王様戦隊キングオージャー FLTの敵怪人 に関して(考察を含む)

*CAUTION

 本NOTEは王様戦隊キングオージャーのファイナルライブツアーのネタバレを含みます。
ライブツアー参加後、もしくは後にでるブルーレイを視聴後にお読みいただくことを推奨いたします。

まずは筆者の自己紹介を。


映画や特撮が大好きです。特撮は子供のころから父の影響で、ウルトラマンやゴジラガメラをよく見ていました。と言っても、昭和ライダーは未視聴ですし、スーパー戦隊、平成ライダーはものによって見たり見なかったりしています。
ですので、過去作品との比較は弱いです。
 
特に好きなのは、仮面ライダークウガ。リアル路線で、かつ無駄な回がないストーリー構成がぶっ刺さりました。
さらに言えば、シン・ゴジラの作劇も大好きです。足を引っ張る人がいない。全員がスペシャリストで、自分の仕事を遂行していく、そんなシン・ゴジラもぶっ刺さっています。
そんな人間なので、当然のごとくキングオージャーにドはまりしてまして。さらには現在脚本家の高野水登氏にドはまりするに至っております。

さて本題です。今回こうして筆を執ったのは、本編終了後のお祭りであるFLTの敵怪人「カスナラク」がいかにえぐい怪人かということを解説し、脚本家の高野氏のキャラ造形のすごさをアピールしたいというものです。
また、今回はカスナラクに関してですが、Gロッソ第2弾に登場した「セミジーム」に関しては、脚本家が高野氏でないにもかかわらず、考察しがいのある敵怪人ですので、気が向いたらそちらもNOTEに起こそうかなと思います。

カスナラクの活躍


宇蟲王との決着後、6王国サミットにて共通新紙幣の顔を投票で決めるという催しがありました。
そこに現れたのがカスナラク198世です。カスナラク198世はお触書や投票用紙を差し替えて、新紙幣肖像選挙を、6王国を統べる統一王「チキュー王」大選挙にしてしまいます。
カスナラク198世は金で買収したサナギム(ジェラミー率いる狭間の国のサナギム)を使い、王様戦隊に襲い掛かります。
カスナラクは以前バグナラクの王を決める戦争でデズナラク8世に負けた子孫の子孫の子孫の子孫の・・・以下略であるとのこと。さらに、ジェラミーにこの2000年間何をしていたと問われた際、宇蟲王との闘いで疲弊するのを先祖代々待ち、チキュー王になる隙を伺っていたのだと語ります。
後にサナギムに渡した金が贋金だとヤンマに暴かれ、カスだゴミだ屑だと罵られたのち、最終的に倒されます。
直後に出てきたのがカスナラク199世。先に倒されたカスナラク198世の息子です。
ギラを除く5名は統一王に興味があったため、カスナラク199世を含めた7人を候補としたチキュー王選挙を始めます。

チキュー王選挙のさなか、カスナラク199世は裏で人質を取ろうとしていたところ、ブンブンジャーに倒されます。次に現れたのがカスナラク200世です。

カスナラク200世は今までのカスナラクがおなら攻撃や、カスを自称しているちょっとおバカなコメディリリーフな存在だったのに反し、かなり硬派な悪役として王様戦隊に立ちはだかります。
また、「カスナラク」は皆を欺くための名前で、本当の名前は「○○・○○ガスナラク」であると語ります。

(○○の部分は大変申し訳ないけれど、覚えていません。大変申し訳ないです。だれか教えてください。)

ガスナラクを自称した後は大変手ごわい相手となり、カスナラク198世が行ったおなら攻撃も、しびれガスへと変貌しています。極めつけは

「ご存じか。・・・・ガスは・・・爆発する!」

という超絶かっこいいセリフとともにガス爆発を起こし、王様戦隊全員を瀕死状態まで追い込みます。

最後は観客の応援もあって、王様戦隊に倒されますが、その際の「ガスナラクは不滅だ」と言い残してゆきます。

上記がカスナラクをメインにしたFLTの物語です。
では、カスナラクの何が私に刺さったのかを、以下に紹介していきます。

カスナラク考察

顔の造形、そしてガス攻撃、名前から、ニイデラゴミムシモチーフの怪人であることは明白です。ニイデラゴミムシはガスを噴出することで有名で、漫画テラフォーマーズなんかでも、その稀有な能力からフィーチャーされています。そんな彼が、単なるゴミジームではなく、カスナラクなのは、「ガス」ナラクへの布石の為でしょう。さらに、カスジームではなく、カス「ナラク」を名乗るのは、由緒ある「ナラク」を名乗ることで良い家柄に見せたいという浅ましい魂胆からしょう。本当はカスジーム1世が勝手に「ナラク」を名乗り始めたのではと思います。

さて、本題として考察したい点は2点。
①2000年の間に200世が生まれている点。
②2000年間代を跨いでチキュー王になろうとしていた点
です。

①2000年の間に200世が生まれている点。

こちらはバグナラクという種族の深堀に多いに貢献している設定です。
バグナラク内で2000年前に起こった大きな戦争「地底統一戦争」にてデズナラク8世がバグナラクの王となりました。(その際にダイゴーグが活躍し、のちにそのダイゴーグをジェラミーの母、ネフィラ・イドモナラク・ネが倒しています。)
当時がデズナラクが「8世」、ジェラミーがイドモナラク「2世」、カスナラクが「1世」。
で2000年後の現在デズナラク8世、イドモナラク2世、カスナラク198世が並びます。
ジェラミーは永遠の命を持っていたため、2000年間子をなさないままで2世を保っています。デズナラクも2000年前の戦いから8世のままです。

ここから、バグナラクは永遠の命がなくとも、相当長生きである、もしくは相当長生きな者もいる。という事がわかります。
で、カスナラクと言えば2000年のうちに200世なので、10年に1度子をなしている。もしくは本編(FLT)の描写をみるに、死に絶える際に自身のクローンが生まれている。とも取れます。バグナラク内は紛争は絶えないでしょうから、殺されることは多かったのだとも思いますが、ずいぶん頭の良い(こずるい)性格をしていたのでやはり殺されるというよりは、寿命が短いのではと思います。

ここでもう一人比較したいのが、Gロッソ第二弾に出てきた「セミジーム」です。(高野水登氏の脚本ではないため、正史かというと意見は分かれるところだと思います。)
彼はバグナラクのなかでも寿命が短い種とのことで、寿命が尽きる前に一旗揚げたいと考えた心の隙をカメジムに操られ、王様戦隊を苦しめる敵役と化します。
最後は王様戦隊と和解し、残りの寿命で世界を旅してまわることを決めます。
観客の子供たちが、操られるセミジームを、その応援で開放する様に私はボロボロ泣きました。

これらバグナラクを比較して導きだされる答えとして、「バグナラクは種によって寿命の差が何百年単位である」という事です。
かつて地上人はシュゴットを味方につけ、地底人すなわちバグナラクはシュゴットを食らうことで力を付けました。双方の元のDNAに大きな差はなく、どちらも元は「(キョウリュウジャーの)地球」から移り住んだ人間だという事が本編で明かされています。
先代が食べたシュゴットソウルが「ミミズ」なら長生き「ニイデラゴミムシ」なら短命。「セミ」ならもっと短命になるという事でしょうか。
おっと、カゲロウはさらに特殊そうです。


②2000年間代を跨いでチキュー王になろうとしていた点

ずっと潜んで弱くなったところを襲うカスな行為として扱われていましたが、カスナラクの戦法は、私はこの物語において、大きな「行間」があると考えます。
王様戦隊の中には、世代を跨いで大儀をなそうとしていた種族がもう一つあることを私達は知っています。
「ハスティー家」です。
ライニオール・ハスティーから続くハスティー家は代々宇蟲王ダグデド・ドゥジャルダンの支配下に置かれ、ずっと苦しめられてきました。外宇宙の存在を知ってしまうという点で、クトゥルフ神話でいう「根源的恐怖」を味わう事になるので、代々ハスティー家当主のSUN値は削られまくっています。
王様戦隊キングオージャーは、ハスティー家の呪いとその開放の話ともとることが出来ます。
終盤ギラ・ハスティー、ラクレス・ハスティーは避難計画ゼロを実行します。
これはこの世代では宇蟲王を倒すことはできないと判断し、民をほかの星に逃がすというものでした。
そして民に何世代かかっても良いから宇蟲王を倒してくれと頼むものです。
悪い言い方をすると、代々ハスティー家が負ってきた呪いを、全国民に背負わせるというものです。
これに対し、忠臣や国民たちが反旗を翻すことで最後の戦いが始まります。

同じように、カスナラクは代々チキュー王になるという呪いをかけられてきた種族なのではないでしょうか。
カスナラク1世ではデズナラクを倒せない。何世代かかってもデズナラクを倒さねば。ただし正攻法ではデズナラクを倒すことはできない。弱ったタイミングをじっと待つしかない。
そのうち、デズナラクは王様戦隊に倒され、王様戦隊へと標的が変わっていきました。

198世よりも199世、さらに200世とどんどん強くなっていったのを見るに、
20世あたりでは手も足も出なかったのだと推測させれます。カスナラクもハスティー家と同様に、大願をなす準備は着々としていたのです。
動きに出たのは198世。ずいぶんと大きな決断だったのだと思います。自身がチキュー王となれば一族の呪いも解かれるのだと。
対してハスティー家で大きな動きに出たのはコーサス・ハスティーです。
コーサスは宇蟲王のコピーを作ることで呪いを断ち切ろうとしました。

最終的に、宇蟲王を倒したのは「無限に連なる小さな命」でした。
これは世代を超えて生きていこうとする「生命体としての力」だと私は考えます。そして世代を超えて大願をなそうとするハスティー家の生き方にも通じるところがあると思います。

まとめると、カスナラク一族がとった戦法は世代を超えて大願をなすという戦法である。
それはハスティー家の戦法と同じであり、宇蟲王を倒した力とも類似している。

上記踏まえると、王様戦隊が、特にギラやラクレスが、カスナラクのことをカス呼ばわりできるのか。ずいぶんブーメランな発言ではないかと思います。

両者の違いは、無責任に次の世代にバトンタッチすることの重さをわかっていないことだと思います。
カスナラクは敵が弱体化するまでなにもせず、2000年間ずっと待ち続けている。おそらく先代カスナラクから大義を受け継いだとしても、タイミングを読み、今ではないなら行動に移すことはしなかったのでしょう。
王様戦隊は、特にラクレスは自分の代で何とかしようと動き出します。コーサス・ハスティの意思を継ぎ、ギラを切り札とした暗殺計画を進めました。
前者にはない、信念や意思、正義が王様戦隊にはあるのだと思います。

とはいえ、私の解釈としては、王様戦隊たちは、
避難計画ゼロを実行した自分たちは、カスだったと過去の自分を一蹴しているのではないかとも思います。
特にラクレスは自分の過ちに関して許しを請うことはしませんし、
過去の自分と重ねて「カス」と蔑むこともあると思います。

以上が
カスナラクとカスナラクにまつわる物語の考察です。
妄想の範疇を出ませんが、ここまで読んでいただきありがとうございます。

本編の大ボスダグデドに続く敵として、VSドンブラの敵、VSキョウリュウの敵もいましたが、カスナラクに関しては、裏ボスと言っても差しさわり無い良い敵役だと思います。
キングオージャーがもっと好きになりました。
おわり


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