていないため、演出としてそう表現されただけの可能性もあるため注意が必要である。
 ルクスリア、グラと同じく、Xenoscryptoにおいて

  ■■■■■■■■■から■■■された『■■■の■■』である。

と記述されている。

「イーラ・ザ・ラス」
 アイ・アム・マジカミ第1部第5章第2話にて登場したエレボスの七魔王にして憤怒の王であり、マジカミ第1部第章第話にて登場した及川依子の後輩アイドル沢近芽依である。
 アイ・アム・マジカミ第3部第4章1話の回想より、スペルビア・ザ・プライドとは姉妹関係にあることが分かる。同回想にて「私たちの一族もガッツリ食べられちゃいましたしぃ」と発言しており、スペルビアとイーラは同じ種族に属していると予想される。
 アイ・アム・マジカミ第3部第4章第1話にいて沢近芽依が「ふうん。それってイーラが現れるはずがない・・・・・・・・・・・って知ってたからですよねぇ」と問いかけた際、アウァリティアは「その通りだよ、君ッ! なにせイーラ君は霊帝ファントムグリードベアトリスの秘密を知ってしまったのだからねッ!」と発言しているため、霊帝ベアトリスの秘密を知ったが故に逃げ出さざるを得なかったものと予想される。
 なおマジカミ第1部第9章第3話にて及川依子の後輩にあたるアイドルがカミカクシに会っているとされており、沢近芽依は魔王としての覚醒以前に悪魔に捕食されている可能性も考えられる。または描写されていないだけで、及川依子の後輩にあたるアイドルは沢近芽衣だけではない可能性も存在する。どちらの場合でもストーリーテリングにおける枝葉末節であるため捨て置いてよい事象と考える。
 また、前部である第2部において重要な役割を果たしたため、物語の構成上再び物語のカギを担うとは考え難い。そのため、本稿目における記述はこの程度に留める。

「アケーディア・ザ・スロウス」
 アイ・アム・マジカミ第3部第1章第6話にて登場したエレボスの七魔王にして怠惰の王。アイ・アム・マジカミ第3部第3章第1話のセリフからくじ引きによって怠惰の魔王を襲名したことがわかる。
 アイ・アム・マジカミ第3部第2章第6話のルクスリアの言より、アケーディアが悪魔の種族として魔牛モレク種に属していることが明かされており、生来怠惰な種族であると説明された。
 非常にものぐさ・・・・な性格をしており、アウァリティアの作成した薬剤を用いなければ積極的な活動を行わない程に徹底している。
 アイ・アム・マジカミ第3部第2章を通して袖城セイラとコミュニケーションを取り、自発的な活動の動機を獲得したが、アイ・アム・マジカミ第3部第2章第3話において百波瀬ここあが「それにディアちんも不思議なんだよね。出会って1週間なのにすっごく懐いてるし……」と述懐しており、袖城セイラとの接近に何某かの必然性を感じさせる演出となっている。
 なお、アイ・アム・マジカミ第3部第3章第5話にてアウァリティアがオムニスフィアと精神接続し、あり得たかも知れない可能性として見た夢の中では、量とびおの妹になっていた。

「アウァリティア・ザ・グリード」
 エレボスの七魔王にして強欲の王。アイ・アム・マジカミ第3部第3部第3話にて姿を現した。2022年12月10日現在において容姿の詳細を文字媒体で確認することはできないが、東山陽彩に似た体形について「我輩もこの身体を気にしていてね。仮説としては、何らかの遺伝的欠陥が――」と発言している。
 遺伝的欠陥という発言から、形質が遺伝する方法で誕生した……即ち、魔法少女の悪魔化や自然発生等の方法で誕生した悪魔ではないと考えることが可能である。それはまた同時に、エレボスの悪魔が魔法少女の悪魔化以外の方法で繁殖または発生している、という推論の飛躍を可能とする。
 特徴的なイントネーション、一般的とは言い難い思考様式と相まってオムニスフィアに「アンタ、仲間からエキセントリックなヤツって言われてるだろ……?」と問われた際には「似たようなことはよく言われるな」と返答している。
 アイ・アム・マジカミ第3部第3章第4話にて魔法少女達とオムニスフィアを捕らえ、オムニスフィアの中にあるもの――即ちオムニスフィアを操作する本体――について知るため、オムニスフィアを経由して量とびおの夢に同調し精神接続を行った。その後、劣勢に陥ったため魔法少女達に無条件降伏した。
 アウァリンはこれらの行為の動機を「未だかつてない知識への渇望を感じた」故としており、これを『愛』と解釈。「我輩は深淵に潜む『君』を愛してしまったのだッ!!」と発言している。
 新宿を黴体生物で浸食した変異サカサミカドニクボウ、辺境警備隊に随行したトビニクバサミ、エレボス上空を巡回する自爆型攻性黴体生物、ディアへ投与された特殊な薬剤、黴体生物から生成した特製メス、オムニスフィアを捕らえた透明な箱など、メインストーリー上で確認できる限りでも様々な道具・黴体生物を発明している人物である。
 なお、あり得たかも知れない可能性として見た夢の中では、量とびおの妹になっていた。
 雪船エリザの付けかけたあだ名は「アワビ」。

「スペルビア・ザ・プライド」
 アイ・アム・マジカミ第3部第4章第8話にて姿を現した、エレボスの七魔王にして傲慢の王。当代七魔王筆頭でありその実力の高さは他の魔王からも認められている。霊帝ベアトリスを守護する皇宮騎士団の団長も務めている。
 2022年12月11日においては登場から間もないためキャラクターの描写が少なく、物語の構成上直近で務められる役割も限られてくるものと推測される。アイ・アム・マジカミ第3部第4章第8話から推察する限り、個性の強い七魔王の統率に神経をすり減らしていた常識人かつ苦労人であり、物まねがうまい。心中お察しします。

 2-2-3:霊帝ベアトリス

 アイ・アム・マジカミ第1部第12章幕間にて初めて声のみ登場した。
 アイ・アム・マジカミ第3部第4章第8話において、プレイヤーに観測できる形で初めて姿を現した。大変特徴的な後頭部に流れるドリルヘアーを有しており、左側頭部に降りたおさげの先もドリルである。また、ヤギの角を誇張したかの様な巨大な角を持つ。
 魔界エレボスの統治者であり、千年年以上前の禁足地エレボスにて『巨獣』を蹂躙し、魔界エレボスを拓いた悪魔その人であるとされる。
 アイ・アム・マジカミ第3部第4章第3話において、アウァリティアが「人間のタイムスケールで千年以上昔の話だからね。美化や脚色されるのは仕方がない。だがね、初代七魔王とベアトリスの間に強い信頼関係があったのは確かではないかな」と発言している。
 その後、『巨獣』を駆逐したベアトリスは悪魔たちの求めに従ってその地に国を興し、これをエレボスと名付けた。仲間達はそれぞれの一族を率いる王となり、ベアトリスはそれに従って皇帝の座に就いたとされる。
 建国から500年程経過し初代七魔王が相次いで亡くなった頃、ベアトリスは『霊皇ファントムグリード』と名乗るようになり、エレボスを人間世界に模した国に作り変えて人間界への積極的な侵攻を開始したという。そこから数百年が経過し、七魔王が更に代替わりした頃、白い魔女ヴィヴィアンが魔界エレボスに出没しベアトリスへ接近するようになり、やがてカミサマンシステムに庇護された世界への侵攻……わけてもプレイヤーが観測する世界への大規模侵攻が開始されたとされる。
 なお、アイ・アム・マジカミ第3部第4章第2話の回想においてはインウィディアから「お前には頭脳労働が出来ないからな」と言われており、ベアトリスの代役も「てへへ、面目ない~。だけど肉体労働ならあたしに任せてよっ!」と発言している。これを百波瀬ここあは「いろはす風」と評している。この際回想に出演したキャラクターは「イーラ」「インウィディア」「ルクスリア」「グラ」「アケーディア」と「ベアトリスの代役」である。「スペルビア」と「アウァリティア」は別所で打ち合わせをしていることがセリフ内で語られているが、スペルビアを置いて打ち合わせから帰って来たのが「ベアトリスの代役」であったため、初代七魔王プルミエール「アウァリティア・ザ・グリード」が後の「霊帝ファントムグリードベアトリス」である可能性は考慮に入れておくべきである。
 ベアトリスがエレボスに日本の文化を定着させ、共通言語に日本語を採用した理由は明らかにされていないが、アウァリティアはこれを「もしかすると憧憬のようなものかも知れないが」とし、また、ベアトリスがプレイヤーが観測する世界線の渋谷を狙って大規模侵攻を仕掛けた理由を「君たちの世界に欲しいものがあるのだよ。そう、侵略してまで欲しいものがね」としている。
同話において、東山陽彩はベアトリスが手に入れたエレボス建国に関わる「未知の力」の伝承が断絶してしまっていることに着目し、その断絶こそが「力」の発現ではないかと推測を立てている。アイ・アム・マジカミ第3部第4章第7話においてベアトリスは「この余に見えぬもの、聞こえぬものなどないと言うのに……」「ふふ、余がそなたの匂いを忘れると思ってか?」と発言しており、少なくとも五感の内で視覚・聴覚・嗅覚が尋常ならざるものであることを表現する演出がなされている。
 また、この時に傍に現れたヴィヴィアンから「不義の女帝」と呼ばれている。
 余談ではあるが、ベアトリスという名前はラテン語の「viator(航海者・旅行者)」の女性系である「viatrix」を語源としているという説もある。意味する所は「旅する女」。時代が下るにつれて「beatus(幸いなる者、祝福する者)」の女性系である「beatrix(幸せにする女)」と混同されるようになり、現代の一般的名称であるベアトリクス・ベアトリス・ベアトリーチェに落ち着いたとされる。敢えてその名称に意味を見出したくなる所であるが、ストーリーが進むにつれて最初の命名の意味が吹き飛ぶのがストーリーライティングのサガである……ストップ過度な読み込み。

2-3:白い魔女ヴィヴィアン

 マジカミ第2部終章第3話にて初めて姿を現した。
 姿を現す以前には、マジカミ第2部第7章第1話にて東山陽彩のスマートフォンに通話する形で登場しており「私は『ヴィヴィアン』。あなた達の始祖であり、求道の魔女」と自身を紹介している。
 アイ・アム・マジカミ第3部第3章第6話にて「Ultimate Magica 陽彩」がアウァリンと量とびおの相互接続された精神世界に現れた後、新しいヴィヴィアンの姿に変身していることから、元の東山陽彩の姿とは大きく異なるもののプレイヤーが観測する東山陽彩にかなり近しい存在であると予想される。また、マジカミ第2部終章第3話の姿とはことなるものの、アイ・アム・マジカミ第3部第4章第7話において別の形態を取って霊帝ベアトリスの傍に出現した際、霊帝ベアトリスよりヴィヴィアンとして認識されているため、その姿はある程度自由に変更が可能であると考えられる。
 アイ・アム・マジカミ第1部第2章第4話において「貴方たちは人間で、私も同じく人間なのだから。ちょっと、道を外れてしまっただけの、ね」とも語っており、不明かつ強大な能力と自在に変わる外見を有しているものの、自称においては人間である。
 その目的はアイ・アム・マジカミ第3部第4章第7話まで明確にされてはいない。魔法少女を駒と呼ぶこと、メインストーリーにて観測されている魔法少女達を導いていながら、その魔法少女達が失敗をすれば見捨てるという考えであること、複数の世界を見せて回り「悪魔に蹂躙される世界」「異形と共生する世界」「敗者というだけで消される世界」の発生とそれを是認するカミサンシステムについて疑問投げかけていること、霊帝ベアトリスとある程度共有できる目標を持つことから、これらの活動を通してカミサマンシステムに対してのサボタージュを行うことを目的としている可能性が高いと推測するに留める。
 また、アイ・アム・マジカミ第1章第1部3話において、カミサマンシステムに外部から干渉を行ったことを暗示しており、カミサマンシステムの持つサーバーへハッキングする技術、カミサマンシステムに対してシステムアドミニストレータと同等以上の権限を持つことが仄めかされている。
 ヴィヴィアンの持つ能力の詳細は明らかではないが、ストーリー上描写・言及されている部分を確認することはできる。アイ・アム・マジカミ第1章第1部第5話においては、クローズしつつある世界から魔法少女を移動させるため『魔法』と称して位相空間ハイパーレーンを展開している。
 下記に、ハイパーレーン展開の際にヴィヴィアンが発した文言を記す。

「――励起アンロック
 絶対時空座標測定開始。自動オートナビゲーション解放リリース。起動シーケンス……完了コンプリート
 マーカー定義セット。アルファからオメガへ接続リンク。レンジ修正、オールサポート解放リリース
 位相空間ハイパーレーン展開、反転素粒子充填開始。境界面イベントホライズン安定化処理30%、50%……。視覚干渉開始ビジュアリゼーションスタート
 境界面イベントホライズン安定化完了。位相空間ハイパーレーン――敷設完了オールコンプリート
 ――起動アウェイク

 ハイパーレーンとはスペースオペラ等のサイエンスフィクション等で用いられる宇宙空間における航法であり、光年単位で隔絶している宇宙空間を時間的損失を被ることなく移動するためのギミックである。物語の必要性に応じて、これらの超光速航法は何某かの方法で光の速さを超えて移動する、または空間を折りたたむ等の技術を適用させることで説明を付ける。
 例えば、某スターウオーズにおけるハイパーレーンはハイパースペースを用いて行う素早い遠距離星間移動であり、光速以上の速さで移動することでのみ到達可能な別時空を経由することで、リアルスペースの歪みを利用して大幅な距離を『ジャンプ』するものとされている。
 有体に言えばワープである。
 ヴィヴィアンの発した文言より、筆者がこのワープ方法の概要を予想すると以下の通りとなる。
「まず、ヴィヴィアンの持つ時空座標を絶対値として、現在の平行世界と移動したい並行世界の位置を測定し、自動オートナビゲーションに値を渡して現在地と目的地を確定させる。しかる後、測定された現在地と目的地に始点と終点というマーカーを定義し、アルファからオメガ(ここではこれを「A to Z」「阿吽」と同義の「定義された世界線の時間軸の始まりから終わりまで」という意味であると解釈する)をシステムに接続させる。接続した時間の始まりから終わりまでのレンジを調整し、ハイパーレーンの始点と終点が到達するべき時間をオールサポートによって自動調整していく。次に、展開したハイパーレーンに対して素粒子と対生成されるという反粒子を充填しブラックホールを生成。ブラックホールにおいて光が脱出することの叶わない事象の地平面イベントホライゾンを安定化させて情報を視覚化。観測によって波動関数の収斂されたブラックホールは極めて安定化し、現在地と予め規定された目的地の目的の時間に対して時空の歪み(または事象の地平面内部に内包された特異点)を経由して移動可能になる」
 有体に言えば、これはブラックホールを使ったワープであると解釈する。論旨に関りがないためデティールの正誤は無視するものとする。
 ヴィヴィアンはまた、アイ・アム・マジカミ第3部第4章第7話にて「その代償が『この姿コレ』だ。お陰で裏切り者を潮汐破壊してやることもできん」と発言しており、本来であれば超大質量ブラックホールに星が接近した時に発生する星潮汐破壊現象を自由意志で発生させることができることを示唆している。
 アイ・アム・マジカミ第1部第2章第4話では、地下の盛り場で接触してきた若者に対して「騒がないで。別に殺してはいないわ。『事象の地平面』って知っているでしょう……? この子の時間を極限まで引き延ばしてあげただけ。恐れることなんてないでしょう」と語っており、以上のことからヴィヴィアンはブラックホールに関連する事象を操ることができると予想することができる。
 ブラックホールの引力は光の速度をも捉える程である。また、「時間の遅れ」(いわゆる「双子のパラドックス」や「ウラシマ効果」)を取り扱ったSF作品も少なくはない。ブラックホールの事象の地平面からエルゴ領域を脱出する際に発生する「時間の遅れ」を鑑みれば、東山陽彩というキャラクターとヴィヴィアンというキャラクターに自然な関連性を持たせることは不可能ではないと考える。
 余談ではあるが、アイ・アム・マジカミ第1部第2章第6章にてバーでりんごジュースを飲み干しぶどうジュースを飲もうとしているヴィヴィアンの姿を確認することができる。キャラクターの造形と物語の進行上、敢えて演出されたギャップであると考えられ、主人公陣営に対して精神的優位を持ち『大人』であるヴィヴィアンに対して子供らしさを強調する演出の意図は、今後の展開に関与するキャラクターとして考慮に入れておくべき事項であると判断する。(なんかカワイイからという演出意図であった場合はライターお嬢様に2万字小論文パンチをお見舞いしたい)
 また、筆者は「Ultimate Magica陽彩」を所持しておらず、他ドレスストーリーも所持未所持がプレイヤーによって異なり、知識として前提条件が整わないため本論文では取り扱わない。ガチャ運は如何ともしがたい。

2-4:黴体生物

 黴体生物ないしゲルテはXenoscrypotoに詳しいためそれを参照する( https://xeno.mgcm.studio/magicami/ghelte/  )。
 菌類のような発生繁殖形態を取り、小型の黴体生物の繁茂の様子はカビやキノコと似た様相となるが、大型化するにつれて機能が高度に分化した器官を持つ身体を形成していくとされる。別名として「魔法生命体」という名称が用いられることもあるとされるが、カミサマンシステムに属するカミサマンやXenoscryptoの筆者が特別に用いる他に例はなく、常用されている別称であるかどうかは不明。またその出展も不明。
 その他に「ゲルテ」という名称も明らかにされており、メインストーリー上ではマジカミ第2部第12章第7話にて黴体生物に寄生された魔獣に対してヴィヴィアンが「ゲルテ」という名称を使用している。Xenoscyptoにおいては黴体生物の記述よりもゲルテの記述が先んじて記載されており、ところによって正式な名称がゲルテである可能性は濃厚である。
 XenoscryptoのURLより英字の綴りが「Ghelte」であることがわかるが、Google.jpの検索結果ではXenoscryptoがトップに来るためアイ・アム・マジカミ特有の固有名詞である可能性が高い。
 Xenoscryptoの記述では「量子通信による汎世界線生体分散ストレージとして機能しているという見方もある」とされている。黴体生物は「量子テレポーテーション等によって並行世界をまたいで通信を行うある種の生体ネットワークであり、それ自体が並行世界の可能性を記憶する記憶媒体として機能している」という意味であろうと思われる。また同記事内で外流天新書』という書物に類する何かに、裏付けの取れない詳細な情報が記載されている様子が伺えるが、『外流天新書』が何であるかは2022年12月10日現在では不明。アイ・アム・マジカミ第3部第4章第1話のアウァリンの発言に「なあに安心したまえよ。かの『仙人』が記した奇書『妖奇本草集』によると(以下略)」というものがあり、エレボスの高名な人物である『仙人』の手によって記された書物である可能性も考えられる。
 アイ・アム・マジカミ第3章第4部第1話のアウァリンの発言より、黴体生物には遺伝子(=DNA)が存在せず、アイ・アム・マジカミ第1部第11章におけるエレボスの渋谷侵攻時に現れたサカサミカドニクボウの変異種、アイ・アム・マジカミ第2部第1章のエレボス辺境警備隊に随行した攻性黴体生物ニクバサミ等の自然発生ではない品種は、ゲノム編集や遺伝子組み換えではなく品種交配をによって作り出されていることがわかる。
 また、アイ・アム・マジカミ第1部第9章第1話のエリザに見解によれば、一部の悪魔が持つ『ユラギを作り出す能力を持つ』能力は、捕食した黴体生物より後天的に獲得した可能性も考えうるとされ、東山陽彩はそれを生物濃縮に近しいものと予想した。アイ・アム・マジカミ第3部第4章第1話のエリザの発言から、黴体生物を大量に摂取した女子高生二人組の体色が変化し、その外見が半悪魔の様になってしまった事例が語られており、黴体生物の経口摂取が生体に何らかの影響を及ぼすことが示唆されている。
 カミサマンシステム・エレボス両勢力ともに黴体生物の全容を把握しておらず、アイ・アム・マジカミ第3部第4章の時点でも研究が進行している段階である。Xenoscryptoの筆者が最も詳細な情報を開示している研究者であるが、その内容も詳細は不明と記述されている部分が多い。
  その名称の発祥もまた不明であり、アイ・アム・マジカミ第3部第2章第1話の大鳥丹、東山陽彩、雪船エリザ、インウィディア、オムニスフィアの会話でも話題に挙げられている。事実「黴体生物」という呼称は、マジカミ第2部第8章第1話の回想において東山陽彩がその仮称を用いたことがきっかけであると明示されているが、プレイヤーが現在進行形で観測している時間軸において、既にエレボスで数百年を過ごしている魔王であるインウィディアもまた同じように「黴体生物」の呼称を使用しており、時系列に矛盾が生じることとなる。
 これらの時間的な矛盾は、敢えてそうなるよう仕組まれており、アイ・アム・マジカミ第3章第5部以降ではこれを解決するギミックが登場する可能性が高いと予想する。

3:悪魔の発生原理とその知性について

 悪魔の詳細はXenosryptoの悪魔の項を参照する( https://xeno.mgcm.studio/magicami/demon/ )。該当項目においても「そもそも生物なのか、『生物のように見える特殊な超常現象』なのかすら判然としない」とされている。

 悪魔の発生原理はメインストーリー上で明確にはされていないが、マジカミ第1部第4章第4話にてカミサマンより、悪魔は「最初からいるの」「来るっていう言い方も……アンタを絡めたらあながち間違いでもないんだけどさ~」と説明されている。
 メインストーリー上で判明した事実として、マジカミ第1部4章第5話にて朝永花織が重傷を負った際、該当する魔法少女の身体が変質して悪魔と思しき存在になった描写がされている。また、この際にオムニスフィアにリンクした量とびおの視点による地の文として「怒り、悲しみ、妬み、孤独、憎悪。あらゆる負の感情が一斉に流れ込んできた。それが『彼女達』の持つ記憶と感情だと気づいた時、視界が、見えるもの全てが溶け落ちーー」と記載されている。マジカミ第1部第5章第5話においても、袖城セイラがアラクネによって攻撃(とDXな行為)をされたことで悪魔と化している。
 マジカミ第1部第9章第6話においては、白オムニスより、メインストーリー上の戦闘に参加していた悪魔達が過去に魔法少女であったことが語られている。同話とマジカミ第1部第10章1話にて悪魔化した魔法少女はカミサマンシステムによって可能性がマージされた後でも残り続けるとされ、マジカミ第1部の悪魔の大量発生のギミックとして用いられている。
 マジカミ第1部第10章1話のカミサマンの発言に「悪魔全部がそうとは言えないけど、あんたが……そうした中にはそういう子もいたかもね」という発言がある。
 アイ・アム・マジカミ第3部第3章第1話にて、デモンズスタイルドレスの魔法少女を見たルクスリアとインウィディアの会話から「魔法少女が悪魔化するという可能性」がデモンズスタイルドレスの元になっていることが示唆されており、魔法少女の悪魔化は繰り返し描写されているギミックであることが理解できる。
 これらの作中の描写より、悪魔発生の要因の一つは「魔法少女の悪魔化」であることはほぼ事実として断定可能である。しかしながら、悪魔の発生原因の全てが魔法少女の悪魔化によるものであると断定することは極めて困難であるため、魔法少女の悪魔化と共に、別の要因で発生する悪魔がいる、という可能性を視野に入れておくべきであろう。

 また、発生した悪魔において、意思疎通の可能なものと不可能なものが存在することに着目したい。
 メインストーリーの序盤であるマジカミ第1部第8章5話の時点においては、東山陽彩より、通常の悪魔はより強い悪魔に従う習性があると推測がなされ、マジカミ第1部において大量に発生した悪魔たちは魔獣に変質した魔法少女に従っていたものと予想された。意思疎通の困難な悪魔は、基本的にその音声は文字として解読不能な地の文で表現され、正体不明かつ人型をした敵役かたきやくとしてのとしての役割に終始していた。
 しかしながら、マジカミ第1部11章第5話において出現した「悪魔いろは」は悪魔でありながらカタコトながら白いオムニスへ語り掛けを行い、意思疎通が可能な悪魔が存在する可能性を示した。
 メインストーリーにおいての描写ではないが、2019年の12月に開催されたイベント「聖なる晩餐会 ~トナカイとゆかいなきよし達~」におけるニンフはカタカナではあるが一部明確な日本語を発話しているため、少なくともニンフは日本語による意思疎通が可能であると描写されていた。また、アイ・アム・マジカミ第3部第1章第3話の東山陽彩とルクスリアの問答にて、エレボスにおいては数百年前から日本語が用いられていること、辺境には日本語を話せない民がいること、ニンフや魔獣は物覚えが悪くカタコトしか発話ができないことが明かされた。
 同話にてルクスリアは、笑い声のような意味不明の地の文を発する悪魔を『獣』、エレボスにて学習し日本語を習得できる悪魔を『人間』と表現した。環はなびは「オウムだって教えりゃ喋るけど、会話が出来るかっていうとそうじゃないからなー」と発言。遊部いろははそれに対して「ほんとにそーなのかなぁ」と反応しており、この時点では物語の構成上どちらの説が正しいか確定させるような演出はなされていない。

 以上より、悪魔の発生原理は「自然発生」「繁殖」「魔法少女の悪魔化」等が可能性として考えられ、そこに何某かの要因が加わることで「知性があり日本語が発話可能な悪魔」「知性はあるが日本語が発話できない悪魔」「知性のない悪魔」に分かれるものと推測する。
 そして本項においては「悪魔になった魔法少女」であり「知性があり日本語が発話可能な悪魔」という存在はあり得るという結論を得るものとする。

4:未来予想

 本項においては、本論2章及び3章に基づいて、アイ・アム・マジカミ第3部第5章以降の展開を「勢力図から見た短期的未来予想」と「キャラクターの関係性から見た中長期的未来予想」に分けて記述する。

4-1:勢力図から見る短期展開予想

 本項においては、登場が予想される勢力と、格勢力における行動指針・目的を予想する。

 登場が予想される勢力はカミサマンシステムに属する「魔法少女」達、魔界エレボスに座する「霊帝ベアトリス」一派、そして「ヴィヴィアン」である。既に登場しているキャラクターの中でエレボスに到達することが可能な技術・能力を持つ勢力はなく、また、新たな勢力を参入させてしまえばアイ・アム・マジカミ第3部の新展開が起こることとなり5章・6章での幕引きが困難になる。よって以上3勢力を以て今後の展開の予想を行う。

 魔法少女達の目的はメインストーリー上で明言されており、一つは「渋谷侵攻の原因である霊皇ベアトリスに接触を行い、可能であれば今後の渋谷の安全を確保すること」。次いで「元の世界線である渋谷に帰還すること」である。
 対するエレボスの目的は不明瞭な点が多いが、2-2-3で確認した限り「プレイヤーが観測する渋谷に侵攻し、目標とする『何か』を手に入れること」であると推測される。
 この場合、魔法少女達が目標達成を遂げるためにはベアトリスと対峙することが必要となり、魔界エレボスはそれを退けて再度渋谷侵攻を行うことが目標となる。
 そうなれば、手段を尽くして魔界エレボスの中心にある天守を目指して侵攻を行い、対するエレボスは都市防衛戦力とスペルビア率いる皇宮騎士団によって魔法少女達を迎撃する形が予想される。
 この際、アイ・アム・マジカミ第3部第第4章第4話で言及された『連中』……前後の会話で、元ベアトリス信奉者シンパのインウィディアの耳に入れることをアウァリティアが気に掛ける描写があったため、恐らくは反ベアトリス勢力との接触が行われ、その助力を得てエレボス侵攻またはエレボス侵入を試みることとなるだろう。
 ヴィヴィアンの目的を2-2-3で予想した「カミサマンシステムへのサボタージュ」であるとした場合、ヴィヴィアンが取り得る手段は以前と変わらず「魔法少女達の啓発」を行う方法と、ベアトリスに与して直接的にカミサマンシステムに影響を与える方法が考えられる。アイ・アム・マジカミ第3部第第3章第6話において「なんにしろ、彼らはこの世界で知るだろう。真に戦うべき相手、討ち果たすべきものを」と発言していることから、直近の第5章においてはベアトリス側に力を貸しつつ、魔法少女達が敗北することがないよう状況をコントロールしながら、魔法少女達がカミサマンシステムの持つ新たな情報――ひいては『真に戦うべき相手』――を見出すよう誘導を行うものと推測する。ただし、行使できる力が格段に落ちている様子が伺えるため、第1章第1部第5話で用いたような『魔法』を用いて一人有利に立ち回ることはできなくなったものと思われ、他2勢力と肩を並べる1勢力として奮闘するのではないかと予想する。

4-2:キャラクターから見る長期展開予想

 この内、霊帝ベアトリスとヴィヴィアンには既に何かしらの因縁があり、ベアトリスに対して「不義の女帝」と呼びかける程度に良好ではない出来事が発生していることが見て取れる。
 最後に、この因縁についての未来予想を行う。

 悪魔の発生原因の一つに「魔法少女の悪魔化」が上げられることは、本稿3章において既に述べた。2-2-3において、一千年前に現れた「初代七魔王プルミエールの強欲の魔王」が現在の「霊帝ベアトリス」の可能性があることは既に述べた。悪魔が知性を持ち得る可能性、ひいては「悪魔になった魔法少女が知性を持ち合わせている可能性」があることは本項3章にて述べた。2-1-2において記述した『魔法少女が12人でありそれ以上でも以下でもない』という情報も、初代七魔王が魔法少女であれば当代七魔王まで確定情報として伝承されていても矛盾は生じない。また、ベアトリスの名に「航海者・旅行者」の意味が含まれることは2-2-3で述べた。
 即ち『初代七魔王プルミエールは魔法少女が悪魔化した存在である』という可能性は、どの項目とも衝突なく成立しうるものである。
 また、魔界エレボスにおいて唯一代替わりをしていない悪魔がベアトリスであるとされており、タイムスケールから鑑みて、他の七魔王は全て初代から代替わりを終えているものと思われる。更に「エレボスの悪魔が魔法少女の悪魔化以外の方法で繁殖または発生している」という推論は2-2-3のアウァリティアの項目において既に述べた。
 即ち、当代七魔王は初代七魔王プルミエールである魔法少女達の子孫であるという推論が可能である。これを補強する事柄として、2-2-1のエレボスの悪魔である黒燐扇・白燐扇がヴィヴィアンに「まるで昔からの仲間みたいに……」と揶揄されている事柄、2-2-2のアケーディアの項目において記述した『百波瀬ここあが「それにディアちんも不思議なんだよね。出会って1週間なのにすっごく懐いてるし……」と述懐している』事柄、2-2-2の項目において記述した『アウァリティアがオムニスフィアに接続している量とびおに対して「未だかつてない知識への渇望を感じた」「我輩は深淵に潜む『君』を愛してしまったのだッ!!」と発言した』事柄、2-2-2のアケーディアとアウァリティアの項目で述べた『有り得た可能性の中では、両者が量とびおの妹であった』事柄が上げられる。
 また、稚拙な推論ではあるが、アイ・アム・マジカミ第3部第2章第3話にて丘田マリアンヌから「りりちゃんは黒ギャルだからいいんす!」という寸劇を挟んだ上で、巨大なドリルヘアーと白い肌を持つベアトリスというキャラクターの登場は演出的意図を感じるものがある。マジカミ第2章の頃のヴィヴィアンと東山陽彩の声質の差を鑑みても、プロフェッショナルとして声優業を営むアクター諸氏の発声可能な声色というものは大変に広く、現在の槍水りりの声優(村咲和香女史)の声質でベアトリスの声を出すことが不可能であると断定することはできなかった。
 よって、本論においては「霊帝ベアトリス」を「槍水りり」の悪魔化した姿であると推論する。

 これによって、ヴィヴィアンとベアトリスの因縁に推測を挟む余地が生じる。
 ヴィヴィアンが初登場時に「私は『ヴィヴィアン』。あなた達の始祖であり、求道の魔女」と発言していることは2-3において述べた。ヴィヴィアンがUltimate Magica陽彩であること、ブラックホールを操る能力を有すると推測できる点から大きくタイムスケールがことなる時間軸へ登場しても説明を付ける余地があることも同項目において述べた。
 まず、ヴィヴィアンは霊帝ベアトリスと同じまたは近しい時間軸出身の存在であると予想する。
 通常の時間軸で考えれば矛盾の生じる時間の流れであるが、黴体生物のユラギを通過した際に発生するタイムギャップが物理法則に適うものでないことはストーリーから明らかである。その考えに基づけば、通過するユラギによっては、2022年現在から千年前の平行世界に移動することもあり得る事象である。
 これにより、槍水りりは千年の時を前にする禁足地エレボスの存在する魔界にて悪魔となって活動し、東山陽彩は長い時間をかけて並行世界の移動を繰り返しカミサマンシステムの破壊を試みていた、という因縁を考えることができる。
 禁足地エレボスにおいて『未知の力』を手に入れ、共に魔界エレボスを拓いた魔法少女の仲間が亡くなった後に一人帝政を敷いた槍水りりを、千年前の魔法少女仲間である東山陽彩が「不義」となじることは不当ではないと思われる。また、5章以降で明らかになるだろう未公開情報も加味すれば実現不可能な範囲にある予想ではないだろう。

5:まとめ

 本論1章から4章により、魔法少女勢力は反ベアトリス勢力の力を借りて魔界エレボスの中心へ侵入を試み、エレボス勢力はスペルビアがこれを迎撃する。最終的に霊帝ベアトリスが魔法少女と相まみえるものと予想する。
 ヴィヴィアンは直近ではベアトリス勢力に与し、展開如何で立ち位置を変えるものと予想するが、最終的にカミサマンシステムの情報を魔法少女達に知らせるよう働きかけるものと予想する。
 また、霊帝ベアトリスは悪魔化した槍水りりである。

 以上

6:追記

 ・2022年12月12日 目次機能を有効化
 ・2022年12月14日「槍水りり」の名字の不統一を訂正

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