オール・イン・サスティナブル・コスト(AISC)
オール・イン・サステイナブル・コスト(All-In Sustaining Cost, AISC)は、主に鉱業(特に金鉱業)で使用される指標で、鉱石の生産に関連する総合的なコストを評価するために使用されます。この指標は、単に鉱石を採掘・処理するための直接的なコストだけでなく、持続可能な事業運営に必要な追加コストも含めて計算されます。
AISCの構成要素
AISCは、鉱山の運営にかかるすべてのコストを考慮に入れるように設計されています。具体的には、以下のような項目が含まれます。
現金コスト(Cash Costs):
採掘、精錬、加工に直接関連する費用。
労働費、燃料費、化学薬品費、電力費など。
持続可能な資本支出(Sustaining Capital Expenditures):
鉱山の運営を維持するために必要な投資。
設備のメンテナンスや更新、鉱山の安全性向上のための支出。
鉱山開発費用(Mine Development Costs):
採掘エリアの拡張や新たな鉱床の開発に関連する費用。
掘削、トンネル建設、地質調査など。
再生費用(Reclamation Costs):
鉱山閉鎖後の土地の再生や環境回復にかかる費用。
植生の再生、廃棄物の処理、水質改善など。
管理費用およびロイヤリティ(Corporate General and Administrative Costs and Royalties):
企業の管理運営に関する費用や政府に支払うロイヤリティ。
AISCの意義
包括的なコスト評価: AISCは、鉱山運営に関連する全コストを反映するため、企業や投資家が鉱山事業の持続可能性や収益性をより正確に評価するための指標となります。
比較可能性の向上: 業界全体でAISCが標準化されたことで、異なる鉱山や企業間でのコストの比較が容易になり、投資判断の材料として重要な役割を果たします。
投資家の視点: 投資家はAISCを使って、鉱山の収益性だけでなく、その事業の長期的な持続可能性も評価することができます。AISCが低いほど、企業は安定した利益を長期にわたって確保しやすいと考えられます。
要するに、オール・イン・サステイナブル・コスト(AISC)は、鉱業における全体的なコストを把握し、事業の持続可能性と収益性を総合的に評価するための指標です。