エミール・ゾラ『居酒屋』 感想文
すごい小説を知ってしまった。
19世紀の小説に、こんなにもドラマティックでリアリスティックでアルコールとすえた臭いのする世界があったのかと驚いた。
主人公のジェルヴェーズという女性は、とても真面目で、おそらく巡り合った人々の選択さえ誤らなければ、十分幸せになる器量を持った女性だったのだと思う。
少女時代から生活を共にした元夫のランチエの失踪から、共に移り住んだ街で新たに出会った、のちに夫となるクーポー。彼女は意気揚々と計画を立て、自らの店を構えるも、仕事中の怪我をきっ